出会いと別れ
序盤では笑いありのほのぼのとしたお話で、こういう感じのやりとりが続いていくのだろうなと勝手に信じていました。なので、中盤からの展開に本当に驚かされました。あまりの不条理さに「ここで終わってしまうのか」とほろ苦いものを感じた次第です。
個人的には、彼自身との心の決別(落としどころ)のようなものが描かれていればなお良かったかな、なんて思ったり……。とはいえきっとここから少しずつ、新しい小さな友人とともに立ち直っていくのでしょうね。
大変ひきこまれる作品をプレイさせていただき、ありがとうございました。切ないお話をお探しの方におすすめです。
魔法も呪いもあるんだよ
kokoro134様の制作された、大学生恋愛ADV、“無音期間ヲ抜けて”の感想を書かせて頂きますね。
本作は対人関係が苦手な女子大学生、深江と、阿呆と呼ばれている男子大学生、前原の、大学生活中のとある事件を描いた物語。
他に友達がいないながらも、深江と前原は本当に仲が良くて楽しそうで、最初は前原が次々にトラブルを起こしては、深江はそれにイライラしながらも内心面白がっているような、そんなお話が最後まで続くのだと思っていました。
ですが、深江と前原がどんな人間なのかは序盤でイメージ出来た物の、中盤から終盤に掛けては思わぬ展開になり、非常に悲しくて切ないお話になりました。
前原のような明るく元気な阿呆キャラは、何があってもあのような事にはならないパターンが多いのですけれどもね……。
彼が序盤で印象付けられたキャラまで捨てて、深江に想いを打ち明けたにも関わらず、彼女もどう対応して良いのかが分からなかったから……と云う所に悲劇を感じました。
プレイ直後に出て来た魔法使いと云うキーワードが、序盤、中盤、終盤で、全てに意味を持って来る所が、良く考えて作られているように思えましたね。
本編のタイトルの意味も、そう云う事だったのかと思いました。
ミヤコワスレが主役のサイドストーリーも、胸が温かくなる、とても良いお話だったと思いますが、個人的に少々残念だったのは、千里が主役のサイドストーリーで、最後に半ば強制的にある人物を消し去ってしまった所ですかね。
そこは相手が納得した上で、自分から消えて欲しかったですかね。
とは言え、それだけ想いが強かったのだと思うと、プレイヤーとしても気持ちが分かってしまい、辛い訳ですが。
人間と云うのは不思議な生き物で、例えどんなに辛い出来事があったとしても、永い時が流れれば、心の傷痕は徐々に塞がって行く物なんですよね。
そして、必ず立ち直る為の切欠となるべき物が見付かります。
この二つのサイドストーリーは、深江にとっての正にそれなのだと思います。
人は一人では生きて行けない……だから、誰かと共に生きたり、傍にいてもらったり、時には誰かに背中を押してもらう必要があるのですね。
非常に短い物語でしたが、キャラの設定がしっかり確立されていて、プレイ後に感動させられる良いお話だったと思います。
不器用な男女の切ない恋物語を読みたい方は、是非ともプレイしてみてはいかがでしょうか。
それでは、これにて失礼致します。
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