良作
未来設定を上手く活かした作品。
阿刀田高などのショートショートが好きな人には特におすすめ。
テーマを強く訴えかけてくる作品
とても面白かったです!
プレイ時間1時間程度の短編ノベル。食事をする必要がなくなり、サプリのような扱いの食品のみで生活できるようになった近未来のお話しです。
序盤は女子高生二人の穏やかな友情が描かれており、ほのぼのと読み進めていたのですが、中盤以降は背後から這いよって来る恐怖に急かされて手が止まらなくなり、ラストまで一気に駆け抜けてしまいました。終盤の手に汗握るようなドキドキ感が楽しかったです。これが文章力か…。
人間の好奇心がテーマに置かれているのですが、どんどん不穏になる展開にも関わらず怖いもの見たさで読み進めるプレイヤーに対しても、その欲求の深さを突き付けてくる皮肉が効いていると感じました。
かなりグロイ一枚絵がバンと出てきたのにはビビりました。クリア後もあのシーンが鮮明に思い出せます…。
それと、百合要素は薄かったですね。
すぐにクリアできて、かつ衝撃的なシナリオなのでぜひプレイしてみてください。
感想
題材といいシナリオといい、とても秀逸でついついのめりこんでしまいました…
現代の私たちには当たり前のことが、このゲームの世界では禁忌で、
それを強く渇望するところが何だか、人間の本質的な恐ろしさを感じました。
ただ、百合ゲームタグが付いていた以上は百合要素を期待せざるを得なかったのですが…その辺は他の方が仰っている通りですね…
この件を抜きにしても、プレイして良かった!と、思えるのはやはり、題材とシナリオの魅力が強かったからだと思います
とにかく、素晴らしいゲームでした!
知る恐怖を描く近未来ノベル
他の方がおっしゃられているように、誰がしゃべっているのかわからない部分が結構ありました。
メインキャラが二人しかいないのにこう感じられてしまうのはわりと致命的な問題なのではないかなと思います。プレイヤーの読解力にもよりますけれどね。
ただ、そういう不満点があるにも関わらずストーリーにのめり込めてしまうほどセリフ回しが上手く、シナリオに新鮮味があります。
甘い辛いなどという言葉にたどり着いたシーンから、ページをめくるのがやめられなくなります。
想像力を刺激される設定、展開
数百年後の日本の女子高生二人が過去の時代について調べる話。
未来の二人の視点から語られる今の世界についてなどとても面白かった。
話が進むにつれ主人公が感じる不安感やテキストから感じる不気味さなど
程よい恐怖感を味あわせてもらいました
設定的にも引き込まれて短編だとゆうこともあって
最後まで一気に読み進めてしまいまった・・・
最後の主人公が「○○の食感」ってメモ見て言ってたのは
音羽が周りの全部試して最後は自給自足したって事ですかね・・・
全てを狂わせた、たった一つの種
EIN-CHERE様の制作された、真実究明百合ADV、“過去への渇望”の感想を書かせて頂きますね。
本作は何時も一緒である程、仲良しであり、探究心の強い伽耶と音羽の二人の少女が、歴史から削除された真実を知る為に行動を起こすと云う物語。
未来の世界が舞台となっており、人間はグラと云う栄養価のある食品と、水を体内に取り入れる事で、日々を暮らしていると云う設定です。
私達の現代が遥か昔となっている世界で、グラの誕生によって日本が裕福な国家となっていたり、人口が増大している等、未来としての舞台設定が非常にしっかりと構築されているのですが、例えばテレポーターだとかタイムマシン等、そう云った良く有り勝ちな未来の装置等はなく、どちらかと言うと文明が今より多少進歩した日本と云うイメージなのでしょうか。
注目すべきポイントは、兎に角、このグラと云うアイテムであり、これによって世界中が大きく変わったと云う事ですね。
伽耶と音羽は女子高校生にしては好奇心が凄まじく旺盛であり、音羽がネットで見付けた女性向けの雑誌に関するエピソードが切欠となり、過去の時代の本を探す事になります。
登場人物は非常に少なく、メインのキャラもこの二人だけだからなのか、イベントCGではそれぞれの姿を見る事が出来るのですが、立ち絵がない事もあり、喋り方や性格にも際立った特徴がないので、どちらがどの台詞を発しているのか、若干分かり辛い所が見受けられました。
個人的には二人の立ち絵を挿入して、台詞を発している時に分かる演出をするか、喋るキャラの名前を文章中に盛り込む等をした方が、プレイヤーとしては理解し易かったような気もします。
二人がとても仲良しで、強い絆で結ばれている事は上手く表現されていましたので、それ程濃い百合描写はなかった物の、友情の延長線上辺りの百合を感じる事が出来ました。
ストーリーも非常に面白く、伽耶達の視点に立つ事で、少しずつ謎に近付いて行く知的興奮と、それに伴う恐怖心、不安感を感じる事が出来、最後までほぼノンストップで読み切る事が出来ました。
しかし、序盤の伽耶の独り語りを見ていれば予想は付きますが、終盤は精神的に参ってしまうような悲劇が待ち受けていて、ホラー映画も真っ青な程のグロテスクなシーン等があり、正直心を病みそうになってしまいました。
あのCGはトラウマな上、サウンドテストの特定のBGMでも警告なく背景に出て来ますし、本編でも文字による恐怖心を煽るような演出が多々されていて、本当にホラーゲーム扱いにした方が良いのではないかと思う程でした。
個人的には推奨年齢は15歳以上(高校生~)にしておいた方が無難な気が……。
後は百合に期待してプレイしているのに、BLネタが数回出て来たのが、ちょっと勘弁して欲しいかなって思ったりしました。
百合ゲーだったら、出来れば百合一本に絞ってもらいたいと云うのが、私の勝手な願いではあります。
今の時代、私達にとって当たり前のように存在している物であっても、もしかしたら未来の世界ではなくなってしまい、歴史からも抹消され、未知の物になってしまうと云う可能性もあるのでしょうね。
未来を舞台にし、過去の真実を究明すると云うストーリーは、時間を忘れさせる面白さがありました。
グラが誕生した事で全てが変わってしまったと云う事も怖いと思ったのですが、それ以上に人間の抑え切れない探究心と云う物も、本当に恐ろしい物なのだなと思いました。
世の中には知らない方が良い物も沢山あるとは良く言いますが、確かにその通りなのかも知れません。
伽耶達は何も間違ってなんてなく、全ては過去を隠蔽しようとした者達と、人間の中に眠る探究心の所為だったのかと、そんな風に思った次第です。
隠された真実を解き明かしたい方、ホラー要素が好きな方、悲劇的な結末を望む方等は、是非ともプレイしてみてはいかがでしょうか。
それでは、これにて失礼致します。
- 1