出会いは偶然で……
軒坂様の制作された、感動系百合ADV、“明か時の空”の感想を書かせて頂きますね。
本作は複雑な家庭事情を持つ大学生“佳穂子”が、見ず知らずの自分にお節介を焼いてくれた、同じく大学生の“京霞”と出会い、新しい自分へと生まれ変わると言うストーリーです。
何とこの佳穂子と言うのは、同作者様の過去作、“彼は誰刻”のあの管理人さんで、京霞は大家さんだったりします。
彼は誰刻で確かに管理人さんも、昔は私も身体が弱かったみたいな事を言ってましたもんね。
基本的には重い物語であり、百合度はシリアスシーンでは低めではありますが、ギャグ的な意味ではそこそこあったかも知れません。
本作は言うまでもなく、佳穂子と京霞がひょんな事から出会い、佳穂子が葛藤の中で答えを見付けて、少しずつ変わって行き、自立して行く様が描かれますが、実はそれだけがテーマではありません。
序盤は特に、佳穂子が自分の複雑な家庭環境に悩み、苦しみ、自分の父親や母親に対しての想いであったり、自らの居場所について深く考える様が描かれます。
佳穂子の思い出から察するに、彼女のお父さんはきっと、とても良い人だったのではないかなと思いました。
母の再婚相手をお父さんとは呼べないと言う気持ちや、身体の弱い自分の所為で、両親が離婚してしまったのではないかと思い悩む所からも、彼女の思いが強く伝わって来て、胸が切なくなりました。
ですが、そんな彼女とは対照的に、京霞は只管に明るくて前向きな姿勢が目立ちます。
京霞も佳穂子と同じ位に複雑な過去を持っていましたが、彼女はそこで立ち止まろうとはせずに、自立しようとする強さを持っていました。
そんな彼女だったからこそ、倒れてしまった佳穂子を介抱して、自分のパートナーに選んでくれたのでしょうね。
佳穂子が京霞の影響を受けて、変わって行く所も確かに魅力ではありましたが、家族や自分の居場所をプレイヤーにも考えさせてくれる辺り、単なる百合ゲーには止まらない、複数のテーマが描かれた作品だと言う印象を受けました。
因みに、選択肢等はありませんが、終盤は彼は誰刻の後日談のようなストーリーを楽しむ事が出来、とても満足させて頂きました。
一枚絵の数は少なめではある物の、用意されている立ち絵の種類は意外と豊富であり、過去と現在の管理人さんと大家さんの姿が見れて嬉しかったです。
って言うか、文章だけで思い浮かべるしかなかった理世と緋沙子の姿はイメージ通りだったのですが、緋沙子の百合度加減が以前よりも凄い事に(笑)。
キャラは見事な程に違いますが、幸せそうな4人の表情を見て、こっちも釣られて笑顔になってしまいましたよ。
後味も良く、感動的な最後……、これぞ正しく、ハッピーエンドと言えるでしょうね。
それでは、これにて失礼致します。
孤独からの解放
幸せ団々な彼女達の前日談は、ちょっと複雑な環境下から始まった、短編ストーリーって感じやね。
前作#{2766}の外伝的位置付け作ではありますが、特に前知識が無いと理解に困るなんて事はなく、こっちからプレイしても何ら問題はないと思われますし、前作をプレイしているとちょっとした接点が堪能できる内容となっています。
とあるアパートの管理人と大家の過去談を中心に描かれた話ですが、女性同士の付き合いというシーンが多いものの、百合描写は控えめで、あくまでもお互いの友情がメインだったように思えました。
前作はキャラ絵の類がほぼ存在しなかったのですが、本作は普通にキャラ絵があったのは、自分的に若干違和感を覚えた気もします・・・もちろん絵のクオリティは決して悪くないですし、絵の表現がおかしい訳でもなく、本作単体としては問題はないのですがね。
エンディングを拝んでも、おまけのCGギャラリーに不自然な空白ができてしまう現象が気になるところ・・・そもそも選択肢なしの完全一本道なのでルートを見逃すなんて事はあり得ない事なのですが。
短時間でちょっと奇妙な出会いから始まる女性二人の親睦を堪能したい時にお勧めまごころ。
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