一風変わったシナリオで面白い
SLGはほとんど世界を救うとか大陸全体で争うなどの話が多い中で、比較的小規模な争いをうまく表現していて斬新で面白かったです。
キャラごとに欠点があるので兵科が同じでも違いが出るのがすごくよかったです。
クイズは結構間違えたので正しい日本語は意外と知らないことに気づきました…。
語彙が足りない【ネタバレあり】
ネタバレを含みます
難易度はⅡで遊んでいました。攻略に38時間もかかってしまって、いやはや大作でした。これまでもSRPGはいろんなフリゲーを遊んでましたが、こんなにたくさんの要素があるゲームも珍しいかなと思います。
普通に戦うのはもちろん、言葉のクイズや戦闘中の謎解き、新聞記事、そしてストーリー。特にやくざモノという面が非常にうれしかったですね。私は清水健太郎さんや白竜さんとかそういう方面のやくざモノが大好きなんです。で、筋を通したりなんだりで子分たちが小競り合いをして大きな戦争に発展していく……。あまりこういったストーリーのSRPGはやったことがなかったので新鮮でした。
主人公はやくざ側ではないですけれども、敵のドンであるイスカリオテからは任侠としての心意気と分別を感じ取れました。やくざモノが好きならぜひ。
とはいえ、結構小難しいので映像のやくざモノの様にすんなりと理解できるかは微妙なところです。特に主人公のハンスは頭の中に全国地図が正確に入っているという特技がありますが、これはちょっと曲者でした。どこを攻めるとか、どこへ逃げるとか、SRPGなのでそういった話がやっぱり多いです。基本的にはゲーム内で初めて聞いた地名のオンパレードになるので、キャラクターたちの作戦意図を察するまでにやや時間がかかってしまいます。キャラクター同士の掛け合いのシーンではシンボルを動かして表現していたところが多かっただけに、地図と地名を表示しながら会話してほしいと思うところが多々ありました。
あと一言いうなら、結婚をするというのがやや唐突な感がありました。特にレナのほうはプレイヤーが相手を選ぶことができるのがかなりモヤモヤします。そこまでするくらいなら、ストーリー上で最初から相手を決めてくれたほうがやりやすかった気がしてなりません。元から結婚してる設定の夫婦はともかく、主人公二人以外にも本編中でカップルができましたし、少しやりすぎでは?
少し批判的になってしまったかもしれませんが、それでもやり続けられたのは一重に作者の方のこだわりが見えたからです。「魔法」という存在以外はなるべくリアリティを持たせようという気概が感じられました。一つの国の中で大きく社会に影響を及ぼしていくというストーリーのため、新聞という媒体の役割がこのゲームでは大きいです。どうでもよい雑誌の飛ばし記事とか主人公たちの冒険とは特に関係のないニュースなどが舞台の小道具として機能しているのは本当に面白かったです。
法律などの事情も現実世界を基にして、ありそうだなと思わせる内容に終始していました。そしてこれらの描写が徹底的に丁寧だったのです。だからこそ、主人公たちの置かれる立場が本当に良くこちらの心に伝わってきました。ただ、どう丁寧かは、申し訳ないのですが私の語彙では説明しきれません(言語クイズ正解率5割)。
やはりこだわりをもって作られたものは美しい。私はそう思います。分量が多いからこそ、時間をかける価値のあるゲームをやりたいものです。
キャラクターに癒されます
「就職(転職)したと思ったら、リーダーが超天然のヘッポコさんだった」
そんなシチュエーションの部下になったつもりで進めていると笑えます。
「言葉と音」へのこだわりが強く感じられるSRPG
若干ネタバレあり
良かった点
・SRPGのフリゲでは割と簡単に進められる。
先が楽しみなのに難しすぎて挫折、ということにはならない。
・元ネタ探しが楽しい。
現実にあった心理学の実験など硬派なものが続いたと思っていたらいきなり古典落語が出てきたり。
・新聞記事が「あるある感」満載。
ゴミ分別の問題や生活騒音のご近所トラブルがもしもファンタジーRPGの世界で起きていたらという視点は誰かが他にやっていそうで案外他のフリゲで見当たらない。
・新聞のレイアウトや記事の文体が本物っぽい。
しかもすごくスッキリするパンチが時々入っていて、筆禍で雑誌を潰れさせた某政治家や嫌味なレビュアーまでバッサリ斬っているのはめちゃくちゃ笑った。
特に記事から話を引っ張り「兄ちゃんとゴーちゃん」の話に持って行く流れはエスプリが利いている。
・ハンスが色々失敗をやらかすのを主人公の特権でうやむやにしていない。
後できちんと責任を取らせるような筋書きになっている。
・方言講座が中心だけど時々フランス語や間違えやすい日本語の講座にもなっている。
言葉の勉強ができるSRPGは珍しい。
・これが一番重要!
