欠落した世界
Ver.1.00でプレイ。
プレイ時間の短さと相まって(あくまで)同作者の作品
としては意外に抑えめな表現になっていますね。
やれる事が限られているのでエンドコンプも容易で
おまけの話は世界への絶対的な不信感が溢れ出る闇を
感じさせるものでしたが、ちょっと結果に都合の良すぎる
話だとも個人的には感じました。
タイトルの桃娘の意味も含めてある価値観における
はたから見れば狂ってるとしか思えない行為に秘められた
想いや執着というテーマだとすれば興味深い作品だと思います。
なるべくしてなったような、そんな話でした
マルチバッドエンドということで、単に「どうあがいても絶望」的なシナリオなんだろうと思い、プレイ時間も短く遊べるという事ですべてのエンディングを回収したのですが。
一番最初に見たのが「不幸の轢死」エンドだったのでかなり度肝を抜かれましたね…おまけシナリオまで見た後で思えば「不幸な歴史」とも取れるのかもしれません。
「娘が一人では絶対生きて行けないように」「私が死んだのに娘が死なないのはおかしいから」と、とんでもない理由で彼女がこの先何をやっても死んでしまうようにと教育する母の姿に底知れぬ狂気を感じましたが、これもある意味幸福なのかもしれません。母は幸福そうだし、娘は外で何が起こってるかなんて何も知らないまま。
今思えば、彼女が虐待を受けているわけではないという事をプレイヤーに知らせるために、彼女の立ち絵が裸に近い恰好をしていたのかもしれませんね。(サービスだとか、母親が衣服を与えなかった可能性もあるような気がしますが)
製作、お疲れ様でした。狂気というテーマをここまで恐ろしく深く描写できるスキル、感服します。
わずかな断片から
最初は4パターンのエンディングを回収することに終始していました。
それぞれのエンディングを見ると単に「あーそういう終わり方かあ」とだけ感じますし、多くの人がそのように思うのではないでしょうか。
しかし、おまけを見てその感じ方ががらりと変わりました。
この作品のすごいところは、本編では徹底的に真相を隠し続けたところ。
もちろんわずかな断片からうっすらとうかがい知ることはできるのですが、その隠し加減が絶妙。
この記述のことはあのシーンのことを言っていたのか、と一つ一つの謎がどんどん解けていく感覚が本当に面白かった。
本編では真相の一割も描かれていないと思いますが、その一割に満たない情報量ゆえに真相を知った時の充足感が素晴らしかったです。
考察をプレイヤーに丸投げせず、むしろ重厚な設定とシナリオを用意しつつ敢えて本編ではそれらを隠すことで、腹の底にずしっと落ちる納得感と充足感、そして悲壮感。
なかなかこういう作品には出会えないので面白いを超えて感慨深いとさえ思いました。
同作者さんのまりえすくーるが特に好きなのですが、それとやや対極的なイメージの本作も特に好きな作品になりました。
ぜひおまけまでプレイしてみてください。
不幸(マイナス)に狂気(マイナス)を掛けたら幸せ(プラス)になったかもしれない、そんなお話
Ver1.00、PCブラウザでプレー。
PCでプレーしましたが、画面レイアウトが縦画面向けに最適化されているので、
スマートフォンなどでプレーした方が快適かもしれません。
なおPC&Chromeだと全画面化(F11)しないと上下が見切れますのでご注意ください。
最後のオマケシナリオこそが本編にして真骨頂。
全てのエンドを見届けたあとにアレを読むと、全てが繋がると同時に、
なんというか「呪い」という物が質量を持って実在しているかのような感覚に襲われました。
一度手を出したならば、最後まで見届けて欲しい作品です。
ただし、注意書きもありますが少々人を選ぶ作品ですので、手を出すかどうかまでの判断については慎重に。
既にとととさんの過去作に触れているのであれば身構える必要はないと思いますが。
最後に一言。
アルビノはいいものだ。
ある意味ハッピーエンドのお話
調べられるところが少ないのですぐにコンプリート出来ます。
すべてのエンディングを見た後のおまけを読むと
