神様と孤独な青年の人間ごっこ
やや展開が平坦で眠くなるなと思ったら、後書きを見るとそれすら
意図されたものでまんまと術中にはまった自分が…
いろいろ言われても見放さず尽くしてくれるタマとそれに支えられ必死に頑張る
秋月の姿は応援したくなる。
そしてこれらの理想的な癒し空間を眺める事で、日々の忙しさで忘れがちな
人間性を取り戻してくれるようなゲームです。
途中途中に挟まるミステリアスな夢が最後に繋がるところも良かったです。
#スーパーフィードバックウィーク
バージョン:1.1
孤独を愛する主人公と人に関わりたい神様の少女が、切り取られた一時の夜を過ごす世界観がとても良かったです。綺麗で落ち着きのあるBGMと夜の神社や学校の風景は、プレイヤーもこの夜に迷い込んだかのように感じられるほど雰囲気に浸れました。ラストの展開もグッとこみ上げるものがあり、主人公の想いと共に夜が明ける演出は、主人公の変化も表現しているようで爽快感がありました。
一定の雰囲気とテンポで物語が進むためか、少し眠たくなるような感覚になりました。コミカルなシーンでもBGMや効果音での変化が無いため、起伏が少なく感じるのかもしれません。ですが、「あとがき」を読むとあえて一定の雰囲気を保ち「夢」の中のような体験を演出しているのかと思います。途中で飽きてしまうとゲームをやめてしまう可能性があるため、BGMの変化や効果音での演出を組み込むことや、別の手法で変化を出しながら関心を引きつける工夫があると、離脱率が減りそうです。
・時折、ルビ文章の列が表示される際にガタつく点が気になりました。システム上難しいかもしれませんが、動かないように設定できると、より雰囲気に浸れそうです。
・主人公が人間関係を嫌煙する理由が後半まで明かされないためか、感情移入しづらい点が気になりました。前半から主人公の過去を想起させるような回想や伏線があると良いかもしれません。
・文章が読みやすく、物語の展開が頭に入りやすかったです。綺麗なBGMもあり、より雰囲気に浸れました。物語のテンポが良すぎるため、あえて「タメ」などを作りメリハリを入れても良いかもしれません。
・全体の雰囲気が統一されていて良かったです。オープニングムービーの導入も良く、序盤から物語への引きがありました。
・可愛いキャラクターの立ち絵やスチルでの演出は、穏やかな雰囲気が伝わりやすかったです。ラストの演出は美しく、感動が増しました。
・主人公以外の回想が挿入されるため、物語がどのように着地するのだろうと期待感が高まりました。読みながら物語の展開を考える余地もあり、惹き込まれます。
人に疲れた人におくる、夜の静けさと可愛いヒロインと過ごすヒールな休息。
ver1.1
クリア時間 1時間35分
人と関わることを面倒に思う大学生、秋月響が
誰も人がいない3時45分の世界に迷い込み、
人と関わりたい神様の少女にかまわれて
話し相手になる、静寂が特徴的な短編NOV。
システム的に画面中心に文字が何行も表示され、その後ろに
キャラが表示されるサウンドノベルらしいデザインで
純粋に音楽の雰囲気と文章を楽しむタイプのゲームである。
場面によってはスチルも挿入されることもある。
シナリオの傾向として
どちらかといえば、主人公の心情の方が文章で掘り下げられることもあって
主人公がヒロインに救われる色の方が濃い。
本作の主人公、秋月響は序盤、人間としてどうなんだろうと思わせるキャラで
時間が止まった世界にて、他に誰もいないから「俺がルールだ!
