ちょっとムズイかも?
何せ、PCのキーボードで精密なアクション性の高い動きはやりにくい。アドベンチャーならアドベンチャーらしく純粋な謎解きにしてほしい。
薔薇の花に導かれる真実
阿木 日香里様の制作された、百合脱出ADV、“雨鈴鈴曲”の感想を書かせて頂きますね。
本作は友人である鈴奈を探す為に、同じく友人の鈴と一緒に、来ては行けないと言われている場所にやって来た、雨音と云う少女の姿を描いた物語です。
前作“琴瑟相和”も百合度が高めの脱出ADVで、非常に楽しませて頂いたので、新作である本作のプレイを楽しみに待ち望んでおりました。
それでは、簡単に気になった点、良かった点を、下記に纏めさせて頂きます。
【気になった点】
・決められた道を進んで行かないと、即ゲームオーバーになるイベントが2つ程あって辛い。何度もロードし直してメモを取って行くのは地味にストレスなので、出来ればゲームオーバーせずとも、何らかの方法でクリアへのヒントが得られると嬉しい。
・逃げ要素自体は問題がないが、難易度はそれなりに高い部類に入る。直前セーブの配慮はされている物の、とあるルート終盤のイベントが運も絡んでかなりキツい上に、直前セーブが出来ず、しくじると若干長いイベントを見直さなければならなくなる。
【良かった点】
・何と言ってもガチで濃い百合要素(笑)。前作以上の百合度合で、百合豚が喜ぶポイントをしっかり押さえており、ギャグ的のみならず、シリアス的にも百合要素が一際光っていた。
・ストーリーラインが良く、物語がとても面白い。脱出ADVではあるが、ノベルゲーだと言っても良いかも知れない。プレイヤーが心から感動出来るシーンが多数見受けられた。
・どのキャラも個性的で魅力を感じられる。主人公の雨音が穏やかな天然タイプ、彼女を奪い合う鈴と鈴奈は明るく積極的と云った感じで、彼女等の会話のやり取りを見ているだけで楽しい。
・追い掛け側のホコグラがグロテスク。しかも自棄に素早いから、プレイヤーを必死に逃げようと云う気持ちにさせてくれる(笑)。
・単純にクリアしたいだけであれば、フラグを立てて行く事は非常に簡単。特定のルートに入りたければ、程良い努力が必要になる所も、ゲームバランス的に良い。
置かれている状況が状況なだけに、やはりストーリーはシリアス寄りではあるのですが、そんな中でもニヤニヤさせてくれる百合会話の存在が、モチベーションを維持し続ける効果を発揮してくれておりました。
何となく雨音と鈴の関係が、Girls Carnival!のカルアとミモレのような雰囲気で、個人的には一押しではあるのですが、トゥルーエンドはまた別のカップリングになってしまうので、ちょっぴり悲しく切ない気持ちになってしまったり……。
また、今回は女性同士の恋愛だけでなく、男女間の恋愛も軽く作中で描かれており、それも百合を感動的に見せてくれる為のポイントだったと言えるかも知れません。
ルートは5種類、1回当たりのプレイ時間も30分程度で短めだと思いますが、全て見ようとすると、程良い時間と根気が必要になるかと思います。
百合ファンとしては、完成度も非常に高いノベル寄りの百合脱出ADVとなっていて、文句の付けようがない良質な作品だったと言えるでしょう。
どのルートも味があって、ラストはそれぞれ異なりますが、何れも心から感動する事が出来て、本当に大満足。
作者様の物語作成の高いセンスを感じられ、ノベルゲーの製作も期待してしまいたくなります(笑)。
百合が好きな人には是非とも遊んで頂きたいですし、脱出ゲー好きな人にもプレイして頂き、自らの持つ百合魂に目覚めて頂きたい、そんな風に思える作品でありました。
それでは、これにて失礼致します。
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