主にシステム面を見直せば良いゲームになる
以下、ネタバレを含みますので、未プレイの方は注意してください。
面白いゲームを探して「経営」というキーワードで検索したらこのゲームが出て来た。
グラフィックが大人っぽく上質に感じてダウンロード。
やってみるといくつか気になることがあり、現状ではプレイを続けるのが難しいので
ここにコメントしてみる。作者さんに届けば良い。
ゲームシステムや素材は面白いので、出来れば作り直して欲しい。
まず、これは経営ゲームかノベルゲームか?
ダウンロード前の説明やサンプル画像ではよく分かりにくいので
とりあえずプレイしようとダウンロード(どちらも好きではあるが)。
一応、アドベンチャーとも書いてあるけど、どんなゲームかは掴みにくいし想像しにくい。
そんな状態でプレイして、以下の気になった点を挙げた。
・ゲームシステム…私が一番気になるのがシステムとストーリーの境界線。このゲームではシステムをただひたすら説明していることが多く、ストーリーやキャラの没入などで上手く作品として組み込まれていない。それが非常にもったいなく感じた。展開を追っていくと分かるが、作者のシステムづくりやセンスが面白いのが分かる。ただ、それまでゲームを進める人がいるかは怪しいので、このシステムとストーリーの境界線は早い段階で対応してプレーヤーをキャッチして欲しい。
例えるのは難しいが、こんなゲームシステム考えたけどどうかな?とストレートに言うよりは、ストーリーや世界観に交えて、暗にシステムが伝わる方が良いと思う。そっちの方がプレイヤーものめり込みやすいかな。1000円の食事代が払えずに主人公が困っている→店員さんが働いてもらうように提案(しかも本格的に長丁場になりそう)というのは、脈絡が無く無理にシステムを押している気がする。1000円くらいなら一時間働けば良いよね?と思ってしまう。しかも皿洗いくらいの。そういう時は、例えば、皿洗いをしている時にお客が来る→主人公が何らかの力でお客の不自然さに気付く→店員がその能力に気がついて働くように勧誘…の方が自然かなと。なるべくストーリーや世界観などで自然にシステムに誘導する方が良いと思う。これらとシステムの関係性について作者はよく練って欲しい。
・挙動の重さ…全体的に動作は重いです。一回クリックするだけでも、次の文章が表示されるのにかなり時間がかかる。店員が口を動かすモーションをした後に文章が表示されることが多い。ここは何とかして欲しい。
・画面…セーブやロード、スキップなど、他にも多くの入力項目が並んでいるので、もう少し数を減らして整理した方が見やすいと思う。大体のプレーヤーが最初に気になるのがセーブポイントがどこか探ることだと思うので、それを教えつつ画面の項目を増やした方が取っ付きやすいと思う。必要ならば項目を増やしたり、それらを画面に表示させるなど自由に編集したり。私は画面が複雑だとそれら項目が急に見えなくなってしまうので、シンプルな方が好き。便利な機能を、作業感を持って覚えなければいけないのは苦手。
・ストーリー…上記で述べたシステムとの境界線のこともあって、やや表面的な飾りっぽい。それで収まっている印象。これも何といえば良いか分からないが、システムを強調した影で付いてくる付属品のようなものに自分は感じる。ゲームを進めば進めるほどシステムの説明は強くなり、キャラや世界観の輪郭が甘くぼやけていく。それで良いのかとキャラや世界観に突っ込みつつ進めていくことになりそう。ただ、この二つのバランスを作者が調整すれば、ストーリーも自然に面白くなると思う。ジャンルでいえば、恋愛っぽいものなのか。おつかいやミッション達成タイプの。途中で断念して分からなくしまったが、現状ではシステムの強調もあり、やや不自然な展開のためホラー系かなと思った。怪しいバイトなど怪しい系とか。本編の選択肢にもあるが、働くように勧誘されても、断った方が正しい選択なのではと感させるくらいの展開もある。恋愛、癒し、不思議というよりはホラーや怪しい系に感じた。
