2018年最大の感動作
シリーズ第一作目の『ハイガト』。
ハイガトのスピンオフにあたる『ロミーとクリスマス』。
過去の作品に登場した人々が迎えた結末に、涙が止まらなくなりました。
本作では、今まであまり語られなかった主人公・ハイガの胸の内。そして、彼を取り巻く108偵察部隊の新たな一面を見ることができます。(他にもたくさん素敵な要素が詰まっているのですが、ネタバレになってしまいそうなので全貌は是非ダウンロードしてご覧ください。)
ハイガや108部隊員それぞれの気持ちを知ったり、前作・前々作から『ハイガト2』までの空白の二年間に繋がるものを発見する度に、色々な感情が込み上げて来て大変でした。
メインシナリオはシリアスとなりますが、会話がたまらなく面白いイベントや、衝撃的な展開が繰り広げられるルートなどもあり本っっ当に楽しいゲームです!
グラフィックもかなり手が込んでいて、特に胸元の動きを眺めていると息づかいを感じるようでした。
感情表現も多彩で、一人一人に色々な表情・仕草が用意されています。特にサザメキ偵察一等兵の泣きモーションがめちゃくちゃ可愛い。
グラデーションが施された色づかいも美しく、また、スチルの味がある線も凄く好きです。
①シリーズを全てプレイする。
②『2』のみをプレイする。
遊び方はプレイヤーに委ねられていますが、当方は全力で①番をおすすめしたいです!
きっと、もっともっと『ハイガト2~FOREST~』を楽しめると思います!
おすすめ
文句があるとすれば「おまけ画面がちょっと使いしづらい」ぐらい。私の中のトップ10フリーゲームに入るほど好きです。
ハイガトをプレイして少しでも興味をひかれたのなら絶対にこっちのハイガト2もやるべきだと思います。色々なことがはっきりするだけじゃなくて、キャラクター達の新しい一面も見れて新鮮です。ハイガトを知らない人でも、このゲームの雰囲気にに引き込まれるかもしれません。
立ち絵やBGMのチョイスなどは雰囲気にあっていて、演出も本当によく出来ています。プレイしやすい短さなのに、「物足りない」と感じさせないぐらい色々なものが詰まっています。
主人公(?)のハイガの台詞回しが絶妙に面白く、他のキャラクター達も愛嬌があって感情がはっきりしていてどれも憎めない。必ずちゃんとした理由で行動しているので、何故あれをしたか、と考えるだけで時間を忘れるぐらい楽しいです。兵隊たちの友情も悩みも怒りも、鮮やかに書かれてプレイが終わった後も心に残ってしまう。
ノベルゲームですがテンポもよく、飽きたり雰囲気が重くなりすぎて疲れたりはしません。まあ、エンドによってはいい意味でしんどくなるかもしれませんが…
少し不気味だけど不思議でどこか愛おしいこのストーリー、全力でおすすめしたい。
概ね良作、ただ個人的に残念な点も
ネタバレを含みます
また、やや批判的な意見も含まれますので、ご覧になる際はご注意願います。
ハイガト、スピンオフ、この作品と通してプレイさせていただきました。EDはこれら作品全コンプリート済みでの感想です。
切なくも悲しいバックグラウンド、個性的で憎めないキャラクター達、葛藤、衝突、和解、その外野で蠢く更なる騒動の気配――と、全編通して非常にわくわくする作品で、どれも楽しくプレイ出来ました。
その魅力の詳細については既に他の方のレビューにありますので割愛させていただきまして、ここからは「個人的に残念だったなぁ」と思った部分について。
まず第一に、「トロム第三基地の上層部の悪辣さがほとんど伝わって来ない」ことです。
作者様が正史とされる隠しENDでハイガはトロム第三基地を離反しますが、プレイヤーに提供される情報だけでは「果たしてそこまで忌み嫌う程の組織なのか」という部分がはっきりしません。
確かにスピンオフ等では、ハイガやミギオンをブラック労働させていたりと怪しい気配は見えるのですが、創作としてはコメディの範疇に収まってしまっているように感じます。ハイガ降格の件にしても、その騒動の具体的な部分は語られていないので、それがどれ程の禍根をハイガに残したのかが解らず、結果、共感し辛さに繋がっています。
またミギオンがハイガトカジノENDで語ったような「平穏にしているだけの死霊を無理やり成仏させようとする組織の傲慢さ」についても、この死霊が現世に留まり続ける事に関しては有害とも無害とも示されない為、「組織としては有害だと判断しているからそうしているのであろう」という推論しか出来ず、ミギオンの個人的な不満としか見えないのです。
たとえばここで「危険な任務で同僚が使い潰されたのを見てきた」だとか、「その穏健な死霊を祓ったが為に別の問題が発生したが、組織は気にも留めなかった」――などの、「冷徹で傲慢で使命第一主義」な側面が見えていたなら、「そりゃ嫌になるよね」と共感出来たかと思うのですが……。
第二に、「かつての108部隊ではないと解っているにも関わらず、ハイガが現108部隊に合流したことに感じるもやもや」です。
作中でも語られていますが、ハイガが本当に友人でありたかったのは「かつての108」であり、それを当人も自覚しているにも関わらず、現108に合流したことで、「ハイガは現108を代替品として見ているのではないか(=自分を誤魔化しているのではないか)」と感じてしまい、新旧どちらの108部隊員に対してもハイガが不誠実なように思えてしまいます。
無意識レベルで自分と同じ人形たちである彼らの傍らに行きたがったのだとしても、これまたそういった心情描写がない為、どうにも唐突に感じてしまうのです。
この辺りももうちょっと詳しく描かれていれば良かったのになぁ、と思ってしまいました。
長々と書きましたが、これだけ言いたくなる程ハマるとは思っていなかったので、そういう意味で本当に良いゲームだったと思います。
次回作はまた切り口が変わってくるようなので、そちらもとても楽しみにしています。
考察好きにはたまらない! 眠れない!
もともとミステリーやサスペンス、ホラーが好きな上、ストーリーのその後に思いを馳せたり、「この台詞はもしかしてこういう意味があるのでは……!?」と自分なりの考えを組み立てたりすることも大好きでした。
そんな私にとって、推理要素あり考察要素あり笑いあり涙あり友情ありなハイガトシリーズはじっくりと楽しめるゲームのひとつです。シリーズを通して周回しエンディングを回収した今もなお、余韻に浸っています!
今作「ハイガト2」は、「ハイガト」およびスピンオフの「ロミーとクリスマス」プレイ後に遊ばせていただきました。前二作とはまた趣きの異なる、探索パートのない分岐型ノベルゲームです。
「ハイガト」のエンディング後を描く続編でありながら前作の解答編的な側面も色濃く、かといって前作未プレイの方でもこの謎めいた魅力を持つ世界観には引き込まれるのではないでしょうか。ふわふわゆらめくアニメーション立ち絵も相まって、ますます不思議な物語に没入できました。
公式HPで裏設定や核心に迫るヒントがそれとなく示されているのも嬉しい限り……それも完全な解答ではないとのことでますます考察熱が高まります。もう完璧にハマっちゃっています。
……と、ここまで考察、考察とクドイくらい繰り返していましたが、シリアスとギャグが絶妙に絡み合うストーリーは考察抜きでも楽しめるはず! 個性派ぞろいの登場人物たち、彼らの愉快でたまに不穏な掛け合いも魅力のひとつだと強く思うのです。
そして、ゲーム内主人公・ハイガと彼にまつわる様々なモノ・ヒトの物語がこの先も続いていくことを、作品のいちファンとして心より願っています! 素敵な作品をありがとうございました!
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