作者のこだわりがこれでもかという程に詰め込まれた渾身の良作
※ver1.02時点の感想です
<ゲームの概要>
主にロックマンシリーズをオマージュしたシステムの2D横スクロールアクションゲーム。
同コンセプトの作品の2作目であり、基本的な仕様は前作とほぼ同じ。
登場する主なキャラクターは、作者のオリジナルキャラ以外にも現在活動している様々なゲーム制作者やイラストレーターの方々の作品のキャラクター達を新規で登場させている。
<前作からの変更点や比較>
・セシリアが初期状態から2段ジャンプが可能になった。
・選択式である最初の8人のボス達を倒した後、9人目のボスと戦うイベントが出現するようになり、取得できる魔法・剣技の数がそれぞれ最大9つに増えた。
・前作ではセーブデータの表示画面に分岐ボスの相手が事前にわかる表示があったが、今作では表示されなくなった。
・前作で特に難易度が高かった強制スクロール系のステージと氷床のステージの難易度が今作ではやや抑え気味の調整がされている。
縦の強制スクロールは前作だとシアステージで上下に動く足場があったり落下すると立て直しが困難な状況になりやすかったが、今作のリオステージでは足場の特殊なギミックはなく下からせり上がってくるマグマは落ちてもダメージを受けつつ足場になるようになっており立て直しがしやすくなっている。
横の強制スクロールは前作だとノインステージで少しでも壁に引っかかるとそのまま即死する感じだったが、今作のツィーステージではスノボー形式で警告アナウンスの通りジャンプやスライディングを確実に行っていけば特に引っかかることなくクリアできるようになっている。
又、前作で猛威を振るっていた氷の足場を使用したステージも、今作では氷の足場の使われている場所がかなり限定的となっているので、ほぼ問題のないような感じになっている。
・前作だとあまり苦もなくハメパターン化できるボスが割と多かったが、今作はボスの単純なハメパターン化は対策調整されているボスが多く、全体的に前作よりもボス戦の難易度が底上げされている感じになっている。
【良かった所】
・オープニング、ボス戦前、ステージクリア後などに頻繁に会話イベントシーンが挟まれ、それぞれのキャラの立ち具合がしっかり伝わってきて見ていて楽しい。
これだけの大人数のキャラが出演しているにもかかわらず、皆個性豊かで埋もれているキャラが全然いないのがすごい。
・前作に続き、グラフィック素材を自前で用意している量が相当多い。
キャラ達のアニメパターンがフリーゲームとは思えないレベルで多彩に作り込まれており、作者のキャラ演出のこだわりを強く感じられる。
又、主要キャラの立ち絵も新規で用意されており、主人公たちは武器入手デモ時、ボス達はエンディングロール時に見ることが出来る。
・ボス戦の行動パターンもよくできているものが多く、最初は苦戦する相手もパターンを掴むことでちゃんと攻略できるような調整がされている。
・ステージもそれぞれ特徴的なギミックがあり、構成もよく練られているので、遊んでいて単調さはほとんど感じられない。
・BGMには8bitテイストのハイクオリティな楽曲を多数使用していて、どれもステージやボスの雰囲気に合いつつも良曲揃い。
中には某ロックマンシリーズの作品を明らかに意識して作られたと思われる曲もあり、原曲を知っているとニヤリとできるものも。
・前作同様、EASYモードが途中からでも切り替えられるようになっており、また道中にE缶的なアイテムが全ステージに配置されているなど、クリアが難しいと感じたプレイヤーへの配慮がされている。
【気になった所】
・アデレナステージのリフトの軌道が結構複雑な動きをしているものが多いにもかかわらず、その軌道がわかるラインの表示がない。
さらにその状態で複数の魔方陣からハーピー達が継続して召喚される箇所があり、この対処に意識がいくのでリフトの軌道を読む余裕がなくなりがちになる。
リフトのラインを示す背景表示とかはできればあった方が良いかと思う。
・アデレナステージ中盤の最初の高速で前方から体当たりしてくるハーピーによって穴に落とされる箇所が結構な初見殺しとなっている。
例えば、その少し前に見せ演出として先に1匹目を当たらない上方の位置などで横切らせておくなどすれば、理不尽さは大分減るかと思う。
・アデレナステージの終盤に出てくる中ボスの鳥の耐久力が、ロゼッタの通常弾で戦うと攻撃のチャンスが少ないためか、やたらしぶとく感じる。
さらにもし手こずった末にやられた場合は中間地点まで結構な距離を戻されるので、中ボスとの戦闘時間も含めてかなりの時間ロスをくらうことになってしまう。
ここの中ボスはもう少し体力を低くしても良いかなと思う。
ただロゼッタの場合だとサンダースパークを先に入手していれば容易に倒せるので、そこまで問題視されることでもないかもしれない。
・リオステージのマグマがせり上がってくる強制縦スクロールの所で、早目に上の足場へジャンプした時に画面上部の見えない敵に丁度当たってしまうような敵の配置になっている箇所が結構ある。
・水中でジャンプの高さがボタンの押し長さによる高さの調整ができないので、特にラズリステージ後半など低ジャンプによる移動や回避がしたい所がそれができずに苦慮しがち。
・ロノウェ戦とセレーナ戦での部屋のギミックによる難易度の影響がやや大きすぎる気がしないでもない。
セレーナ戦の流砂の方は一応慣れれば対処はそこまで難しくないとは思うものの、ロノウェ戦の氷の足場の方はある程度慣れてきても常に対処するのはやや難しめに感じる。
ロノウェ戦は通常床にしつつ飛ばした氷塊が着弾した箇所が一時的に氷の足場になるとか、セレーナ戦は左右どちらか一方の流れにしつつボスの演出で流れの方向が変化するくらいでもよかったのではと思う。
