次第に色を得ていくような物語です。
簡単なあらすじとしては……
主人公の青年が小学校の同窓会で、昔仲の良かった女の子に出会えたならば……な気持ちから始まるお話です。
以下、「良い点」と「気になる点」を正直に書いていきます。
最後まで読んでみて素直に、心情描写が上手いと感じました。この作品、主人公視点で物語が進行します。作中、様々なことが起こり主人公の心が浮き沈みし、揺れます。
その様子を丁寧に文章で伝えてくれます。主人公が内気な性格ということもあり、心の中での言葉が多いのかもしれません。
また、物語全体の進め方も上手です。中盤以降で展開が動くのですが、そこからあの終盤までもってゆき、「後味良く」終わらせるのは見事です。その「後味良く」を可能にしているのは、主人公の中の想い出や、他キャラの中の想い出だと思います。小さな物語のなかに、いくつものドラマを描いているからこそ、この作品を良いものへと押し上げているのだと思います。
演出に関しても、少し独特です。
この作品、立ち絵が全くないのですが、この点についてはこれで正解だと思います。同窓会を舞台にしているため、プレイ層はある程度の年齢の方が多いと思います。つまり、大人な物語です。キャラ絵があると、どうにも雰囲気がすこし幼くなるような気がするため、無いのが正解だと思います。また、心情描写について先に書きましたが、読者が「想像」することで、登場人物に対して、文章からは得られないリアリティを得られるのではないかと思います。私はそう感じました。
背景に関しても、「想い出:セピア色」「現在:モノクロ」で、画面の半分程度の表示でちょっとした映画のスクリーンのようになっています。少し、現在がモノクロゆえ、寂しい雰囲気はありましたが、主人公の心情を踏まえるとそれもありなのかもしれません。ただ、作中一度だけ、それが「色を得る」場面があり、印象的でした。引きに引いての良い演出だと思います。
また、EDへの入りと終了後へのタイトル画面への戻り方がオシャレでセンスの良さを感じます。思わず、2週目に入りたくなります。何かが変わっているんじゃないか……とどこか期待した自分が居ました。
さて、気になる点も……。
他の人も触れていますが、「インパクトが弱い」です。読んでみれば、「このテイストだから良い作品」だと認識できます。……が、どうにも紹介・画像からは暗いイメージを感じてしまいます。順序が逆になるかもしれませんが、「手に取りやすい場面」の画像というのをイメージしてからお話や演出を練るのもありかもしれません。
そして、サウンドの「数と種類」についても、もう少し力を入れたほうがいいかなと感じました。時折ある無音の箇所というのは個人的には気になってしまいました。SEについても、可能な限り入れてみると印象が変わるかもしれません。(乾杯グラス音や駅ベル・携帯着信音など)。終始、しっとりとした美しいBGMというのも良いかと思いますが、少年期の楽しい思い出場面とかは、少し明るめの曲というのもありかもしれません。
と、いろいろと長々と書かせていただきましたが、大人な方々は是非一度お手に取って読んでみることをお勧めします。しっとりとした、物語があなたの心にきっと何かを残してくれるはずですから。
シナリオは面白いけどパッと見の地味さ・野暮ったさが残念
シナリオはすごくいいと思います。
他の方もおっしゃっていますが構成がすごくいいです。出だしは正直ありきたりですが、中盤に予想外で衝撃的な事実が判明し、そこからの展開がすごいです。
切なくて、胸にズシンと来ます。
ただ地味ですね、全体的に。
シナリオはすごくいいんですが頭に地味にとつけないと褒められないというか、
華やかさとは縁遠く、どうしても小粒な感じ。
パッと見もそうだし、会話文の言い回しなんかも、ちょっと野暮ったいかも。
会話文の方は特に、同窓生の話し方が微妙。キャラクターちっくといいますか。もう少し普通の話し方だったらよかったと思います。
システムではマウスホイールで文章送りできないのが不便ですね。
こういう立ち絵のないシナリオ重視の作品でないのは辛いです。
面白かったけど随所に見られる野暮ったさがちょっと残念かなあ、という感じ。
『セイシュン真っ盛り!』も、光るものはあるが惜しいなあ、という作品でしたし。
次回作では演出や環境回り、タイトル画面のデザインなどにも気を配ってみてはどうでしょうか?
そこら辺が洗練されたら、もっと多くの人を惹きつけることが出来ると思います!
これだけのシナリオが書けるのにもったいないです。
って偉そうでスイマセン^^;
これは名作です!
この作品が公開されてから約2年後。
とあるレビューサイトでこちらの作品が紹介されているのを見つけ、プレイさせて頂きました。
……ハッキリ言いましょう。
これは間違いなく【名作】です!!
このノベルには立ち絵・イラスト背景はありません。
また、失礼ながら宣伝の仕方・説明文も簡素で、ゲーム内のウェイトやSEの使い方も決してうまいとは言えません。
正直、目を引く作品とは言い難いかもしれない。
……でも、あえてもう一度言います。
これは間違いなく【名作】です!!
では、どこがそんなに面白いのか?
それはノベルの要である、"シナリオ"です。
文章力ではありません。構成力です。
起承転結・複線・ミスリード等が、全て完璧なのです。
そして何よりも凄いのは、この作品はそういう"予想外さ"をただの『スパイス』にしているだけで、『メイン』は登場人物の"抱えているもの"を読むノベルだという事です。少なくとも私はそう感じました。
主人公・ヒロイン・井上さん(同級生)が当時何を考えて、現在どう思っているのか。
それを立ち絵でもイラスト背景でもなく、シナリオから読み取った時、この物語は本当に感動する物語となります。
そう考えると、タイトルの『君と再会した日』も二重の意味に取れるとても素晴らしいものに見えてきます。
偶然か意図したかは定かではないですが、こういうタイトルの付けかた私はとても好きです。
30分ほどで終わる短編なので未プレイの人にはオススメです。
ひとりきりの夜に
じんわりと感動しました。
予想外の展開にショックを受けましたが、結末ではきれいにまとまっていて、切ないものの優しい雰囲気があります。
ひとりきりの夜におすすめしたい作品です。
丁寧な作品です。
落ち着いて読める良作。
作品のストーリーには取り入れずらいような内容も、恐れずに描いた意欲作でもあります。あなたが同窓会に参加するような年齢の方なら、プレイしてみて決して損はしないかと思います。
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