衝撃の真実、知ったときは号泣間違いなし(ネタバレあり)
何もないけど、同じような日々だけど、平和なウェイトの暮らし。
私もかつて大人になるのが嫌で仕方ないときもあって、だからこそめちゃくちゃ刺さったお婆ちゃんルート。お婆ちゃんの不器用だけれども優しい愛に泣いた。きっとお婆ちゃんから厳しくされたことは、ウェイトが大人になってもいい思い出として心に残るんだろうな…
お嬢様ルート。何だこの美少女は。お嬢様にとってもウェイトにとってもお互いは大切な存在で支えられてるんだなと…いやもうお嬢様が健気すぎて。ウェイト早よ幸せにしてやって結婚式あげよう‼︎と何度思ったか。
坊やルート。子どもにとって死を理解するのってすごく難しい。誰も悪くない。坊やだって叔母さんだって周りの大人だって。このルートではウェイトは本当に良きお兄ちゃんって感じでもう何やお前立派な大人やんけ…って感心したり。
坊やも自分の悪いところを認めることができて、そして成長していく。ウェイトの言う通り将来が楽しみな子だと思う。
ああ、いつかウェイトはお嬢様と結婚して坊やとお婆ちゃんに祝福されて幸せな家庭を築くんやろな…ほのぼの(*´ω`*)
とか思ってました。旅人ルートを見るまでは。
ねえ…ねえ何で⁉︎何これ…なん⁉︎
いや予想外だった…つら…伏線はあった。確かにあった。
でも気づかなかった。あまりに平和すぎて。
だってウェイト以外流行病で死んでて今までの全部妄想ってそんなの察せる?察せるわけないじゃん。
ウェイトは大人にならなきゃいけないというより、現実を受け止めなきゃいけなかったんだな…でもこんなん普通無理だよ耐えられないわな…
手紙…これ最初のお婆ちゃんの語りでもうダメだった。泣いた。お嬢様も坊やも皆本当にウェイトのこと大好きだったんだな…。ウェイト、お前もよくがんばったよ本当に
旅人の正体は途中から何となく察せた。ちゃんと自分を救える立派な大人になったね…
長くなったけど、ネタバレを見ずに最後までやってほしいゲームですね。こんなネタバレだらけのレビュー書いてなんだけど
温かく切なくて、心に残る作品
それぞれのキャラクターのエンドで毎回泣かされ、
トゥルーエンドでは涙が止まりませんでした。
エンターキーを押すのに時間がかかってしまったくらいです。
おばあちゃんにお嬢様、坊やと年代の違う人々との交流の中で、
それぞれの生きてきた時間や生活や、
その中で考えてきたこと、感じてきたことを受け取れて、
登場人物がみんな大好きになりました。
プレイ中は温かく、切なく、楽しくて苦しくて、
本当にひとの一生に触れているような得がたい時間を得られ、
「大人になること」について考えさせられて、私も勇気をもらえました。
立ち絵も温かみがある絵柄で美しく、キャラクターの人柄が伝わってきます。
クラシックを中心とした選曲も物語と合っていて良かったです。
EDまで丁寧に作られており、じっくりと物語を味わえます。
ずっと心に残る作品であり、
きっと年を重ねた時にプレイしたらまた違う気持ちを受け取るだろうと思います。
素敵な作品をありがとうございました。
手紙の表現が素敵な、子どもと大人をテーマにして繰り広げられるあたたかな人間模様。
クリア時間 1時間30分 (坊や→お嬢様→おばあちゃん→旅人
※全て下エンド)
+23分 (各エンドの上エンド)
大人になりたくない少年ウェイトが
何もない小さな街での
坊や、お嬢様、おばあちゃん、そして旅人との
あたたかな交流を描いた短編NOV。
本作のエンドの分岐構造について、
各キャラとのイベントが1回発生した後で、
選択肢で誰とこの後を過ごすかによって、その後のイベントが分岐、
この選択肢が3回出るので、その3回全てを同じキャラにした場合は
そのキャラのエンドリストの下エンドのイベントが発生し、
1回でも別のキャラのイベントを発生させた場合は
2回選んだキャラの上エンドのイベントになり、
2回選んだキャラがいなければ、おばあちゃんの上エンドのイベントになる
という分岐構造になっている。
各キャラについて一通りの紹介は最初のイベントで済まされているので
同じキャラを選び続けてまず各キャラの下エンドを見るのが
大半のプレイヤーの道筋だと思う。
各キャラについて
坊やはウェイトと年齢が近く、よく遊ぶ友だちで
効果音を自分で言うあたりが幼さが出ててかわいらしい。