以上が、大まかに気になったいくつかの点。これらを見直して、再度ゲームを作れば、非常に面白いものになると思う。良ければ検討して欲しい。他には、チュートリアルの表示が欲しかった。どこまでがチュートリアルで、どこから自分が自由にプレイ出来るのか知りたかった。メニュー画面に行った時にでも、その進行状態が表示されると分かりやすい。後は、テキスト系のゲーム制作ツールに型取りするよりは、RPGツクールの型取りの方が画面も見やすいし、整理しやすいと感じる。プレーヤーも全体像ややることなど把握しやすいし。一つ一つ文章表示で説明するよりはゲームも作りやすいと思う。それか、最初からプログラミングするか。この辺は私もゲームを作ったことが無いので適当なことを言えないのだが、テキスト系の制作ツールではやりづらく感じた。好みやこだわりもあるだろうが、せっかく良い作品なので他のツールで作ってみても良いかも。
最後に、このゲームの良かったところを述べたい。ゲームの良かったところはデザインと音楽。オシャレな喫茶店を感じさせるデザイン、写真選びは素晴らしい。現実でも、お茶やお菓子が欲しくなる。音楽も落ち着きと癒しをもたらしてくれて、世界観に入りやすかった。日常シーンの音楽は親しみやすいものが多いが、これはそれだけでなく作品の世界観を表し、その品質も上げた。数あるゲームの中で、音楽だけでしばらくゲーム画面を開けていたくなった作品はあまり無い。アマチュアもプロも含めて。デザインと音楽はとても好みだ。
また、ストーリーのことになるが、最初の方の展開にあった不思議な設定も好き。ネタバレになるが、店の外に出てお金を持っていこうとすると、お店が消えていたり。よくある人口の多い場所で不思議な体験をして、なおかつ自分だけがそれを知っている。世界にそれを知る自分がどこか取り残されたような、ほど良い残り香を味わう体験をした。本編の進行をさせない、いわばバッドエンドだからこそ感じられるルートは良かった。怪しいバイト?の話を断った産物ではあるが、そこまでの予想はして無かったので。他のルートでも、お店の外でバッグの中を確認したら実は財布があったりなど、店員やお店が何か不思議なことを起こしているのかと推測させるのが良い味わいを残した。
作者はゲームシステムづくりに目をつけているので、ゲーム制作者として才能があると思う。上記でシステムとストーリーのバランスと言ったが、このバランスの面白さが感じられないゲームは最近多い。ストーリーに重きを置いたり、そこに没入したまま帰って来ないゲームは山ほどある。世界観は壮大だが、雰囲気だけと言われるゲームに多い。ストーリーや設定に凝っていて、ゲームシステムは既作品のコピーだったりして単調だったする。片や難しい言葉で語り深い世界を匂わせつつ、片や原始的なシステムのまま発展が見られない。本来ならば逆だと私は思う。制作者は本当にゲーム好きなのかな、と何となくプレイヤーにも感じさせる。こうやって文章にすると分かるが、この時点でバランスも何も無いのかもしれない。とにかく、こういうゲームが多い中で、もし作者がゲームシステムに目を付けたなら、それだけで才能があると私は思う。
これら良い評価もしたが、あまり重荷に思わないで欲しい。これらは私がある程度色んなゲームをプレイして積み上げた上での考えであるし、もしゲームをあまり知らないなら、作者自身が体験しながら考えて積み上げていって良い。きっとこれらを壊すほどのゲームづくりが他の人によって生み出されたり、ひっくり返したりすると思うので。自分が正しいとも思いたいけれど、こればっかりは後になってそうじゃないと言われることもある。作者が思う正しい、考える正しいを私は見たい。それが自分とどれだけ違うのかも。
長文になったが、ここまで読んでくれたらありがたい。作者のゲーム制作を応援している。
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