疑問点は解明されるのでそこまでプレイされることをオススメします。
おまけからひしひしと感じる闇がとても良かったです。
個人的には、ある意味幸せなお話だったのではないかなと思います。
「他」を知らなければ自分が幸せなのか不幸せなのかなんて分かりませんからね。
全エンドネタバレ&超長文
まず最初に目についたのが可愛い女の子。
白髪(銀髪?)で瞳が赤いという時点で作者の拘りが垣間見えるというもの、アルビノとは良い趣味なさってますなぁと即ポチDL。
おっぱいが大きいのは自分の好みではないにせよ。しかしパンツ一丁の女の子を操作出来るという事でReadmeに軽く目を通し早速ゲームを開始しました。
ひとまずキラキラしてる所を調べたら何か起こるのかと思い、壁を叩いたり扉をノックしたりを数回繰り返した後に、キラキラしていない所にも何かあるかもと思い部屋中をくまなく探索。何も収穫が無いのを確認して寝るというのを4日目まで繰り返し、あぁ苦しそうな表情してる女の子可愛いなぁと思いつつEND1に到達。
何も出来ないままに死んでしまったので、Readmeの一番下を確認し、全エンドの解放を目指す事に。
続いてEND2の確認をしようと思いReadmeを読んでみれば、「END2:自己主張するように壁を叩いてください」と書いてある。なるほどつまりこれは、壁をぶち壊して脱出を図るのか、と当たり前のように考えた自分は、まぁ単純に今までやってきたゲームに毒されすぎていたのでしょう。体力のある初日のうちに壁を殴らなければ、翌日以降はもしかしたら力不足になるかもしれないと一日目からドンドンドンドン壁を殴り続ける女の子。
Zをキーをドコドコ連打しつつ、そういえばこの女の子ってドンドンドンドンドンドンEND1まで終始無言のままだったしドスドスドスドスドスドス無口で無表情系の女の子なのかなぁドコドコドコドコドコと、飽く事無き壁殴りを続け5分が経過。女の子もさぞや拳が痛かった事でしょうが、流石に何も変化が無いのはおかしいとやっとこさ気付き、ひとまず就寝。END2に至る別の条件があるとすれば、それはきっと日付であろうと考えた自分は、2日目、3日目、4日目で全く同じ事を繰り返した挙句、4日目にようやく変化が。
流石に体力を使い果たしたのか、女の子がパタンと(めっちゃ可愛らしく!)倒れ、流石に長らく絶食絶水状態だった女の子に重労働は無理か……と思ったのですが、ともあれ開始7分でようやくEND2への分岐ルートを発見。病院、というよりは研究所めいた雰囲気があるなぁと思いつつステージは次へ移動しました。
病室へ移り、まずは何よりドアを調査……が、開かず、仕方なしにざっと部屋を探索したあとキラキラのある窓へ。
ペタペタと裸足で病院服のまま街中を歩くアルビノの女の子には自分も是非是非出逢ってみたいものですが、そのままEND2へ直行。避けようもなく、理不尽に死亡。
なるほど運命が彼女を殺そうとしているようだと思いつつ、途中で医者らしき人物の言っていた色々な情報から途中までの推測が立てられるようになり、いやはや妄想が広がりますなぁといった所でEND3を目標へシフト。
当初はてっきり女の子は拉致監禁された女の子かとも思っていたのですが、医者の話を聞く限りどうも違う様子。もしやあの女の子、生まれた時からあの部屋にいたのでは?と予想し、だとしてもあの年齢まで育ってきたのは奇跡に近いと感心しながら、なるほどそれでパンツ一丁なのかと納得しました。そりゃそうだ。あの部屋でずっと過ごしているなら服なんて必要無いのだから。
しかしそれ以上に気になるのは人に怯えていた。というより、恐らくは大人に酷い怯えを見せていた所ではないかと予測。というより、生まれた時から監禁状態ならまずまともな親じゃないし、見たところ痣やら打撲やらの痕は見当たらなかったものの、そういった虐待案件は一通りやられてるんじゃないかと、そうなるとあの女の子はなんて可愛そうで、そして何て可愛らしい女の子なんだろうと、そうだったらいいなぁと思いつつ、再びゲームを開始。
今度は壁を殴らず、というのが条件らしい。今度のあの娘は拳を傷めずに済みそうな予感?