仲直りしたと思ったら黙ったりして、
やりとりが小学生男子的なものを度々感じる。
大人になりたくないウェイトとは対照的に
早く大人になりたいのが坊やで
子どもの目線だと見えないもの、分からないものがいっぱいあって
それを大人に聞いても大人の表現をされてしまって
みんな嘘つきに思えてくる。
子どもの分からないことの辛さが印象的なシナリオ。
お嬢様は病弱で、できることを増やそうとするものの
中々上手くいかなくて、自分もいろんな人の世話になっているけど
このまま生きていられるか分からない、儚い存在。
彼女の言う、「人を好きになることは素敵であり怖いことである」というのは
人間関係(と彼女自身)の繊細さを表現したものであり
そこから結論づけられる「生きることとはきっと戦うことなのですわ」というのは
人と関わる上での自分の心構えとして大事なことで、
このあたりのエピソード、他人に興味を持てる人間なら
誰もが感じたことがあることで、共感度も高くて個人的に本作で一番好き。
テーマとなる弱さや繊細さとは裏腹に、芯の強い女性で
悪意を持って自分の人間関係に物申す相手に対する
手紙による迎撃反論はお見事というほかなくて
丁寧に応対しながらもきちんと自分の考えを伝えたうえに
「親愛と真心をこめて」を「友情をこめて」で返せるの
ほんのちょっとした言葉の違いに深い意味を込められていて
非常にセンスが良い。
直接的には大人になるというテーマとは関係のないシナリオのようで
世間を知らず親の決めた道を歩かされる、子どもから
自分の決めた人間関係の中で生きていくために戦う、大人になる、
暗にそういう大人観がこのシナリオには込められているように思う。
おばあちゃんは口が悪くパワフルでやや強引な面があって
ウェイトに両親がいない関係もあって、実質的な親になる。
ウェイトに料理をはじめとしたいろんなことをやらせるため、
彼の目線だとなんでこんなことを毎日強引にやらされるのか分からない。
プレイヤーにはおばあちゃん側のある事情がすぐに明かされるため
おばあちゃんは強情ゆえの不器用な面はあれど
親目線からの言うことを聞かない子どもを体感できるシナリオ。
大人は子どもの延長線で年齢という節目でなれるものではない、
親が教えてあげないといけないんだけど
だからといって、何でもかんでも教えてあげるわけにもいかない。
おばあちゃんはおそらくこういう考えだから
話を止めて「本当の大人はどうすればなれるか」ということは
述べなかったのだと思う。
本当の大人になるには、親だけではなれないのだと。
子どもと大人というテーマに
いろんな方向からアプローチをかけて考える一作。
本作に出てくる坊や、お嬢様、おばあちゃんは
それぞれが自分の考えを持ち、自分なりにやるべきことを
成そうとする姿に非常にあたたかい人間味があって
ウェイト君は本当に人間関係に恵まれているなぁと思った。
そして、三人の下エンドを見て、はじめからやると
イベントが追加され、そして、最後に交流できる旅人に
出会うことができる。
※以下、重大なネタバレあり。必ず旅人エンドを終えてから読むこと。
「流行病がやってきて、おばあちゃんもお嬢様も坊やも
みんな死んでしまった」
「ここで一人、死んだ人たちとの思い出を
眺めて暮らしているんだ。思い出と空想を混ぜて
こう話しかけたらきっとこう返してくれるだろうって
自問自答を繰り返している」
旅人イベントのウェイトのこの告白は衝撃的だった。
今まで、何もない街だとか言っていたけど
まさか、無人の街で一人で暮らす少年の話だったとは思わなくて
そもそもの「大人になりたくない」というのは
彼が大人にならざるをえない状況にいるから思い始めたことだった。
「みんなと暮らしたこの街を出たくない」と同義だったのかもしれない。
本作はあたたかい人間関係を描いてきたからこそ
ウェイトの気持ちが、籠に囚われたくなる気持ちが
非常に分かってしまう、本作の人間関係を楽しんだ人間ほど
この展開は刺さってしまうと思う。
お嬢様のイベントでも思ったことだが
本作は「手紙」の使い方が本当に巧み。
ウェイトがこの状況に耐えられなくなったときに
三人があんな手紙を遺しているのが素敵で
この手紙があることで、ウェイトの人間関係が全くの妄想ではなくて
過去にあったもので、今まで”坊や、お嬢様、おばあちゃん”と
抽象的に表現された彼らが、ここで名前が表記されることで
