攻略無しかつ初見では碌なエンディング回収が出来ない
数多くの悲劇を生み出した制度を変える程の力を持ち合わせてない(というより全体環境のせいで、そもそもそんな意向はない)一般人が自ら小さな幸福を掴んでいくの物語。
日本産作品特有な繊細さを全面的に剥き出しいる一方、多少政治や理念の部分もあるが、このゲームにおいてはオマケ。
前レビューした方々が言った通り、「人間性を味わえる」かつそれに集中した一作となっている。
ゲームに慣れた奴は攻略無しだと初見大体王子ENDになると予想は出来る。
回復は殆ど薬頼り、最大限にステータスを伸ばせる一方、好感度が足りなく未来しか見えない。
(自分は100好感度で足りるんじゃない?と思った)
あと、自分は全てのエンディングの中、軍人が一番好き。
欲しい物は自ら勝ち取っていくその芯の強さ、気に入った。
台詞回しが好き
キャラクターとの3つエンディングと、プリンセスになるエンディングだけクリアした感想です。
とにかく、台詞回しや世界観が凄く魅力的でした。自分はストーリーよりもゲーム性を楽しみたいタイプなので、台詞を流し読みしてしまう癖があるのですが、このゲームは台詞が舞台調というか、個性的でストーリーに没頭してしまいました。ストーリーの完成度だけではなく読んでいて楽しい台詞やストーリーには中々出会えないので凄く楽しかったです。
ストーリーは1つ1つ長めですが、挿絵(スチル)が多く挟まれるので2週目以降もストーリーを楽しむことが出来ました。
ゲーム性は他の方のレビューにもある通り、プリンセスメーカーに近い育成シュミレーションです。他に言うとときメモにも育成システムは似ていると思います。この2つのゲームをやったことがある人なら親しみやすいゲーム性だと思います。(全くシステムが同一という訳ではないです)
女の子(モリス)を育てながら3人の男子と交流するという流れなので、男性が女の子を育成するゲームとしても楽しめると思いますし、女性がちょっとした乙女ゲームとして楽しむこともできると思うので男女関係なく多くの方にプレイしてほしいゲームです。
このゲームは「少年旗戦エンボイズ」というゲームのスピンオフで、もちろん前作をやっていなくても今作だけで楽しめるゲームになっていますが、このゲームのあとにでも前作の方をやると今作に出てきたキャラのまた違う一面を見れるのでそちらもオススメです。
重厚なストーリー、細密な心理描写、映画化して欲しいぐらいの傑作
プリンセスメーカーをご存知でしょうか。娘を育てて嫁に出す…というゲームコンセプトに逆らい、嫁にはやらずに自分が娘と結婚するというスーパー溺愛お父さんプレイを楽しむ名作でございます。
で、プリメ大好き星人の私は「ちょっとハード系のプリメなのかな」ぐらいの軽いノリでプレイし始めたわけです。が、良い意味で大きく裏切られることとなりました。
本作は育成SLGでありつつ、テキストも相当な量があるためノベル的側面もあります。このためサックリ派よりもガッツリ派にオススメのゲームですね。
テキストが素晴らしい、ムービーやスチルの演出が素晴らしい、ゲームバランスが素晴らしい…といったことは皆さんのレビューをご覧になれば瞭然かと思いますので、私はこの美しくも過酷な物語に足を踏み入れる前の最後のおやつとして、若干アレな考察?を書くと致しましょう。
■ババア結婚してくれ!
主人公のルカーヒさんが最高過ぎなんですよね。
作中で頻繁に「ババア」と呼ばれるルカーヒさんですが、我々の感覚で言えば全然ババアではございません。作中の言葉や実績等から考えると27、8歳といったところでしょうか。
しかしながら、兄さんが18歳で隊長職に就いていることから考えると作中世界の成人年齢は15歳程度(もっと若いかも)であり、その世界で27、8歳というと人生の折り返し地点直前=我々の感覚では40歳付近となります。よって、血気盛んな若造達から「ババア」と口汚く罵倒されるのもまぁそんなもんかなというところでございます。
■この衣装を入手しろ!
入手条件は攻略ページに載っています。
踊り子…衝撃の丸見え衣装。何が丸見えなのか、是非その目で確かめて頂きたい
ネイチャーワンピ…目を凝らして見るのだ、さすれば見える
魔女服、赤ずきん…かわいい
■メイサ君は許さん!処刑!
