※一部ネタバレを含みます

　悪徳女勇者を屈服させたくてプレイしてみましたが、さくっと遊べる放置・クリックゲーで、面白かったです。
　魔王を倒しに行く勇者パーティーのメンバーたちを倒すために強くなる、という愉快なメタRPG要素にとどまらず、その気(と暇な時間)があればいくらでも増やせるステータスや素材アイテムという、放置収集・無限クリックの要素までしっかりと落とし込まれていて、一気にのめり込んじゃいました。

　ほぼ一本道の冒険マップと、つど戦闘準備をするために戻る広すぎない拠点マップとに分かれていて、チュートリアルキャラや看板メッセージの案内もあったため、遊びやすかったです。
　冒険となる道程もそれほど短くはないですし、繰り返すモンスター討伐以外にも、各所でのギミック・サブイベントやユニークなキャラクターとの交流、陰鬱とした場所から明るい街マップに出た時の高揚感など、全体のボリュームに文句はありません。どこまで進んでも一瞬で拠点に帰れるアイテム「おかえりウィング」や、要所々々に置かれた拠点とのワープゾーンも便利でした。

　放置要素が多いのも魅力です。欲しいアイテムやステータス、お金なども基本的には放置・クリックで稼ぎます。
　また、モンスター討伐時に入手できるアイテム数を決めるステータスも存在し、その他の基礎ステータスと同様に稼ぐことが出来るため、そういったインフレにも対応したモンスター配置を前に「討伐→ステ上げ→討伐→ステ上げ」を繰り返すのが、ただの放置ゲーではない面白みでした。このRPGでは、戦闘に勝っても強くなりません（？）

　進めていくごとに出来ることが解放されていくゲーム構成も、ファーム好きにはたまらなかったです。
　徐々に増えていく素材アイテムの種類も多すぎることはなく、ショップ購入や行商人との交換などが楽しめる程度には豊富でした。ゲーム内で使う通貨も３種類ほどに増えていき、別の通貨を買うことなども出来るため、どの通貨をどのショップで何に使おうかと吟味する楽しさも味わえます。のんびりとした雰囲気に、いくつかの放置要素や遊び心もある拠点マップがかなり魅力的でした。

　個人的には、僧侶の戦闘後メッセージ表示のオンオフを切り替えられることに驚きました。この一点をとっても、心配りの行き届いた放置クリックゲームだとすぐに分かります。
　悪徳女勇者たちを屈服させる描写はそれほど多くはありませんので、ゲームタイトルはそのメインコンテンツを示さないのですが、ゲーム進行の目標としては十分に機能しており、彼女らを閉じ込める地下牢の存在は、朗らかな雰囲気の拠点マップに薄ら寒い空気を薄く流し、ゲーム全体に漂うメタRPGの深みをいつでも思い出させてくれます。

いくつかのやりこみ要素もあり、最後まで楽しくプレイさせていただきました。ありがとうございます。
機会があれば、作者さんが公開されている他の放置クリッカーも遊んでみたいと思います。


　以下、気になった点。
・マップ全体を俯瞰できる地図のようなものがあったり、拠点のワープに移動先が表示されたりすると、マップ移動がよりスムーズで簡単になりそうな気がします。
・おひねり幽霊の品揃えが、上位報酬の証を入手後すぐに切り替わるため、少し驚きました。「どんな品揃えだっけ、もっと買ってた方が良かったかな」のように。
・終盤は、夢のお守りをかき集めて魔王城の無限祭壇でステ上げを続けたので、この魔王城にいる水の都市の行商人にはかなりお世話になりました。ただ、ここは既に最終盤ではあるので、購入数を２倍ではなく10倍100倍などにしても、クリックゲームとしてのバランスは崩れないように思います。
・クリア後、魔王の間に昇ると、その階段から下りられません。最終面の行き止まり感があって良いのですが、これは仕様でしょうか。
・他のレビューにもありますが、放置中のフリーズ、クラッシュが目立ちます。時間経過でアイテム数が自動的に増えるシステムなどが多く走っているせいもあるでしょうが、魅力的な放置クリッカーだけに、そこだけが玉に瑕でした。こまめなセーブに気をつければ、それほど困ることはありません。

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12時間弱でクリア。
ただし連射機能付きコントローラーを使用したからであって、そうでなかったら倍以上掛かっていたかも知れない。

【良い点】
・負けても死んだりしないので安心。
・作業させて放置しておけば勝手にステータスが上がったり、強化のための素材が貯まっていったりする。
・随所に拠点からのショートカットが作成されて便利。

【残念な点】
・うちの環境のせいかも知れないがプログラムが勝手に終了してしまうことが多く、せっかくの苦労が水の泡になることも何度かあった。
・加工屋などで1つずつしか作ってもらえないので途轍もなく面倒くさい。おそらく全ての人が不満に感じると思うので、できれば改善して欲しい。
・自動にするととても遅い。手動で連射するくらいのスピードにすべきだと思う。

【総評】
ステータスがみるみる上がっていくのは、中毒性があって面白かった。
当初はまさか最終的にあんなステータスになるとは思わなかった。
作業を楽しいと思うか面倒と思うかで評価が分かれそうな作品だと思う。

それにしても、あの助手？の女は何者なんだろう。
名前も出てないようだし。

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