抽象的な存在ではなくて、具体的な存在であり
その実在性を印象づけるのも感服する。
思い出と空想の混合である要素を加味して考えると
三人のエンドについては
上エンドはウェイトにとって、都合よくすべての物事が
何もしないでも自然と解決してしまう完全なるウェイトの空想エンドで
「夢みたい」という言葉が頻出するのは本当に夢でしかないからだと思う。
下エンドは、問題に直面しながらもそれを解決しようとする彼らの生き様を
描いてるので、思い出成分が強い思い出エンドなのだと思う。
こっちは「これからも」が強調されていて、流行病さえ来なければ
きっと同じような日常が続いていたはずなのに、というウェイトの想いが
表現されているのだと思う。
旅人のエンドについても性質的には実は同じである。
すなわち、現実から目を背けて籠の街で一人で暮らすのが上エンドで、
思い出の街に囚われるのはやめて外に出るのが下エンドで
旅人の下エンドは今まで彼らが問題に直面し頑張ったのを
今度はウェイトがやる番にもなったようにも思える。
旅人イベントではあるが実質ウェイトイベントで、
今まで彼が言ってきた夢である「タイムスリップ」というキーワードと
旅人の出会う前に聞こえてきたセリフで
旅人の正体はすぐに分かるので合点がいくだろう。
大人目線、子ども目線、親目線、いろんな目線で本作は見ることができるのだけど
思い出と空想目線で見ると全く違う意味合いを持ってくる。
坊やの死んだ人間はどこへ行くのかと探し回るのはウェイトも同じことを
やったんじゃないだろうかとも思えてくるし
お嬢様の「生きていく以上は必ず人間と関わらなければいけません」も
人間と関わらずにひとりで生きようとしたウェイトに
このままではいけないという意味を含んでいるようにも思え、
おばあちゃんのイベントのウェイトのいないところで咳き込むの
おばあちゃんがいつまでも生きていると思った自分に対する後悔でしかないんじゃないかとも
思える。このゲームを旅人エンドの後に2周するのは心情的に切ないが
どこまでが思い出でどこからが空想かを考えながらプレイすると味わい深いものになるだろう。
旅人ルートで本当に様々なことが一転してしまう
あたたかい分、切ない一作。
大人になることや人間関係、生きることについて
良質なシナリオで考えてみたい人にはぜひおススメしたい。
大人と子供の境界線を考えさせられました。(ネタバレを含みます)
ウェイトがお婆さんと会話するときは子供のようになり、坊やとお嬢様と接する時には大人のようになる様は「大人にも子供にもなり切れていない中途半端な時期を上手く表現しているなぁ」と思いました。
お婆さん・坊や・お嬢様エンドはキャラクターごとに2パターンあり、どれも子供である事を謳歌するエンドと成長と未来への発展性を仄めかす終わり方に分かれているのが面白かったです。
お婆さんとの日常では時間が有限であること、坊やとの日常では子供から見た大人、お嬢様との日常では世渡りについてを考えさせられました。
新たに表れた「旅人」との物語は以前とは違いやや不穏な雰囲気だったのが印象的です。
街の三人との日常では作者の価値観が物語を通じて語られていましたが「旅人」との物語はウェイトの未来への明確な分岐で、先が曖昧な街の三人との日常とはっきりと区別がついているのが分かりました。
また、「旅人」との物語がこの作品の総括なんだと思いました。
小説や映画の様に誰も彼もが未来を見据えて前向きに生きられる訳ではなく、世の中には停滞した生き方を選ぶ人もいるので「籠の街」はただのバットエンドには思えませんでした。
そして、「旅人」の正体を知った時は「籠の街」での「旅人」は一体どこの誰なんだろう?という疑問が湧きました。
「加護の街」でのウェイトが街や人々との思い出に別れを告げ街を出る最後は「これぞ理想的なハッピーエンド」といった感じでとても感動しました。
特に最後の「いってきます」はウェイトの決意と街への決別が集約されている様に感じられました。
フリーのノベルゲームでは珍しく、BGMにジャズの曲を使っているのがとても新鮮でした。これをきっかけにジャズに少し興味が湧きました。特にお婆さんのテーマの「調子の良い鍛冶屋」が好きです。
また、キャラクターの立ち絵とBGMがとても物語の雰囲気にマッチしていました。
ありがとうございます!!
