ゲーム性とテキストの特徴を掛け合わせた作品
ネタバレを含みます
読ませて頂きました。
作品自体は非常に短く、モノローグのみのテキスト、且つ、内容もエンターテインメント性の薄いものである為、『楽しむ作品』というと少し違うのかも知れません。
ふとした問い、しかし拭い去るには少しだけ根の深い問いを掌編小説に落としこんで、そのままゲームにした、といった作品に感じられました。
タイトル画面の印象から、シンプルに『天国か地獄を選んで、それぞれごとにオチがある』感じかな、と思いきや、『ゲームとしては』一本道、しかし確かに選択肢は提示していて、プレイヤーに選択を示している面白い構成の作品でした。テキストに寄る問題提起と、ノベルゲームの選択肢というゲームを掛け合わせた感じでしょうか。
生きている間に自身が背負っていく業は、大小を問わず多くあると思います。
罪に対する罰という相対関係をどの様に捉えていくのかは、その人の尺度次第かも知れません。実質的な不利益を指して罰と捉えるのかも知れませんし、拭い切れずに遺り続ける胸のしこりまでをも含めて罰と捉えることもあるのかも知れません。
死後の世界が本当にあるのか、それが本作の様なものであるのかは与り知れないところではありますが、本作の問いは、後者を幾らか刺激していく様なものであった様にも思えます。
プレイヤーは生きていて、その中で本作の様な問いに向き合っていくことになる。罰を予見する業を顧みながら、これからの生へと思い耽る。
……とまで、真面目に向き合っていくほどの問いではないのかも知れませんね笑
ただ、時折、頭の片隅に遺して、ふとした瞬間に少しだけ考えてみる……それくらいが丁度良いのかも知れません。
自身はどの様な業を背負って生きているのか……その裏返しに、自身は善き生を送れているのか。フラットな気持ちで、ほんの少しだけ顧みる。
プレイ時間五分の小さな哲学は、そういうボリューム感の様に思えました。
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