主要登場人物三人の視点からそれぞれ語ることにより、ひとつの事件の全体像が見えてくるという演出が面白かったです。
三人称視点の場合は一度に登場人物全員の心情を語る事も可能ですが、客観的なだけに一歩引いた印象を与える恐れがあります。
しかしこの作品は三人それぞれの一人称で語られている為、登場人物たちの生々しい感情が伝わってきます。
事件が起きるきっかけとなった、美沙子の後押しの言葉。
その出所を考えると皮肉な運命を感じずにはいられません。
少し残念に思ったのは、
秀美さんはともかく、千春にまったく救いがないと感じられた点でしょうか。
まぁ、お話の性質上仕方がないのかもしれませんが……。
個人的には三人の中で、死んでしまった千里が一番幸せになった気がします。
そういう皮肉な感想を抱いてしまうのも、この作品の面白さのひとつかもしれません。
ローナ商会様の制作された、シリアス系百合ADV、“人形と刃とGL”の感想を書かせて頂きますね。
本作はとある日の夜に起こった事件を、主要キャラ三人の女性の視点から描いた物語になります。
12歳を迎えた少女千春と、同じ日に16歳を迎えた彼女の姉である千里、そして、従姉で二人の誕生日を毎年祝ってくれる秀美、この三人が事件に深く関わって来ます。
最初は千春からの視点での物語となり、何故あのような事件が起こってしまったのか、その理由は分からず終いなのですが、秀美視点、千里視点の物語も読み進める事で、事件の真相を知る事が出来ます。
BGMは雰囲気のある不気味系が多く、若干グロテスクでホラーな描写が含まれていますので、苦手な方はご注意を。
多視点によるノベルであり、パズルのピースを一つ一つ見付けて組み合わせて行くように、少しずつ各キャラの心理や謎が分かって行く所が良いと思います。
主要キャラは全員、確かに落ち度もありましたが、心の底から悪い人間は誰もいなかったのだと思います。
とは言え、一番の原因は色々な意味で暴走した千里にあって、千春も勘違いしたとは言え、恐ろしい行為に及んでしまった事もあり、誤解を生むような行動、裁判の際に見せた汚さはあった物の、秀美が一番の被害者だったのかなぁと私は思いました。
もしかしたら、4つ離れたこの姉妹には、少し危険な血が強く流れてしまっているのかも知れない……そんな風に想像を膨らませてみたりもしました。
歪んだ愛が、百合が起こしてしまった、悲しい事件と云う事ですね。
因みに、秀美にはその気がなかったようですが、千春はどうだったのでしょうか。
深読みの可能性はありますが、千春は心から姉である千里の事を愛していたが故に、殺意を持って秀美をあそこまで痛め付けたのではないでしょうか。
美沙子は立ち絵も用意されていたので、物語にもっと関わって来るのかなと思っていましたが、そうではなかったようですね。
人間の複雑な心理を描いた作品だと思います。
非常に短く、直ぐに終わってしまうのが名残惜しくもあったので、次回はもう少しボリュームアップされると良いのではないでしょうか。
百合好きさん、ミステリー好きさんは是非とも遊んでみて下さい。
それでは、これにて失礼致します。
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