他の方が書かれているように、システム面で「お?」と思うことは何度かありました(とは言えそれは些細なことです)。
ですが、それ以外の面、特にストーリー面がすごくよかったです。実は、このゲームを始めるきっかけがネタバレレビューを読んだことだったのですが、そんな私でも楽しめるような驚きがたくさんありました!いやぁ、ネタバレ読んだ私を褒めてやりたいと同時に止めてやりたくなりますね笑 しかし、エンディングで二段階衝撃があるのは卑怯だと思います笑
ストーリーだけではなく、BGMも凝っていてよかったです。それぞれのキャラクターに沿ったクラシックが、ゲームをさらに盛り上げてくれました。曲のチョイスも、そこまで有名なものではなく、かつマイナーすぎることもないような(個人的見解ですが)良曲ばかりで、心に残るものばかりです。また、おそらくですが、曲のアレンジがゲームの要所要所で違っていて、そこにも製作者様の拘りを感じました。
最後になってしまいましたが、製作お疲れ様でした。これからも応援しています。
数あるノベルの中でもトップクラスの完成度
ずっと気になっていたのにプレイしていなかったのですが、
短編部門金賞というのを見てプレイに踏み切りました。
結論から言うと、良作を超えた何か、ですw
今までプレイしていなかった自分を殴りたくなるくらい素敵な作品でした。
上質な雰囲気、先が気になる伏線の張り方、爽やかで清々しい読後感、と、
最初から最後まで満足度の高いノベルゲームでした。
「大人になるということ」。考えさせられる作品です。
感動を求める方は是非。オススメです!
スゲェシナリオ展開だ!
ネタバレ
世界崩壊系の作品から発想したんですかね、ギャルゲーとはちょっと違う、選択肢を選んで
グッドエンドを見るADVなんだけど終盤籠の街が滅ぶ超展開にびっくり。
シナリオはそんな話が一番面白かったです。
スタッフロールをカットするとエンドタイトルまで飛んでしまうのは良くない仕様でした
最後のルートで重みが増す
最後のルートでこれまでのルートででてきた「大人になりたくない」「大人と子供」などのテーマの重みがぐんと増します。
あのときああ言ってた言葉はこれこれで、そういえばああいった行動もとっていたけどこれって…………など物語に響いてくるものがあります。
またどのエンディングも日常的な雰囲気なのですがそれは、あぁ◯◯だからと最終的に納得がいく仕様です。
あまり多くは語れないのですが、ノベルゲー好きのみなさまにはぜひやってくださいと押せる作品です。
みんなとてもいい子(お婆さん)で、他者さまも書かれている通り不覚にも涙腺をやられる可能性があります。
やさしい物語をありがとうございました。
とても優しいお話でした。
観光客も来ない小さな街で、大人になりたくない男の子が少しだけ成長するお話です。
イラストのかわいさや、文体の優しさ、インターフェイスの分かりやすさ、フリー音源の選択など、読み手にストレスを与える点は一つもありませんでした。
攻略(?)対象はお婆ちゃん、坊や、お嬢様の3人(+α)。
少し変わった攻略対象ですが、ギャルゲーや乙女ゲーの類ではないので、違和感はありません。
兎に角お嬢様が可愛いので、ずっとあの世界に浸っていたかったです。
プレイ時間としては、読むのがかなりゆっくりな人でも3時間あればコンプできるでしょう。スキップ機能が優秀なので、すぐに終わってしまうと思います。
上述のように短いプレイ時間であるにも関わらず、感情移入が非常にしやすく、自分もこういう経験あるなあと何度も思わされました。
籠の街というタイトルの意味が分かるころには、登場人物全てが好きになり、数回涙腺をやられていると思います。
本当に優しくて素敵なお話でした。
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