ラスボス級が旅の仲間に
公主様の制作された、中華風ファンタジーADV、“黄昏を見つめて”の感想を書かせて頂きますね。
本作は時を止める妖魔に成長を止められてしまった少女、旋律の時間を戻す為に、妖魔狩りの男性、神楽が彼女と共に「ないもの」を捜して旅をすると云う物語です。
本編と外伝を交互にクリアして話を進めて行く形になっていて、全四章構成で一章一章は短めになっているのですが、本編外伝共に、ラストだけは他の章に比べて圧倒的に長めになっています。
選択肢は非常に少なくて、当然分岐も少なく、ストーリーはほぼ一本道と考えて良いかと思います。
多くのキャラが登場し、立ち絵やイベントCGの種類も豊富で、設定として中華風の独特の世界観が構築されており、ストーリーも非常に興味深くて面白いと思いました。
私の個人的な意見ではありますが、本作の面白い所は、男女ペアの旅路ではあるのですが、そこにあるのは恋愛感情ではなく、とても深い絆であって、お互いに大切に思い合っている所だと思うんですよね。
序盤の方で旋律には既に婚約者がいると明記されていて、大抵の作品であれば、旅の中でヒロインが主人公に段々と想いを寄せて行くようなパターンになりそうですが、本作はそこは完全に徹底していて、恋愛感情とはまた別の強い絆を感じられたのが良かったです。
後は意外にもあっさり見付かった時を止める妖魔が、謎を隠しながらも神楽達の旅のメンバーになってしまい、ある意味、ラスボス的存在が直ぐ傍にいると云う、そんな理解が追い付かない状況が最後まで続くと云った所も変わっていますね。
普段は飄々としているけれど、その状況状況で様々な顔を見せて、キャラが安定はしていないのですが、何と言っても伝説上の妖魔ですから、本当に常識が全く通用しないと云うのも納得出来ますね。
怖い時は本当に怖いと思いましたが、結局の所、彼は単純に神楽の事を気に入ってしまっただけで、彼等の旅に同行したのも、暇潰し以上の意味はなかったのかも知れませんね。
比率としては女性キャラよりも男性キャラの方が多めでしたが、神楽と九尾の狐のやり取りは何か可愛かったですね(笑)。
神楽も人間の女性で惹かれる人もいないようですし、異種族間の恋愛ってのも、全然悪くないと思います。
皇帝も本当にカッコ良くて良い人でしたよね。
壮大な物語で、熱いバトルシーンも多く、終わり方も凄く綺麗で良かったと思います。
因みに、本作は殆ど神楽の視点から物語が描かれますし、恋愛要素も強くはないので、乙女恋愛ゲームではないと思いますね。
ほんの少しだけエッチなシーンはありましたが、グロテスクなシーンは殆どありません。
中華風の広大なファンタジー世界を疑似体験し、冒険を堪能したいと云う方は、是非ともプレイしてみて下さい。
それでは、これにて失礼致します。
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