ツンデレ方言女子のレナかわいい!
ちっこいのに一番のお姉さん役をこなしているカミ―ユかわいい!
気になった点
・超ポンコツのハンスに何だかんだで恋愛感情を持つ女性が複数いるのはちょっとご都合主義っぽい。
多分作者さんもそれをわかっているように思う。
登場人物の1人がインタビューを受ける場面に出てくる「付け足したいものは?」の答えには、作者さん自身の正直な思いが出ているように感じた。
・作者さんが何か不自由を感じながら文章を作った印象。
他の2作品と比べて堅い話題を意識的に避けた判断は尊重できても、譲れないものを譲ってしまったような・・・。
ストーリー的には外したくなくても色々なことを忖度して泣く泣くカットした話がいっぱいありそうで、モヤモヤする。
・冬編の話に出てくる「間抜けな国際政治学者」って誰のことかわからなかった。
もうちょっとヒントが欲しい。
・音楽理論を元にした小ネタやクイズと言っても特に専門的ではない。
ほとんどが小中学校の範囲で習うものにとどまっていて、そこだけは難度のバランス設定を必要以上に低くした感じがする。
・北海道弁を取り上げているのに「そだねー」のネタが見つけられなかった。
その他
・スクショの金だらい落下など作者さんの年齢層が特定できてしまいそうな小ネタが多い。
ver1.04難度IIIでクリア
ネタバレを含みます
章1つの所要時間は早ければ10分以内、長くても2時間とテンポ速くサクサク進められる。SRPGでも国家間戦争ものは飽和状態と思ったところで民間団体同士のローカルな抗争が主題になっていて、他でも斬新なところが多い。
スキルのシステムで人の短所を表現する「欠点特性」、狂言回しになる人が戦場ジャーナリストである設定、間違いやすい日本語をネタにしたクイズは、SRPG STUDIOの機能でよくそこまで表現したと思う。TAK-HOKさんの他の作品にもあるがキャラチップの人形劇もユニーク。今回はキャラチップがクルクル回る、こける、寝るなど演出が細かい。
そして主人公がとにかくポンコツな設定は他ではあまり見られない。主役なはずのハンスはぶきっちょな上に頭も悪くしかもスケベと情けない男で、妹ともギスギスした関係だが・・・というものだ。
BGMやSEの選択も練り込まれていて、クラシック音楽を多用する方針は賛否ありそうだが個性的と言えるし、すっとぼけた発言をしたときの「のど自慢の鐘ひとつ」みたいにふざける所ではとことんふざけたやり方をしてくるのも面白い。
敵対関係の組織は昭和時代の暴力団を意識した感じで、現代のジリ貧な893よりも任侠的。敵側の人間描写も深く、まさに社会派のストーリーになっている。
特徴のひとつである新聞記事には、実際にあった事件のデフォルメや本当にどこかでありそうな話も取り上げながら、「モンスターの残骸が可燃ゴミか不燃ゴミかで行政と住民が揉める」などリアリティがあるのやら無いのやらわからなくなるネタがあり、ふざけた内容でも真面目な文体を使っていることで笑いも起きる。
方言の半分近くは語感や前後の文脈から予想できるものの同じセリフ枠の中で意味をすぐに取れないことは残念。「ブラックユーモアあり」と言われても時事ネタの皮肉以外に何があったのかわからず、わざわざR-12指定にする意味があったのか疑問。また、主人公のダメ男ぶりによほどイラっと来る人がいる可能性も気になる。
もったいないです。
折角面白いのにもったいない気がします。
用語解説は会話文が表示されている状態で横に表示されるとかした方がいいと思います。
後で用語解説だけ見て理解しても、さっきの会話文を思い出すことは不可能です。
会話文を読んでいる時に意味がわからないままなのはしんどいです。。
SRPGとしてクオリティーが高いだけに・・・
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