・スノボー時、前を押していなくても勝手に前進するのがちょっと気になる。
制作ツールの仕様上スクロールと速度を合わせるのが難しかったのかもしれないが。
・スノボーで下り坂を降りきったタイミングで一瞬動作が硬直することが稀にあり、その影響なのか下り坂直後にスライディングをする所で何回かに1回は下を押していてもジャンプが暴発することがあった気がする。
因果関係の確証はないのだけれど、この現象がたまに起こることを考慮して、下り坂終わりとスライディング箇所の間隔の調整などを少し検討して欲しい所。
・スライディングの継続時間がかなり短めな仕様なので、これがスノボー時のスライディングでくぐるところのタイミングをややシビアなものにしている気がする。
せめてスノボー時だけでもスライディングの継続時間を多少長めにできないのだろうか。
・最初にロゼッタを選んだ場合のプレイだと、ラピスステージ初見時でのダッシュの指示が出た時に対応ができない人が一定数いるのではないかと思う。
そういう人用にここのスノボーに乗る直前に看板(説明のポップアップ)とかでダッシュ操作ができるということを知らせておくとかすると親切かも。
・ラピス/ラズリステージの中ボス(マンダラ笑み岩)が弱点をつかないと割とてこずる感じのボスなので、初見とかだとここでやられて一気にスタート地点まで戻されてしまうのが少しキツいかもしれない。
できれば直前にリトライポイント部屋とかあればよかったかもしれないが、スタート地点まで戻されるとはいえ中ボスまでの道のりが大して長くないので微妙な所かも。
・ラピスステージ後半のスノボー地帯でEASYモードの時、ジャンプの場面で補助ブロックが段差状に配置されている箇所があり、これがむしろジャンプ時の邪魔になっている。
・無敵状態行動パターンの時間がかなり長いボスや、頻繁に無敵状態行動を繰り返すボスが何人かいて、それらのボス戦は戦闘時間が長引きがちになる。(8ボスだと前者はリオ発狂時、後者はアウラル発狂時やツィーなど)
特に顕著なのがスネールステージ1のボスであるスライムで、いわゆるイエローデビルタイプの行動パターンを行うのだが、分裂体が全部揃ってから攻撃が当たるようになるまでの演出時間がやや長めで、さらに後半戦では変化した行動パターンの後に続けてさらに分裂合体も追加で行うようになるため、全体的にもかなりテンポが悪いボスになっている。
ロゼッタで弱点をつけば最速で2ターンで倒せるがそれでも中々時間がかかり、さらにセシリアだと弱点や3段斬りをダメージを受けないようにあてるのがかなり難しくなっておりその関係でロゼッタの倍くらいの時間がかかる。
又、ラスボス第二形態もかなりの長時間無敵状態が続く行動パターンがあり、さらに後半になるとそのパターンの時間が倍くらいに伸びるので、まるでアンダーテイルの戦闘をやっているような気分になってくる。
・スネールステージ2のボスのギミックでメーターの溜まるペースがやや少なく感じた。
このペースだと特殊武器無し縛りでやる場合などは相当な時間がかかると思われる。
個人的には3回くらいでメーターが満タンになるくらいの方がテンポが良いかなと思う。
・ロゼッタ編のスネールステージ1ではヴァインウォールを足場にして進めなければならない箇所が割と多くあるのでテンポが微妙に悪く、さらに場合によっては武器エネルギーを稼がなくてはいけなくなる状況になる可能性もあると思う。
ヴァインウォールを使用する箇所のうち、序盤の2箇所はステージ構成として面白みがあるとおもうが、中盤の段差で続けて使わせるところはここでわざわざ使わせる意味があまりない気がする。
・スネールステージ3終盤の幻影魔術師がいる部屋を上に登っていくところが幻影魔術師が盾に守られていて簡単には倒されないようになっているので、ここが初見だと結構手こずる難所になっている。
セシリアなら抜け道がさり気に用意されているのでそこに気づけば容易に突破することが可能なのだが、ロゼッタだとそれができないため幻術状態で進めるのが苦手な人にはかなりキツい仕様となっていると思う。
また、死神と魚の凶悪コンビは前作に引き続きここでも健在だが、EASYモードにすることで幻影魔術師と死神達のどちらも出現しなくなるようにできるので、詰まったらこれで回避すればいいということなのかもしれないが。
・ラスボス後半の攻撃パターンに回避方法がかなり気づきにくい即死技があり、これは前作のボスのとある攻撃パターンを知っているとそのイメージからさらにわかりづらくなっている感がある。
ただしその攻撃パターンが出ることなく倒せる場合も割とあるので、回避方法を見つけなくてもあまり問題ないかもしれないが。
・ボスから入手できる特殊魔法・剣技が前作に比べて割と癖のあるものが多い。(例えば、ロゼッタは中近距離の設置系魔法が2種、地上のみ使用可能で使用時に硬直時間のある魔法が2種ある。)
武器取得デモだけでは全容のわかりづらいものもあり、さらに説明書には各魔法・剣技の概要が全く書かれていないので、実際使用して初めて効果がわかるものもあったりする。
【総評】
他製作者産のキャラ達を集めたお祭りゲーをロックマンライクに仕立て上げるというコンセプトが上手くハマった良作です。
これだけ作り込みがすごい作品を前作からわずか約1年半程度でリリースするという、作者の開発力の高さにも驚かされました。
一部のボス戦や特殊武器の仕様などで前作よりもテンポが多少悪くなってる感じはあるものの、全体的にゲームバランスが前作よりも整っていて遊びやすくなっていると思います。
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