ネタバレを含みます。
前作にあたる「300年ぶりの地球に、泣け」をプレイ済み。
そこから繋がる未来パートと、半ば独立した過去パートの視点が行き来する形で進行。
未来パートに関しては前作のキャラの登場はあるが、作者の言うように前作をプレイしていなくてもある程度把握可能。(逆に言えば前作の純粋な続編を期待しているプレイヤーにとっては物足りないかもしれない)
基本的には未来パートの登場人物を中心として物語は展開するが、過去パートにおける三人の少女のシンギュラリティ(技術的特異点)に対する期待や失望が一つのテーマだろうか。
ただし、その辺りの描写に関してはそう量は多くなく(全体的に短めなのもあるが)、特に挫折に対する葛藤は短く描写され、終盤はやや駆け足気味に感じた。(作者の過去作には挫折を描いたものが多くあるので自分はそれらに重ねることで補完できた)
キャラクターについては、前作からの登場人物はそれに対して多くを語らず、同一した存在なのかパラレルな存在なのか判別できなかったが、その行動や目的から同一した精神性が確認できたので安心した。
ただし、一部のキャラの性格が変わっているのではないかと困惑はした。
逆に過去パートの少女たちは内面を多く語っており、こちらは読み進めやすかった。
少女たちとUJ相聞歌の邂逅が作品の核にもなっており、そのやりとりはとても魅力的なのだが、プレイヤーが見ることができる期間が短かったのでこの四人での他のイベントも見たいと思った。
内容について、今作はSF作品であり、現実に起こるとされるシンギュラリティをテーマにしている。
2045年頃に起こると予想されている無限大の技術的進化、それを手にした組織によるディストピア社会、機械に仕事を奪われた人間は仕事にあぶれ…。そういった未来が現実になる可能性を感じた。
未来パートではそういったシンギュラリティ到来後の世界を描いている。
この作者は過去作やHPで公開している小説などから、学園青春、少年少女の葛藤などを書くのがとても上手であるが、前作も含めこういったSFストーリーもたいへん読み応えがあるので、この方向性の続編も期待できる。
この作品は、次回作「シンギュラリティ・オブ・ガール」のプロローグということなので、そちらの公開も心待ちにしたい。
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