不器用な優しさがそこに
夢幻飛翔様の制作された、伝奇百合ノベルADV、“永久の白百合~双生の愛心~”の感想を書かせて頂きますね。
【気になった点】
・シリーズ作品全般に言える事だが、時々誤字脱字だと思われる物が見受けられる。意外と目に付き、物語や設定がしっかりしているだけに惜しさを感じる。
【良かった点】
・ストーリーがとても感動的で良い。永久の白百合シリーズは毎回様々なテーマに挑戦していて、作品毎に違った味を楽しめるのが魅力的だと思われる。
・ボリューム的に長過ぎず、短過ぎずの程良いバランス。何時もこの塩梅は絶妙だと思わざるを得ない。
・イベントCGや立絵が豊富で高クオリティ。各キャラが時々赤面する姿は可愛らしくてグッド。
・前作からのゲストキャラクター達の素晴らしい活躍振り。永久の白百合シリーズの暗黙のお約束と言っても良い。互いの家族の仲の良さを見せ付け合うシーンはちょっぴりニヤニヤ。
今回はシリーズ5作目と云う事で、シリーズ2作目のアフターストーリーに当たる物語なのですが、何と4作目に引き続き、主人公とヒロインの間に子供が生まれます(女性同士なのに!?)。
まあ、その理由はプレイしてからのお楽しみとさせて頂きたいのですが(笑)、4作目では生まれて来る子供が1人だったのに対し、今回は双子の娘だったりします。
ここ来て、単に愛し合う二人だけの恋愛を描くのではなく、子供が生まれての家族としての在り方等、そう云った新しい百合の世界を開拓しようとしている所が、作者様のフロンティアスピリッツを感じられますよね。
制作スピードも速いと思いますし。
正直に言ってしまうと、私は百合は愛する二人の関係だけと云う勝手なイメージを抱いてしまっていたので、例えばライバルキャラとの三角関係等であれば未だ理解出来た物の、4作目で愛する二人の女性の間に子供が生まれると云う事に、最初はかなり抵抗があって、中々受け入れられない部分もあったんですよね。
増してや、その娘すら百合の関係に介入して来ると云うのであれば、それはもう尚の事。
ですが、最終的に主人公もヒロインも覚悟を決めて、物事は奇麗に結末を迎えました。
今回は双子と云う事で、また作中で色々な意味で衝撃を受けまくりましたが、子育ての難しさから始まり、相手の事を知ろうとする大切さ、愛している事を相手に伝える為の手段等、今一度、この難解で深い課題について、自分なりにも思う存分に考察させて頂きました。
印象に残ったシーンですが、個人的には双子の幼いなりの狂気が怖くて怖くて、ホラー映画を見ているような気分にさえなりました。
基本的にはシリアスなストーリーではある物の、家族皆で遊園地に遊びに行く等、今回も日常的なほのぼのとした場面もあるのですが、些細な事でも双子が暴走する危険性があるので、もうヒヤヒヤしながら見ていました(笑)。
今まではアリウムや刻音等、ボスキャラに相応しい人物が敵だったのに対し、今回は家族として幸せになる為に、周囲の力を借りながらも、強大な力を持った娘達と両親がぶつかり合うと云う趣旨になっていて、何と云うか新鮮で面白かったですね。
キャラとしては、ちょっとだけソリティに雰囲気が近い、ツンデレな征奈お姉様が不器用で可愛らしくて、最高に魅力的な人物だったと思います。
そんな訳で、夫婦、双子、家族以外にも、導奈と征奈の姉妹百合も楽しむ事が出来て、云うまでもなく今回も百合豚発狂と云っても良い、最高クラスの百合度になっておりますブヒィ(笑)。
地味に導奈の心の声のツッコミとか、暴走加減なんかも笑えて良かったです。
知世導奈や4人家族百合も良いですが、不倫扱いにされる悠導奈、征奈導奈の百合エピソードも、もっと見てみたい所ですね。
何れにしても、愛を育む為には様々な困難を乗り越えて行く必要があり、時には誰かに助けてもらいながらも先へと進みますが、障害は決してなくなる事はないので、何度だって立ち向かって行く……それを、永久の白百合シリーズは教えてくれます。
これはきっと、百合だけに限定される物ではなく、男女間の恋愛等でも同じなのではないでしょうか。
百合、家族、姉妹、異能力バトルと云ったキーワードに惹かれる方は、是非ともプレイしてみてはいかがでしょうか。
特に百合好きにはお勧めの一作です。
それでは、これにて失礼致します。
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