絶許でございます。
ED4のルカーヒさんの反応からすると、チュンチュンイベントはマジチュンチュンであったと考えるべきでしょう。
即ち、チュンチュンを経てED6を迎えた場合にはメイサ君はモリス共々処刑されることになります。モリスが口を割らなければメイサ君だけは助かるかもしれませんが、それはそれで生き地獄でしょう。
ED6に行かなくても教会(どのような教義かわからないのでアレですが)にボコボコにされる可能性も高いと思われるため、唇を噛み切ってでも我慢するべきでした。
しかし、あの状況なら誰だってああするでしょう。俺もそーするというヤツです。仕方が無いのです。モリスも悪いのです。だが許さん!
大変素晴らしいゲームでございました。製作者様に感謝を。
プリンセスになるのが本当に幸せなのか、シビアな階級社会の中で宝を考えさせられる育成ゲーム。
クリア時間 5時間55分(ED6)
+6時間9分 (全エンド回収まで)
+36分(全洋服回収まで)
王宮を追われたフラワーメイヤーのルカーヒが
スタルウェブ魔法兵隊長の妹モリスを
王子様の妻、フラワーに選ばれるように育てる育成SLG。
1ヶ月が28日(4週間)で構成され、
1月7日から12月21日までの350日の行動を1日ずつ決めていく。
行動によってパラメータが上がるものもあれば下がるものもあって
大半の行動で下がってしまい、その結果状態異常の条件や
エンド条件になるパラメータ(代表的なものは好意)
を上手く上げる必要もあって、バランス感覚が求められる。
本作を進める上でまず指針になるのがフラワー試験である。
フラワー試験は月の2週目の日曜に行われ、
試験ごとに求められるパラメータが違い
どのパラメータがどのくらいの量あれば勝てるかは
セーブロード項目の大会表を見れば分かるようになっている。
多くのプレイヤーは次の月の試験のフラワー試験に勝つことを目標に
パラメータを上げて、モリスを育てていけばいいことに気づくので
プレイヤーを本作のシステムを理解させるうえで
良い方向づけになっている。
もちろん、このフラワー試験の勝った回数が
一部エンドにも影響してくる。
本作の難易度は全くの初見で手探りでプレイするとかなり高いと思われる。
添付されているエンド条件や
攻略サイトでどの行動がどうパラメータを変化させるかを把握しながらやると
だいぶ下がるので、この2つは見てしまっても良いと思う。
また、最初に選べる難易度に関しては
おそらくモリスの初期パラメータの違いだけである。
ノーマルで始めると人気以外が50で
ベリーイージーだと体力知力が80、乗馬舞踏美術が100、
意欲気品魅力が80、従順博愛が60、好意が100で始まる。
ある程度余裕をもってプレイしたいならベリーイージーがおススメ。
ノーマルだとちょっとした選択ミスが致命的になりやすくなかなかシビアで
ギリギリでフラワー試験になんとか勝てるパラメータになることも多かった。
月末近くの日曜日あたりに
イベントが挿入されることが多い。
本作のイベントは全体的にスチルが多く、
そのスチルもキャラクター一人をフォーカスしたものも多いので
非常に迫力があって世界観に引き込まれる力があって
見ごたえがあるものになっている。
演出絡みで、ツクール製のゲームとしては珍しく
オープニングやエンディングにもムービーが使用されており
オープニングの段階でおおっとなった人も多いだろう。
また、イベントごとにモリスの服装は変わっており
イベントで見たものに関しては育成パートでも
着せることができる着せ替え要素も存在する。
特定のエンドを見ることで入手できるもの、
特殊な条件を満たすことで入手できるものも存在しており
ちょっとした本作のやりこみ要素の1つになっている。
その衣装の数は60を超え、
可愛らしいデザインのものはもちろん、
露出の高いものや彼シャツ等のお色気衣装もある、
服装によって、髪型や表情も変わってくるのも面白い。
個人的な趣味だと、人魚姫の衣装がお気に入りで
入手後はずっと着せていた。
後はブルーリボンの服がストレートにかわいらしい感じが出ていて、
見習い軍服は前作にあたる少年旗戦エンボイズを彷彿とさせて
それぞれ好みの服装だった。
シナリオは階級社会の恐ろしさをとことん詰め込んだ内容で
上流階級の人々が陰湿で
下々の人々に手を貸すことは彼らにとっては、はしたない行為であり
身分の低い人間をボロ衣扱いして暴行する者もいる。
