成長が伺える作品
人界魔界の前作の悪かった所が大体なくなっている。
ただテーマが前日譚、それも死亡したキャラにスポットを当てているためバッドエンド確定であり人は選ぶ。
システムはいらない所をズバッと切り捨てて遊びやすくなっている。
だが短編ということでレベル上限が低く、おもしろシステムであったコンボボーナス的な物がほとんど仕事しないのが少し残念だった。
戦闘バランスはレベルと装備でゴリ押し出来すぎた前作と比べるとかなりキツめ。
特にソロで森を抜ける所が状態異常でハメ殺ししてきたりするので面倒だったし、
ラストの辺りは全体火力が遅い&回復の役割も持っているの二人なので雑魚戦でガンガン削られ、
アイテムをそれなりに購入しておかないとダンジョンの中でリソースが尽きかねなかった。
ただ今作はMP回復剤が存在するのでそういう意味では楽になった(割高だけど)
まだキツイけど装備の更新も多少楽にはなったのでそういう意味でも遊びやすくなった。
今作一番成長が見えたのはイベントで、
前作のインスタント絆でラスボスを倒す流れに比べるとかなり良かった。
まあその、バッドエンドコースなのでやめてくれよぉ……ってなるんですけどね。
ただ長期距離移動の時は何かしらのセリフは入れてほしかった。
いくらソロでもダンジョンとフィールド2~3跨いで黙々とセリフなしで進ませるのはちょっと。
総合的に見て次回作が楽しみになる位の作品にはなってた。
ただやっぱりこのシリーズを最初からやろうとするとやっぱり1作目のインスタント絆ストーリーがちょっと。
ジャンル:君が逃げられないRPG
2時間49分でメインシナリオを終えましたが
これ単体では完結しません。
グラフィックとBGMは良いのですが、シナリオ、マップとゲームシステムの3点は
う~ん・・・という感じです。
「前作をプレイしていなくても楽しめるように製作してみたつもりです」
と作者は書いていますが、
ラスボスが負けイベントで
エンディングが「ざんねん!! 私の冒険はここで終わってしまった!」的な死亡エンド。
前作のキャラを出して「続きは前作で!」
(もしかしたら「続きは次回作で!」かもしれない)
とやられたら、この作品だけをプレイした人はやるせない気持ちになります。
このゲームで使われているオリジナル素材そのものはかなり良いと思いました。
ボイスは多少気にはなりますが、他のフリゲと比較するとレベルは高い。
オリジナルイラストも良く、魔王魂のアレンジもいい味が出ていると思います。
BGMだと魔界の最初の戦闘曲がカッコいい。
シナリオは人名、地名が長すぎて、誰がどこを襲撃したのか
よく分からないことがしばしば。
(例:【ミクトエンデュ】【ミュツェリエル】【ミクトウェンディル】
ちなみにこの3つの固有名詞が一度に表示されることもあります)
二つ名をつけるとか、短いあだ名で呼び合うとか工夫はできたはずです。
それとプレイヤーが今から何をするのか分からなくなることも何度か。
はっきりと目的地に行く方法を教えてくれないんですよ。
例えば、屋敷のイベントを拾ってみても
「ティムスを探しに人界に行ってほしい」
(人界に行くには北のクレミュールに行く必要があるがそれは教えてくれない)
「屋敷に忘れ物をしたので取りにいっていいか?」
(屋敷は東の峠を登って行けばいい。一応、示唆するイベントは直前にあるけど
セリフでは教えてくれない。それと屋敷のイベントを終えた後に本来の目的を
確認しないから、次にどうすればいいか忘れがち)
とりあえず、基本的に行ける場所は1つしかないので
そこを進んでいけば、話は進むのですが
プレイヤーが置いてきぼりにされている気分でした。
あと、FF5のガラフを彷彿とさせる負けイベントが最初の方にあるのですが
出会って一日ほどのキャラにこれをやられても、別になぁ・・・。
しかも、ラストもこれですから、ますます最初でここまでやる必要なかったんじゃないかと。
マップデザインはACEのデフォルトマップも使用されていますが
多少、手が加えられており、そのままではない点は良かったと思います。
オリジナルの山マップも小物が多く、見栄えは良いです。
しかし、マップが全体的に広く、エンカ率高めのランダムエンカウントなので
その点ではプレイヤー泣かせの構造になっています。
敵と出会っても逃げればいいじゃん、と思うかもしれませんが
このゲーム、プレイヤーの素早さがあまり上がらないので
逃げられるのは魔界に入る前まで。魔界以降はほとんど逃げるが成功しません。
クリアまでに155回エンカウントしたのですが、これからプレイする方は
そのうちの145回は逃げられないと思っておくといいでしょう。
それから、ダンジョンが変わってもザコ敵にあまり変化がないので
また、この敵か・・・と逃げたくなるように仕上がっているのもポイント。
1人序盤から火力が高いキャラがいるので、彼女がいるうちは
魔法で敵を一撃で倒せるのですが、彼女が戦闘不能になった途端
難易度(というか面倒さ)が一気に上がります。
幸い、戦闘不能を回復できるアイテムは安価なので、必ず複数買っておきましょう。
そのことを知らなかった私は魔界で4回ほどゲームオーバーしました。
あと、きつかったのはジャハル大森林。ここでは
ティムス一人で行くところなのに、敵がスタン使ってくる+眠らせてくる。
しばらく、操作できずにボコボコにされることもありました。
このダンジョン、そんななるべく戦いたくない場所なのに
広い上にマップの左右がループしていて迷いやすい。
もちろん、逃げることはできません。
防具を揃えれば、40あった被ダメが0まで減らせるので全滅の可能性は低いのですが
行動不能にされたり、一撃で倒しきれなかったり、とにかく面倒な場所でした。
それらとは対照的にラストダンジョンは簡単です。
先述した火力の高いキャラが全体攻撃を覚え、
チェインもあってザコならほぼ瞬殺できますし
あんまり広くなく、迷わない構造のマップなので。
短編ですが、長編の一部分を切り出したRPGなので
お手軽さを求めて、これをプレイするのにはオススメできません。
ただ、「男に後退の二文字はねえ!」という逃げない方ならぜひプレイを。
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