好きという気持ちは、あるレベルを超えると
「好き」の一言だけではとうてい書き表せないぐらい複雑になるもので
それが形になったうちのひとつが、このノベルなんです。たぶん。
~以下ネタバレ~
さて、実生活の役に立たない人形を(ぬいぐるみやフィギュアでもいいですが)つい買ってしまうのはなぜでしょうか?
「その人形がかわいいから」?
いいえ。
「“あなたが”その人形をかわいいと思ったから」です。
疲れた女性が量産品の売れ残りに手を伸ばすのなら、それはおそらく
売れ残った人形の姿に自分の境遇を見たから。
人形は「モノ」です。それ自体に意味はありません。
話し相手だとか、嫁だとか、あるいは素敵なインテリアだとか
何らかの意味を見いだしているのは「モノ」を見る側の人間なんですよ。
「モノは見る者の意思を反射している」とも換言できます。
だから、オーナーの手を離れれば「モノ」に戻るし、オーナーが変われば、以前とは別の意味を持った存在にもなる。
そうした変遷が季節の移ろいとともに巡りゆくさまを、このノベルは短編でわかりやすく
感傷的になりすぎずに、ある意味ドライな視点から描いています。
見事ですね。並の愛だけでは、こうはいきません。
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No.50198 - 2019-11-28 17:25:52
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