嘘つきから逃げたい女の子の脱出ラブコメゲーム
※ややネタバレを含みます
相手となる男性クラウスの第一印象は、ちょっと失礼な言い方をすると、敬語系チャラ男。大嘘つきらしく、嘘かホントか分からない口説き文句でひたすら求愛してくるうさんくさいやつ。ところが、嘘をつけない主人公の方が、皆嘘つきに生まれつくホラフケン王国(!?)の国民として、異質な存在であるらしい。
レベルというシステムがあり、これが70を超えるまでになると、話のほとんどが嘘、ということなので、レベル89の秀才クラウスは8.9割嘘つき…と考えるのが自然ですが…
そんな二人に待ち受けるのは、4月1日のエイプリルフール。通常、この日一日は嘘をついていいという風習の日ですが、ホラフケン王国では真逆に、国民は本当のことしか言えなくなる。
「俺の本当の気持ちを知ってどう思うのか……今から楽しみです」と、不穏な(?)言葉を残して去っていくクラウス。「きっと嫌味をわざわざ言いに来るに違いない!」と予感した主人公は、彼が部屋に入ってこられないよう足止めの魔法をかけるも、レベルの低さゆえ失敗、自分も部屋から出られなくなってしまう。失敗した魔法など高レベルのクラウスにかかればひとたまりもないだろう。
封鎖された部屋から脱出し、明日来るクラウスから逃げ延びよう! というのがこのゲームの趣旨です。
ただの脱出ゲームではなく、時々ギミックに応じた小話が挟まります。脱出ゲームを乙女なストーリーを楽しみながらプレイできる設計。仕掛けは基本的な問題ばかりで奇をてらったものはありません。
ただ、脱出ゲームではなく、乙女ゲームとしてだけ見た場合、難易度が高すぎるかもしれない。使い所に困るアイテムや、クリック箇所がピンポイントなギミックなどでは、プレイヤーによっては普通に詰まるかも。幸い検索すれば攻略が出たりするのですが。要するに、ただのミニゲームくらいの認識では難しい。
(具体例を言いますと、窓の鍵は、窓全体を鍵の使用範囲にするか、窓をクリックした時点で「鍵がかかっている」事を知らせてくれたら楽だったと思います。ほうきで粉を集めるのは全く思いつきませんでした…ヒントがあったというのに!)
ストーリーについて。
クラウスに対して、主人公は憎まれ口をいう(相手がああなので仕方がない)のですが、基本仲良しです。ほのぼのしている。特に喧嘩ばかり、言い合いばかりということもなく、まだ少し子どもな男女の友達エピソードが多い。クラウスは嘘つきですが、主人公をもてあそんでばかりの本当に意地の悪いやつなのかというと、違った印象を受ける。
彼がどうして主人公を好きになったのか、そして主人公が彼をどうして好きになったのか、とか、多くは語られなかったけれど、なんとなく伝わってくる。青春だな~…
てっきりクラウスは、「レベルが上がると俺は嘘しか言えなくなる……だから伝えておきたかったんだ。最後かもしれないだろ?」って展開を想像してそわそわしていましたが、悲しい話では決してなくて、むしろハッピーエンドでよかったです。
個人的には、ED2(たぶん正END)よりも、ED3の後日談のほうがラブコメを貫いていて好きです。クラウスの視点が面白い。ラブコメなので、良い意味で軽いノリのストーリーなのかと思っていましたが、二人の出会いまで回想されて、丁寧なお話作りでした。関係ないのだけど、クラウスのラフ絵、いいなあ…
キャラクター、グラフィック、ストーリー、どれもとても良い作品でした。ありがとうございました。
あと主人公とクラウスはお幸せに!!
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