下妻　憂様の制作された、姉妹の愛を描いたシリアス系フルボイス百合ADV、“姉が為に鐘は鳴る～彼女の白昼夢～”の感想を書かせて頂きますね。

本作は難病であるチェリーセージ症と言う病を患ってしまった姉の事を心配する、真面目で心優しい主人公である妹が、深い葛藤に苛まれると言う物語になります。
……と簡単に纏めてしまいましたが、本質的には確かに上記の通り、シリアス過ぎる程、シリアスな物語ではあるのですが、プレイしていて気が滅入ってしまうと言う感じではありません。
と言うのも、主人公であるとわの姉のやえが、とても長くは生きられない病人とは思えない程、明るく子供っぽく可愛らしい少女だからなのだと思います。
同じ病室にいる絵を書く事が好きなるりこもガチレズで、屋上で出会う亡霊のあきほも掴み所のない性格をしており、唯一の常識人である主人公を困惑させるシーンが多々見受けられます。

そんな訳で、終盤近くになるまで、所々痛々しいシーンは有りますが、本当に明るいキャラ同士のやり取りを中心として、ストーリーは進行して行きます。
どのキャラの立ち絵も可愛らしく、表情もコロコロ変わって楽しいですし、重要なシーンではイベント用の素敵な一枚絵も用意されておりますが、私個人的にはフルボイスである事を一番に評価したい所ではあります。
最初から最後まで、一部の文章を除き、まさかまさかのフルボイスとなっておりますので、これはもう聞かない手はないのではないかと(笑)。
あきほはとわとしか基本的には絡みがないので残念ではありますが、やえとるりこが揃うと概ね、ちょっとエッチな百合会話が始まるので、声優さんの可愛いボイスで色付けされて、百合愛好家達失神って感じです、はい(爆)。

とわは一番人間らしくて、感情が大きく左右する事が多い為、理不尽な現実を受け入れられずに激怒する所、絶望で悲しみに浸っている所、大好きな人に思いを素直に伝える所辺りを、声優さんがとても上手に表現されていたと思います。
やえの声優さんもFREEJIAⅣのカレン・ターナー役等で存じておりましたが、幼声でお姉ちゃんっぽくないお姉ちゃんなのに、妹の事をとても大事に思っていて、とわの前でも決して心の弱さを見せない気丈な所を、上手く表現されていたと思います。
るりこの声優さんも、ちょっと姉御肌な口調のキャラと喋り方を上手く演じられており、中盤位のやえとのとあるシーンでは、普段中々見せない弱さを見る事が出来ました。
ただ、キャラがキャラなのでどうしようもないとは思うのですが、あきほのボイスの音量が他のキャラよりも圧倒的に小さくて聞き取り辛く、話すスピードも非常にスローなのが、ちょっと残念と言えば残念だったかも知れません。
同じ声優さんなので、とわとの差別化を図る為にも、仕方のない事だとは思っておりますが……。

後はもう少し、あきほがとわの前から消えてしまう時の理由を、明確にして欲しかったと言う所はあります。
ちょっとだけあっさりしていた気がしてしまったので、この二人の深い絆を感じられるイベントシーン等が後一つ位あって、もう一押しの消える為の理由があれば、もっと良かったかなと思ったりしました。
でも、やえの前で弱さを見せるとわと、とわの前で最後まで強さを見せ付けたやえの対比等、非常に感動させて頂きました。
眼鏡を取ったお姉ちゃんも可愛かったです。
因みに、ED直前に衝撃の事実を知る事が出来……、この後は実際にプレイしてみて確かめて下さい(笑)。

フルボイスの百合……、本作で、これはマジで最強だと知りました(爆)。

それでは、これにて失礼致します。

12345