SLGのようでRPGであり、コミカルのようでシリアスであり。
ver1.00
クリア時間 1時間23分(ED3敗北)
+7分(オマケ)
+7分(ED1)
+4分(ED2)
+18分(死神賢者の日記読了、ED3勝利)
クリアレベル 16(難易度クッキー)
弟子のミーナに弱体化魔法を教えていたら
その弱体化魔法に見事にかかってしまった
魔王軍四天王の死神賢者シェセレーナこと通称シズク。
しかし四天王の残留試験は10日後にあり弱体化したままでは
勝ち目がない。10日間でレベルを上げて試験に臨む短編RPG。
本作は2部構成であり、前半の10日間は準備を整えてからダンジョンに向かい
その10日間が終了すると後半は四天王試験になり、会話イベントとボス戦が3回行う。
スクショやタイトルを見ているとSLGのようにも思えるが
ノンフィールドでひたすら戦闘を続けていくことでダンジョンを攻略していく
連戦ゲーなので、準備したり会話したりしてから戦闘をする点で
実態としては前作のバレンタインと同じ構成のRPGだったりする。
選択肢のデザインやUIがデフォルトのものから大幅変更、進化しているので
コマンドの内容的に前作からの追加要素は冷静に比較すると実はないのだけど
プレイしていて受ける印象はまるで異なっていて、新鮮味が強い。
本作はエンド分岐があり、後半の四天王試験で1戦目、2戦目で敗北するか
によってそれぞれ分岐し、最終戦のみ勝敗はエンド分岐に影響しない。
そのため、セーブは四天王試験の直前が残っていれば
全てのエンドを回収できる。
(敗北したい場合は2人の武器と防具を剥いでからボス戦で攻撃だけしていればよい)
ちなみにこういう構成であるため、
前半の10日間はあくまでもレベル上げとお金稼ぎのために存在するだけで
たとえ、最初のダンジョンでひたすら最初の敵だけ倒して逃げ帰って10日間を
過ごしても、全くその後の展開には影響しない。
ただ、4つのダンジョンを攻略すれば、難易度クッキーの場合、クリアレベルに達するので
普通にプレイすれば、攻略しない選択肢はあまりない。
本作の日数制限は実質的に「ダンジョンから戻って準備を整えるのに制限がある」という
性質のものに近い。
難易度的には前作よりも難しめ。シズクとミーナで完全に役割が分担されており
敵にまともなダメージを与えられるのがシズクに限定されており、
ミーナはHPの回復役とMPの補給役、そして補助に特化しており
前作のバレンタインと違い攻撃スキルもなくなっている。
装備はシズク優先で揃えていく方が効果的で、ミーナの武器は攻撃回数が増えるもの以前は
あまり買う必要性はない。攻撃回数が増える武器はTP稼ぎに少し使えるが
後半は攻撃が激しく、MPも枯渇しやすいのでそこまでする余裕はあまりないので
お金に余裕があれば買ってみるくらいがちょうどいい。
今作も大半のボスに毒は有効で、試験最終戦は勝ちたいのであれば
ボスに毒を付与してから取り巻きを各個撃破するのが有効な戦術になる。
取り巻きといえど、毒は無効、攻撃力も高いので
なるべく早くどちらかを倒さないとかなり危険。
耐久もかなり高いので、取り巻き二人を倒す頃にはボスが毒で虫の息だったこともあり
毒をかけて能力を下げたらボスは完全に放置してもいいかもしれない。
シナリオの発端となった弱体化魔法もどのボスにも有効でかなり強力。
回復アイテムについて、4つ目のダンジョンに行くときには
ある程度HP回復アイテムを準備しておく方が詳細は伏せるが無難に思う。
シナリオの傾向として、敵が味方のプレゼントで食中毒を起こして弱体化する、
各ダンジョンに出現する電気ネズミを思い出させる等ネタ行動にかかないネズミたち
堂々と代表作の画像を表示するメタネタにいらすとやの介入など
コミカルな要素もある中で、ダンジョンがミーナと出会った場所だったり、
試験開始あたりで、ミーナがある不安を吐露したりと
所々で前作の手帳ネタが出てきて、シリアスが噴き出してきている印象。
日頃のやり取りとかでコミカルにデコレーションされているけど
キャラ設定過去などは間違いなくシリアスという
コミカルを装ったシリアス作品である。
そして、その深淵でもありそうなのが今作の手帳。
拠点画面に常時表示されるようになり、内容量も9章立てになって
大幅に存在感が増している。
前作では「死神」にふさわしいカッコよさだったのだけど
今作はある罪の記憶であり、前作のカッコよさを帳消しにする内容である。
改めて前作の手帳を読むと、もはや白々しいとかこんな大事なことを忘れるなよとしか
感想が出なくなるもので、間違いなく「俺は勇者なんかじゃない」の血筋に思う。
そういう罪があるからこそ、今度こそは幸せにしてほしくもあり
忘れないでそういう贖罪の念があってほしいなと思わずにいられない。
手帳はこの作者の真骨頂でもあると思うが、どうしてもコミカルが好きなら
今回も売ってみるのも面白いかもしれない。
シズクとミーナの関係はある種、夢を見ているようなもので
それはいつか醒めてしまうのかもしれない。
コミカル要素に象徴される今作の日常はある日終わりを迎えてしまうような
そんな儚さを感じるのである。
余談として、四天王試験2戦目の相手はあのキャラで
まさかあのテーマ曲まで引っ提げて登場するとは思ってなかったので
驚いたことと、四天王試験になるとショップの店員が別のキャラに変わり、
ビキニアーマーが新たに変えるようになるんだけど、
ビキニアーマーはこの店員の趣味で売ってるんじゃないだろうかと
思ったことを記しておく。
前作よりも視覚的に要素が分かりやすくもなり
コミカルな要素も多い一方で、その裏にはシリアスな部分が出ている一作。
罪を背負った少年とか明るいようで何かに薄々気づいて不安を感じつつある少女が
好きな人向け。
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