ポリ袋をその辺に捨てたって問題ない」と調子にのるところから始まり
出会ったばかりの神様の少女に対しては
「今あったばかりの見ず知らずのコスプレ女に気ぃ使うかよ」
「別にお前のパーソナリティに興味ない」
「面倒くさいからできるだけ簡潔にしてくれ」等、
物凄くぞんざいに振舞う。
読んだ当初、他人に興味がないから、他人が邪魔で煩わしくてしょうがない
そんな人物像が浮かんでいた。
読み進めていくと、自分なりに頑張るのだけど、上手くいかなくて
できる他人を見るのが嫌いな劣等感の塊のような面も見えてくる。
そして悪い意味でプライドが高い。ぞんざいに扱ったヒロインに
ちょっと手を抜かれたことに気づけば、自分は適当にあしらっておけば良い
たいしたことない存在なのだと、認知の歪みにとらわれて
怒りを爆発させる。
自分が当たり障りのないような言葉に皮肉をこめてしまうがゆえに
当たり障りのないような出来事が皮肉に思えて仕方がなくなる
意地の悪い物の見方をするがゆえの自爆だと思う。
無関心で諦めがちで自己卑下が強く、そして不器用な人間で、
俺を見るなよ、俺なんかと関わるなよ、と刺々しい態度になっていくロジックで
それゆえに彼の求める孤独とは、
(そんな自分を認識させられる)他人から逃避できる場所である。
本作に登場する神様は独自の定義がされており
誰かのためにしか行動できない、ある種の利他主義の象徴的な概念である。
主人公の過去も終盤でそれと絡んできて、
本作のテーマの1つにもなっているように思う。
誰かのために何かをやってあげたとしても
報われなければ意味がないのだろうか。
本作は見返りだとか損得勘定だとかに
雁字搦めになってしまっているイメージがあるのだが
誰かのために何かをするというのは、
形式的には利他的なようで、実質的には利己的な行動ではないだろうか。
誰かのためのようで、その誰かに喜んでほしいと自分が望んだから行動に出るように。
ある人物も最期は可哀想であったとしても、
誰かのために何かをして喜んでもらえるのが嬉しくて
それで満足で完結していたのかもしれない。
「誰かのため」というのは
この主人公が思うほどに高潔な行為ではないのだと思う。
ヒロインについて、とにかく可愛らしい。俗っぽいと称される通り、
人と関わりたくてしょうがないパワーがあって
それで主人公を(脅迫しながらも)振り回すことで
本作の物語を進行させているように思う。
ごっこ遊び的なものが多いのは、出自もあって
普通の人間的なことがやりたいからだろう。
BGMが夜の静けさのリラックスできる雰囲気がよく出ていて
彼女とのやりとりも楽しく、時間が止まっている。
主人公にとって理想的な空間すぎるのもあって
この夜をどう明けさせるのか、その一点は最後まで気になっていた部分だった。
本作は主人公の視点で進むことが多いものの、主人公が眠っている間は
別の人物からの視点が挿入される構成になっている。
何度も共通して入る演出や、別の人物視点の地の文から
この空間は何のなのか、どういう法則があるのかなどの
想像できる余地があり、終盤に意味を持ってくる構成になっているのも面白い。
また、刹那、たまゆらなどキーワードや、ヒロインが説明する通り、
本作はあくまでも瞬間的な出来事にすぎないので
主人公に関してはだいぶ生活は変わったものの、実際変わったのは
2人ともほんのちょっとした部分であり、どこかおぼろげな読後感もある。
執着しない方が良いということなのかもしれない。
本作は一言でいえば「休息」のようなゲームである。
人と関わるのに疲れて自分の殻に閉じこもりたくなったときに
人と関わるのだって良い事があると教えてくれるヒロインがいて、
主人公がひねくれていようと、何とかしようとするあたりが
まさに神様である。
特に自分なんてたいしたことないし頑張れないと疲れた人には
響くものがある一作だと思う。
感想
最初は静かな雰囲気だったが(主人公が自虐的で むしろ暗い?)ヒロインが明るいんで結構ギャグ多めで騒がしい話になります
でも最後は・・・で、昔のギャルゲー・エロゲーみたいなストーリィでした
孤独がテーマっぽいけど神様系ヒロインとのギャルゲーっぽかったです
癒し系音楽は1曲以外全然知らない音楽なので他のフリーゲーとはちがう雰囲気
opムービーまであってかなりいい感じでした
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