とことんみじめな思いを味わうことができ、
ルカーヒたちの下剋上のためにもモリスをフラワーにするべく
育成を頑張るというモチベーションにもつながっている。
意地悪を受けてきた女性が王子様に認められることで幸せになる、
本作はシンデレラを少し意識したシナリオだと思う。
ただ、モリスには想い人がいて、彼女はその人物のために
フラワーになるべく頑張っているのだけど、
フラワーになるにはその想いを捨てなければならない。
彼女がフラワーになるというのは表面的にはルカーヒたち全員が
幸せになることだけど、実態もそうなのかは
途中あたりから疑問に覚えてくる。
その他方で、貧民階級の人々とのあたたかい交流の中で出てきた
「宝」というのが本作のキーワードで
「ほかのものを捨ててでも、自分が守りたい宝は何か」という
問いかけも含んでいると思う。
※以下、ちょっとした攻略メモ。
完全な手探りプレイをする場合は
習い事コマンドは費用も高く、曲者ぞろいなので注意。
ダンスとバレエは、どっちも舞踏が上がりそうだけど
片方は舞踏で、もう片方は美術が上がるコマンドで
このことが把握できてないと6月の舞踏試験で負ける。
また、ピアノは舞踏と美術が上がるため、習い事の費用を安く抑えられ
8月の全試験に向けて便利なコマンドに見えるのだけど
使いすぎると次の9月の面接で意欲が足らなくなる。
9月の面接から人気意欲気品魅力貞操が求められるが
これらのパラメータは何で上がるかが分かりづらいので
どの行動で上げられるかを把握していないと
かなり辛い育成になると思う。
土曜日コマンドは費用もかからず能力も上げやすい、
フラワー試験のために能力を調整しやすい日なのだが、
上がりにくい人気と魅力を上げられる広場や
男性キャラの好感度を上げられるデートコマンドもあるので
どのエンドを目指すかで大きく行動が変わってくる
一週間の中では最重要な日だと思う。
特に男性キャラを攻略する場合は
デートできる期間が限られていて
これを逃すと好感度をかなり上げにくいので
積極的にデートしていきたいところ。
日曜日は郵便受けのチェックと関係面談で
お金とアイテムと好感度を少しでも稼いでおきたい。
数値的には微々たるものでも
その微々たる数値が足りなくてエンド条件を満たせないこともあるので
重要性は高いとも思う。
基本的に休憩コマンドはHPが切れたときに強制的に選ぶしかなくなる
ペナルティコマンドであり、能力も下がってしまうデメリットが強い。
HPが少なくなって来たら、赤い薬で回復する方が良い。
ルカーヒの行動について序盤はフラワー試験のために指導力を高め、
いずれもが140を超えたあたりから
ふれあいにすると下がりやすい好意をカバーできる。
ルカーヒの行動の結果がパラメータに反映されるのは
金曜日にまとめてなので、その点はやや注意。
本作はイベントをすべてスキップしても1周するの2時間はかかる。
効率よくエンド回収するのであれば、1周目のセーブデータの
9月頃、11月始めの2つを残しておきたい。
ED7、ED9、ED10は求められるパラメータがそこまで高くないため、
11月初めからの2か月があればおそらく達成できる。
何もしなければED11、好意をわざと下げてED2も狙える。
ED10はパラメータではなく特定の行動を選んだ回数のため、
少し余裕を持たせて9月頃のセーブデータを用いる。
メイサの好感度がある程度あるならそのままED4も目指せる。
2周目は全員好感度30にしてベリーイージーではじめて
フラワー試験に勝つことを目指しながらも土曜に
日向ぼっこできるときははスタルウェブ、
できないで森の湖に行けるときはメイサ、
終盤はアルバートの好感度を上げていく。
メイサはED1を見るための要員なので好感度以外は放置、
大会でずっと応援しているとアルバートが10月くらいに
秘密の遊びに誘ってくるので、そこでセーブデータを分けて
ED1→ED5→ED3と回収した。
※エンドと各キャラについて、行数の関係で
ここの感想欄に収まりきらなかったのでここでは割愛する。
時間はかかって、暗めの世界観ではあるのだけど
その分、そんな世界で生き抜くキャラたちは魅力的でもあるし
ものすごくどっぷり世界にハマれるゲームだと思う。
中世の世界が好きな人はもちろん、
どこか素直になれないキャラや
計画的にパラメータを育成するのが好きな人にもおススメしたい一作。
醜く美しい世界