開始直後にベッドへ直行。何かあるとすればそれは四日目だろうと予測を立て、起きては寝ての地獄のニート生活。仏教ですら断食は苦行であり中道から逸脱したものとしているというのに、この少女はもはやそうせざると得ないが故に苦行に励むと、中々悟りすらをも開けそうな境地に立たされている女の子ですが、しかし全END回収の為に容赦なく寝る自分、寝続ける女の子、日々痩せ衰える女の子(可愛い)。
果たして最終日、青褪めた顔の女の子(可愛い)は植木鉢に「切るもの」を発見、喜々として出口をこじ開け、待っていた光景が、あれ。
マジかよ。そう来たか。
いや、意表を突かれたと言いますか、ここでこう来ますか。いやしかし、これは中々闇と業の深い女の子ですなぁと可愛さと可憐さがENDを重ねる毎に増していく女の子(天使)
結構、その、クるものがありましたね。非常にそそります。自分、ネクロフィリアのケは無いんですけどね、生憎不幸属性な女の子は大好きでして。
何はともあれ、これでEND3も回収。
そして最後のENDであるEND4。もう大方予想が付くというものですよね。
首切りでしょ?首切り自殺ENDでしょ?ある意味これが一番幸せな結末かもね。
えぇ、そう思っていた時期が私にもありましたよ。えぇ、いやほんと、そう来ますか。そういっちゃいますか。これ、業が深いとかそんなんじゃないですよね。何をどうやったらこんな発想が出来るんですかね。っていうか初日からあったあの血痕ってそういうあれだったのか。そして虐待なんかされてないじゃないか。何だこれ、どういう事なんだ?
我々はその真相を解明すべくオマケノベルこと「女の狂気」へと向かった。
端的に言いましょう。
素晴らしい。これほどの、こんなにも素晴らしい。こんなにも美しい。そして何より、こんなにも深い、深い闇。深淵の穴を覗き込むような闇そのものの気配。人の心の奥底の、淀んだ闇の部分の露呈。まさしく狂気とはこれだ。個人が持ちうる最高の狂愛こそがこれだ。これ以上は考えられない。これ以上は自分には思い付かない。
何よりその美しさは理解と無理解のちょうど真ん中、境界線上に立つかのような思考回路にあるでしょう。自分には分かる。自分には彼女の言い分が理解出来る。理解出来てしまう。当然だ。人の闇とはそういう事だ。それこそが私が何より憎むもの、それこそが何より私の描きたいもの。偏見と無理解の塊にして及ばぬものを拒絶する民意という名の価値観。それを真っ向から嘲笑い、踏み躙り、中指を立てるこの作品。
本当に、心の底から思います。この作品に出会えて本当によかった。
製作者を含むこのゲーム開発に携わった全ての人に深い感謝を。ありがとうございました。
監禁されても育ちは立派
■総評3/5
・ED分岐型の短編アドベンチャー
・テーマはネグレクト(育児放棄)
・表現的にグロい面があるので注意
・短編ということで分岐への条件も見つけやすいが
あっさりしすぎている印象も
なんたる狂気
1.00でGoogle Chromeでパソコンでやったところ、普通の表示方法では一部文章が見切れてました。全画面表示にしたら大丈夫でしたが。以下ネタバレあり
絵がどんどん上手になってらっしゃるというか今回のヒロインのデザインがとても可愛い。そしてどうあがいてもエグい。そんな感じ。
今回のエンドは全部エグイ。ごちそうエンドと不幸な事故エンドが特にきつい。
しかない会議にちなんだというのもありそうですが、それだけでなく真相の語りが本編内容をしっかりと表していてこういう方向に行くしかないのだろうなと思わせられる構成が面白かったです。
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