百合というと、登場人物の心情に共感するジャンルという思いが
私などにはありまして、特に現実で同性に対して込み入った感情を
お持ちの方がカタルシス的に重たい百合を描いているんじゃないかと
勝手な想像をしております。
さて、本作および本シリーズはファンタジー色がかなり強く
そういった方向性の方には向いていないかもと思いました。
ただ、これは決して苦言として申し上げているわけではなく
「音楽性の違い」みたいなもので、作者様はこの路線で
切磋琢磨されることを期待しております。
さておき、本作に関しまして気になりましたのが悠が男役すぎる気がしたことです。
百合作品に対する批評でまれに「これは男女物の男を女にしただけだ」というのを
見ることがありますが、本作もややその雰囲気を感じてしまいました。
百合に限らず同性カップルには役割分担の曖昧さという良さがあると思うのですが
そういった物が希薄気味だったのは個人的に残念でした。
また、まだあどけない娘の遥の告白に対して風音たちの反応が
どうも共感できないというか…納得できませんでした。
さすがに相手にしないと私は思うのですが、他の方の感想を
チェックしてもそこを気にしている方はいらっしゃらなかったので
このあたりは私の感じ方に欠陥があるのかもしれません。
戦闘はインフレがあまりにも強烈で、加えて爽快な締めがないかなと感じました。
おそらく明確な悪役を作らないという作者様のお優しさだと想像しますが
悪役に徹した悪役もいいんじゃないかなと、要望を述べさせておきます。
システムは最新作で変更があるかもと思ってこれまで述べませんでしたが
キャラクターの表情を変える度にテキストウィンドウを消すのは
正直読みづらく、変わった部分もわかりづらいように感じました。
キャラクターの表情を見せたいのでしたらバストアップにして
ウィンドウもよくある画面下部のボックス形式がいいかなと思いました。
それと本作は音楽ファイルが多いのか134MBとファイルをかなり重く感じました。
ネットが発展しHDDも随分と安くなりましたが、動画やボイスも無く
シンプルなビジュアルノベルの容量としてはやや気になった次第です。
作者様サイトを閲覧しますと、次回作も製作中とのことですので
この先もがんばってください。応援しております。
彼女たちの「続き」の話
確かに過去作品はプレイしていなくても問題はありません。
ありませんが、おそらく本作の「全てを楽しむ」ことはできないでしょう。
過去の三作では、いずれも『大切な人とどう向き合うか』が主題に据えられていました。
(それぞれのキャラの背景によって葛藤の仕方や答えへ向かう姿勢に違いはありましたが、集約すればこの一点に尽きると思います。)
本作ではさらに踏み込んで、その上で『周囲の人々とはどう接していくか』が新たな命題となっています。
大切な人と結ばれることはできた。だけど、そのまま二人の世界に閉じこもっていられるのか?
新たな問いに悩む悠と風音を中心に描かれる、登場人物達の成長や変化は、過去作をプレイしていたからこそより感慨深く感じられるものでした。
特に、前作で意外な一面が明かされ、その後一つの転機を迎えたとあるキャラなどは、とても生き生きとその後の人生を楽しむ様子が描かれています。
三作に渡り強烈な存在感を放ってきたキャラなだけに、飄々と今を楽しむ彼女の姿はとても味わい深かったです。
大げさかもしれませんが、今作を読んだだけでは彼女の印象は「凄く強くてかなりマイペースなちょっと危ない女」程度に留まってしまうのではないでしょうか。
十分強烈な気もしますけど。
(余談になりますが、読んでる途中「流石に今作だと出番ないかな……」と思っていたので彼女が出てきたときは思わず画面の前でガッツポーズしました)
有難いことに本シリーズはフリーソフトです。必要なのはHDの容量と読む時間だけ。
どうせなら、過去作から全部読んでしまいましょう。
主観を盛大にぶちまけたレビューでしたが、以上で失礼致します。
追記:個人的には、是非とも『彼女』が主役のスピンオフなども見てみたいです
一作目以外の感想
さて、細かい事は前の方が記していますのでザックリと感想を。
フリーのノベルタイプの百合ゲーは何故か話が重く、イチャイチャ成分が少ない物が多いのですが、このシリーズはかなり甘いですw
決して話が軽い訳ではありません。葛藤や喧嘩、戦闘などもありますがそれだけではなくちゃんとイチャイチャしてくれますw
また、前作のキャラクターが次作、次々作にも出演しており、少ない登場人物数ながら狭すぎない世界観を作り出しています。
イチャラブな感じの百合が好きな人ならプレイして損はない作品だと思います。
最後に、一作目の修正頑張って下さい。お願いします。
そして次の作品も期待して待っています。
百合と家族と仲間と……
“永久の白百合~悠遠の日向~”の感想を書かせて頂きますね。
本作は百合ノベル、永久の白百合シリーズの4作目に当たる作品であり、1作目の悠と風音のその後の物語を描いた作品になります。
様々な障害を乗り越え、本当の恋人同士として歩み始めた悠と風音ですが、何とひょんな事から女性同士であるはずの彼女達は娘を授かる事になるのです。
女性二人とその娘の家族……と云うだけでも斬新な発想だとは思うのですが、この程度は未だ未だ序の口であり、ストーリーを進めると驚くべき事態になって行きます。
家族となった彼女達には、越えねばならぬ多くの試練が待ち受けていたのです。
永久の白百合シリーズはその名の通り、とてもディープな百合要素を含んだ作品なのですが、今回は多種多様な百合を見る事が出来るのが嬉しい所です。
また、異能力が中心となるバトルシーンはとても熱く、中盤以降は物語に熱中し、完全に止め所を失う程、引き込まれます。
立絵はキャラの表情がコロコロ変わり、とても可愛らしく、一枚絵も丁寧で優しい雰囲気が漂っていて、見ていて癒されます。
本編以前の物語である1作目、ゲストキャラが登場する3作目はプレイ済推奨ですが、物語冒頭であらすじ解説がされる形になっていますので、本作初プレイでも支障はありません。
選択肢無、好感度無、一本道の百合ノベルゲーで、プレイ時間は推定3~4時間程度。
人と人との絆を描いた感動的な物語と、異能力がぶつかり合う熱いバトルシーンが魅力的な作品です。
百合度は比較的高めで、若干性的なネタも含まれていますが、推奨年齢15歳以上となっているので、妥当ではないかと。
ラストは綺麗な終わり方となっており、百合が好きな方には特にお勧めしたい一作です。
それでは、これにて失礼致します。
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