見た目の汚さを乗り越えてほしい(追記)
さよならモナーRPGなど、メッセージ性の強い作品を手掛けてきた作者の新作
世界観の汚さは、「すでに私たちは地獄の~」級
ダージュの旋律など、徐々にマイルド化していたのを原点回帰するかのような
びっくりするくらいの汚さです
でも過去作と同様
プレイ後の気持ちは、汚さなど微塵も感じないくらいに温かくなっている
そういう心のこもった作品です
世界観のとがり方に反し、RPGとしては素直なつくり
適度に配置された回復ポイント
きっちり散策すれば不足することのないお金
バフや状態異常対策を活用しないとやや苦しくなる、でもきっちり対策すれば稼ぎなしで進める
適度なバランスの戦闘
無駄にプレイヤーが苦労しないよう配慮が行き届いています
これも過去作からの伝統ですが 横2D型のステージなどダンジョンギミックも愉快です
ボリュームも3時間くらいでクリア可能な程度なので
第一印象にとらわれずにプレイしてもらいたいなあ
RPGとしても、物語としても楽しめると思います
一部過去作との繋がりがある部分もあるので
よりマイルドな過去作をプレイしてみるのもオススメ
おかわり ということで追加要素が入りました
ユンヤダム そして予定されている次回作の要素が絡んできます
思えば作者の作品は、常に自分がどう生きていくか という問いかけとメッセージが入っていたなあとあらためて
次回作もまた、自分の世界と、成長に伴う決別が待っていそうな気がします
楽しみにしています
野生のプロゲーム制作監督の新作
「ダージュの調律」や「Nocturne else...」等の製作者ローゼンクロイツ氏の新作。
元々VIPRPGで作品を公開されていたが、本作からはふりーむでも公開されているようだ。
ふりーむの氏のクリエイターページから、ツイッターや過去作にもアクセス出来る。
さて本作は、甘苦エログロ人生哲学オプティミズムペシミズム等を全部おもちゃ箱にブチ込んでブチまけたような作品。
もちろんいい意味で。
とっかかりから怪奇なBGMと共に始まり、オープニングの演出から凄まじく激しい。
プレーヤーの中には、そもそもツクール作品を嫌っていたり、同人ゲーム特有の”寒いノリ”を嫌う人もいるだろう。
しかし、本作のとっかかりの部分でもしそれを感じたなら、それは壮大な哲学SFの伏線だと思って、プレイを続けてみてほしい。
そのうち、のめり込んでストーリーと世界観に惹き込まれるはずである。
ゲーム設計としてはそれほど難度の高くない正統派RPG。
ストーリー重視に設計されているが、RPG部分もダンジョン探索や隠しアイテムの探索など、
十二分に楽しめる。
ほぼ一本道ながら、装備品を求めてクリアする必要のないダンジョンに挑戦したり、戦うなと警告される敵と戦ってみたり、
プレーヤーのスタイルに応じてそれぞれの楽しみ方が出来る。
しかし、やはり本作の醍醐味はとてもよく練られたストーリーにある。
はじめは(特に本作から氏のゲームをプレイした人は)、「俺は一体何をやらされているんだろう」と思うかもしれない。
だが、徐々に世界観を理解しつつ新たな謎に直面する内に、どんどん惹き込まれていく。
多少のSF理解力が必要かもしれないが、謎とその答えは丁寧に作品に散りばめられているので、じっくり楽しんで欲しい。
プレイすれば分かると思うが、善・悪、勇気・臆病、ハッピー要素・バッド要素等相反する価値観が交錯する。
エンディングも、人によってハッピーエンドだと思うかもしれないし、普通にバッドエンドだと感じるかもしれない。
どちらにせよ、何か割り切れないものが心に残るのだ。
この、「よく分からないもやもやしたものが心に残る」のが今作の、もしくはこれまでの氏の作品の大きな力である。
だって、大資本の大作ゲームならまだしも、一個人が作った無料の同人ゲームで、「考えさせられる」って中々無いでしょう。
もし目に止まったなら、騙されたと思って一度プレイしてみて欲しい。
今作でなくとも、氏の世界観を味わう入門編としては、上述した「ダージュの調律」などは最適かもしれない。
昨今のゲーム業界ではひたすら課金課金という時代に、まだまだ趣味で個人で才能溢れるクリエイターがいることを、是非知って頂きたい。
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