人間関係ストーリーを深く味わいたい方は、やって損はないお話です。ファンタジー小説を読んでいるような、そんな物語を楽しめました。しかしなかなかしんどい世界なので、一気に摂取すると危険かもしれません。加えて選択肢…というか、目指す方向が多岐に渡るため、試行錯誤も必要です。時間に余裕がある時にちょこちょこ進めていくのも良いでしょう。そのやり方も結構くせがあるので、兎に角このゲームに慣れるまではやや苦労するかもしれません。慣れる前に突貫してみて玉砕するのも一興ではありますが。
物語として進める世界全体が、まず最初に語られるように、滅んだ国、とおとぎ話に出てくるような存在で入っていくように、暗くて悲しみがそこかしこにチラホラ見え隠れする場所です。そういう世界が好きな方にはたまらないものです。
結構な時間泥棒ですので、合う人は特に現実世界の時間を天秤にかけて遊ぶと良いでしょう。げんきんなルカーヒさんも良いものでした。良い作品に出会えて感謝します。
大幅ボリュームアップ
少年戦旗エンボイズの女性版
と思ったら、ボリュームが段違いでした
期間が1年と長いです
ただ、概ねの方向性は一致しています
能力を養成し、各必要条件を満たせば当該エンド
必要とされる能力に結構偏りがあるのも同じですね
師弟の交流からそれぞれが心の成長をし信頼関係を築いていく王道ストーリーも然り
押し花の意味は、終盤でわかります
薬の使い加減と数値の取捨選択で大分プレイが楽になるのも同様
序盤さえ乗り切れば、後半はかなり余裕が出ます
全大会優勝自体はそこまで難しくないです
かつかつで厳しかったのは意外にも親密度
ベストエンドを狙う場合、事前情報なしだとまず機会を逃します
後は、あるキャラに必要な礼節パラメーターも後半から愛情を上げるにつれ反比例で下がったため
狙う場合は工夫が必要でしょう
ワンプレイが短くないのでクリア条件だけは確認してプレイしても良いかと思います
舞台自体があまり幸福な世界ではないため陰湿な場面も多いですが
希望を持てるような人間物語が描かれているのでオススメ
全クリから数日経っても余韻が残っている
難易度ベリーイージーでプレイしました。全体プレイ時間がちょうどよく、物語も育成パートも丁寧に作られていて、ボリュームも大満足です。ver1.0で3つのエンドを見たところでver2.0に更新されました。ちょうどこれが欲しいと思っていた機能が追加されたおかげで、スムーズに全エンドを見ることができました。ありがたい…
行動を選択することが可能なルカーヒとモリス、二人の視点で自然に感情移入ができて楽しかったです。
▼以下ネタバレを含みます
初回の王子エンドで、恩師と唯一の家族の思いを汲んだ高潔な選択にわりと納得してしまって、作者さんのサイトの攻略情報でストーリーエンドの存在を知ってからは、慌てて2周目を始めていました。兄さんのことを、娘(妹)を嫁にやるのが淋しい熱血頑固親父のように思ってたんだ…すまない…
過去のNodionBoyシリーズと一緒にまた遊び直します。面白いゲームをありがとうございました!
自分の道を真っ直ぐに
ver.1.00でのレビュー、軽度のネタバレを含みます。
2年間待ち、ついに公開されたゲームでした。絶対に面白い、と信じながらプレイした結果想像をはるかに飛び越えた作品でした。本当にありがとうございます。
本作をプレイされる方は、ガキノハウスさんの前2作を先にやっておくとより楽しめると思うのでオススメです!
人の心の機微、表に出ることはなくとも心の底に渦巻いている感情を描くのが本当に上手く、一筋縄では行かない人間性の厚みをそれぞれのキャラから感じました。本作は誰もが何かを抱えながらも自分の足で、自分だけの道を歩いているのだと強く訴えかけて来ます。テーマは分かりやすいけれど深みがあり、またラストに至るまでの話の流れが素晴らしく、ストーリーエンドに到達した時の達成感は凄まじかったです。作中一番の難易度を誇るエンドですが、この作品の凄まじい熱量はこのエンドに集約されているといっても過言ではないかもしれません(過言かもしれません)。
ただ、育成パートがなかなかシビアな為、ノープランで周回はかなりの時間と体力を使うかと思います。作者様のサイトに細かく攻略情報が記載されている為、参考にしながらのプレイをオススメします。
制作お疲れ様でした、楽しい時間をありがとうございました。
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