[☆1] 果て無き選択肢人生
これから大人となる少年が想う人生観様々、短編ノベルに該当。
主人公の学生が学校内の同級生や先生達と様々なやり取りをしつつも、自分の生きる意味や将来性に悩む葛藤を鋭く描いたメッセージ性の強き内容といったところか。
本作にはキャラ絵、背景絵の類が存在せず、単色バックのみで終始話が進むという外見上の飾りっ気を取っ払った大胆な手法が取られているが、文章表現が非常に読みやすくて繊細な為、文章の丁寧さがより強調された絶妙な一体感を醸し出す事に成功しているのではないだろうか。
エンディングまでの過程も極端にあっけなさすぎず、くどすぎたりもしない故に適度な文章量で程よく話の過程を進められるのは見事に思える。
余分な視覚演出が少ない分テンポ良く文章が読め、キャラの会話に色分けがされ誰が喋っているんかが分かりやすく、朗読スキップや端折り機能でメッセージ飛ばしが可能なので、システムの快適性はなかなかのもの。
しかし、トゥルーENDルートの分岐が過剰気味ですべてのENDを拝むのに総当りの作業を繰り返さないといけないのと、特定選択肢でスキップ機能を行うとバグでゲームが中断されるところはマイナスである。
エンディング数は多めだが、原則的に選択肢後の結末の趣旨がさほど変わらない為か、話の趣旨の関係上、何度もプレイするうちに多々の説教臭さはどうしても覚えてしまう様にも思える。
外見上はかなりシンプルで殺風景だが、それだけに小手先の視覚演出では誤魔化せない文章表現の技術が非常に活きているという「職人のこだわり」的な素晴らしさが垣間見れる作品。
若干入れすぎな選択肢の多さや、話自体がさほど風呂敷を広げずに哲学重視の描写がなされているあたりは賛否が分かれそうなところもあるかもしれない。 (Vol.92)
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