逃れられない鎖
ショタ、百合、近親、三角関係の4テーマのお話を楽しめるヤンデレノベル。
それぞれ違った作者さんのシナリオやイラストが楽しめます。
登場人物にはつながりがありますが、どれから読んでも楽しめる構成になっています。
そしてつながりがある故に他のルートでは見えなかった一面が見え
登場人物に深みが増していました。
背景や文字の演出も凝っていて作品に没入出来ました。
※以下ネタバレを含みます。
読んだ順番に各ルートの感想です。
ショタルート。
泥沼な予感しかしない始まりにわくわくしながら進めました。
始まりから想像したよりもどろどろで伝奇的な部分もあり、
終始どうなるのか続きが気になりました。
ヒロインの光とショタの輝の視点が交互に語られる構成が面白く、
輝くんの内面が語られる部分では
彼の闇と年齢より大人びている(ませているともいう)ところがよく伝わりました。
しかし終盤は病みよりも血の運命から光を遠ざけようとしたところに切なさを感じさせられました。
百合ルート。
可奈子ちゃん、まず見た目がとても可愛くて好みでした。
ショタルートとは構成が違いルートにより段々と記憶を辿っていくスタイルで、
可奈子ちゃんの真意を考えながら進めるのが楽しかったです。
微笑ましいようなやりとりからの不可思議などろどろ展開の緩急が良かったです。
とても重厚な物語で、ヒトならぬ存在である可奈子の世界観が
どうしても違っていて、今まで読んだことのない新鮮な気持ちで読み進めました。
独特の設定の中で繰り広げられる異なった結末の物語がとても面白かったです。
様々な悲劇を目にしてからの深愛ルートはとても良いエンドでした(人類的には怖いエンドでもあるけれど)。
個人的に一番好きなルートでした。
近親ルート。
上2つのルートでも登場し度々ひどい目に遭っているお兄ちゃん、ずっと気になっていました。
眼鏡かけてるの良いですね……。
物語の最初から思っていたより堂々と、ずぶずぶに付き合っていてその関係性に興奮しました。
そして終盤で明かされる真実に驚愕しました。
このルートで病んでいたのはどちらかというと光ちゃんの方でしたね。
迂回ルートでお兄ちゃんが語る輝くんへの想いが意外なものでした。
また一見感動的な話の流れに見えて行き着くのがそこなのか……という辺りやはりどこか歪んでて良いですね。
三角関係ルート。
翔太くんとお兄ちゃんとの三角関係の危ういバランスが魅力的でした。
様々な理由で壊れてしまった光ちゃんの話を聞いている、という構成が面白かったです。
翔太くん、あとがきでは独善的と言われていましたが
私は思ったことをはっきり言うところがかっこいいなとストレートに思いました。
ラストの分岐では私も幸せについて考えさせられました。
一番上の選択肢を選んだ時の悩ましい感じが好きです。
素敵な作品をありがとうございました!
現時点で百合ルートのみ完了
百合ルートに関する軽めのネタバレがあります。
ご注意を。
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百合ルートの中にもいくつか分岐(と言うか、順番に見てゆくもの)がありますが、半分くらいは百合ではない感じなので、全部百合じゃないとだめな方は回避推奨。
一部(屋敷)の描写が自分的にはきつかったけれど、狂ってるくらいの純愛は大好きなので、基本的には熱中して進めました。
最終ルートは、特に冒頭で、今までとは違う道を行く所で感動。
可奈子の選択も良い。
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ネタバレ終わり
ルートクリア後にはあとがきと設定資料が見られるので、そこも見ることをお勧めします。
(貼り直し)まずは百合ルートプレイしました!
※ネタバレ注意
百合ルートからプレイして5時間くらい?続けてプレイしていったのですが、感想や描きたいことがありすぎたのと、すごく前のことに感じて何を言いたかったか忘れてしまったので覚えてる限りで書きます。(書きながら進めてけばよかった…汗)
全ルートプレイしてから感想書きたかったのですがすでに忘れそうなのでまずは百合ルートから書きます。
始まりからなんか色々イラストやらPVやらクオリティがすごくて開いた口が塞がらない状態…
すごぉーすごぉー…動いてる…おおおおすげぇえええ。
光ちゃんて凄い素直だしいい子ですごいなあ…
そしてカナちゃんと仲良く平和になんかいきそうなのに
え、カナちゃんがなんかすごい怖く思えてきた。
こええええええ。か、カナちゃん…光ちゃんへの執着がすごい…
そして光ちゃんを惑わすものは消していくカナちゃん…ぎゃああああ。
あ、お兄ちゃん…良かったお兄ちゃんだけは頼りになる…ほんとにお兄ちゃん信じてるよ…
え?お兄ちゃん……?
お兄ちゃんマジか。
ゾッ。
そしてわいはカナちゃんをすごい恐れてたのにカナちゃん視点を見てたら、あ、そんな事情が…なんかカナちゃんの気持ちも理解出来て応援したくなってきた…光ちゃんそんな嫌がらないであげてよ…ちょっと人と違くてもいいじゃん…←
最後の方のルートではお互いがお互いのことを思っていて、あ、これが一番正しいハッピーエンドなんだろうなという気がしました。
それで旧人類がやられても…
全て何がどうなろうとそれが自然の摂理だからしょうがないよね…←新人類応援派?
何気にカナちゃんのしょんぼり顔がすごい気に入ってる。
すごく怖くて真相も気になってとても楽しめました。ありがとうございます。
またちょっとずつ他のルートもプレイしていきたいと思います。
人の選択って色んなところで人生を物凄い分岐してるよね…後悔しないように一番正しいことを毎回選べてると信じたい。
「愛」を考えさせられました。
ポルトガルから日本にキリスト教をもたらした宣教師たちは、教義にある「愛」を説明するのに苦心したといいます。何故なら仏教思想における「愛欲」という言葉しか当時の日本には存在せず、また陰湿かつ淫らで、恥じて抑えるべき欲望の一種であり、「邪淫」とも呼ばれているものだったからです。場所も時代も違うのですから、「愛」の定義も違って当然でしょう。時には美しく時には汚く、そうした定義しきれない「愛」を、定義しようと苦しむ知恵を得てしまった故の失楽園なのだと思います。このゲームにおける「愛」には、時には歓喜の念を覚え、また戦慄するものでもありました。
伽留陀夷(かるだい)は仏陀の弟子で、最高の悟りである阿羅漢果を得ておきながら、妻に手引きされた大勢の盗賊によって殺されました。前世で商人の一団を率いて旅をし、異教の神に羊を贄として捧げたために、現世で羊の生まれ変わりの妻に欺かれ、かつて率いた商人たちは盗賊に生まれ変わって蛮刀を振るったのです。このゲームに描かれる世界は、転生どころか数年単位で因果が巡っています。それも忌まわしい形でです。
望む形そのままで得られる「愛」など無いというのに求めて、現実世界も精神世界も厚い鍋の中のように煮えくり返って定まらない。やがて心は歪な鎧を纏い、自他ともに傷つける。
圧倒的な文章力によって芸術の域にあるストーリーは、よくよく目を凝らせば人類の精神の解剖図だとも感じられます。この内容は単なる絵空事ではありません。
多くの人にプレイされ多くのことを考えさせられるべき作品だと思います。
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