最初、『プレイ時間12～18時間前後』という説明書きを見て、クローズドサークルの事件にそんなに時間掛かるものなのか？と首を傾げながらプレイしました。
実際のところはたぶんクリアまで10時間ぐらいだと思いますが、よくある事件からこんなところまで展開が進むのかとびっくりしました。
正直言ってトリックや設定、文章などかなり荒くツッコミたい部分が数多くあるのですが構築された全体としての物語はかなり質の高いものでした。
逆に言うとそういう細かい部分が改善されたらノベル系の賞を取ってもおかしくないぐらいなのではと感じました。
誉め言葉になっているか分かりませんが、例えば絵や文章などブラッシュアップしてルート分岐なども厚みを増してエロ要素を付けたら商業ブランドのエロゲーで普通に一本ソフトとして世に出てるレベルだと思いました。
今は時代的に厳しいかもしれないですがもっと前なら持ち込んでいたら原作として採用されてそう。
（誤解のないように言うと今作の主人公は全くモテず恋愛要素0です）
業界人でもないしあくまで一個人の感想で褒め言葉になってなかったら申し訳ないですが。
とても楽しめましたので灰世界からの脱出もやろうと思います。


※致命的なのは避けていますがここからネタバレがあるので未プレイの方は見ない方がいいです。
（あと色々書いていますが貶めてやろうと思ってじゃないことを伝えたいです）

上で書いた通り全体としては満足でしたがどうしてもやっていてノイズなことがとても多かったです。
例えばそれは舞台がイギリスじゃなくて日本にしか思えないことです。
理由としては登場人物のほとんどが外国人なのに半分ぐらいは絵が日本人にしか見えないし、イギリスの客船の食堂なのに定食がてんぷらと白ご飯。さらにわらび餅もある。
イギリスの洋館がある離島なのになぜか灯篭が並んでいて、背景が日本語の標識や看板がある小京都で住居は日本の古民家。島民はイギリス人なのに数珠を持ち着物の喪服を着ている。
イギリスのホテルの夕食が大トロの刺身ととんかつ。煮つけに鮭。
イギリス人が暇つぶしにやる遊びが将棋に人生ゲームにオセロ。
暗号もイギリス舞台なのに日本語のローマ字打ち。
細かいこと言い出したらもっとあるのですが、事あるごとにそういう違和感が見受けられて前半は没入しづらかったです。
誤字脱字もかなり多く、まぁそこは個人製作なんでいいとしてももうちょっと視覚的なものや舞台設定を凝って欲しいです。
会話もあまりにも日本的過ぎます。
というか舞台をイギリスにしている利点も意味も全くなくむしろ混乱を招いていて素直に日本で良かったのでは？
あんまりにも日本色が強くてこれには何か意味があるんだろうと元凶の正体を勘違いしたほどでした。
一応「TRPG用フリー立ち絵素材」で検索すれば無料の立ち絵は色々出てきましたし、全身の「立ち絵メーカー」というのもあるようですし、今なら無料のAIでも呪文次第で同じ絵で何種類ものポーズや表情差分を作ることも出来るそうです。
背景も外国風なものはいっぱいあります。
誤字の多さや大量のちぐはぐ感からおそらくそういう細かいことは全く気にしない方なのだろうと勝手に思っていますが非常にもったいなく感じました。
参考にしてもらえれば幸いです。

あと名前ですが50代の女性の名前がロバートで30歳手前ぐらいの男性がクロエというのが違和感でした。
ロバートは女性名として使われる（ネット検索ですが）こともあるようですし、日本だって女性っぽい名前の男性もいますがわざわざややこしくしなくてもいいのではと思いました。
他にもクロエは従業員なのに客が来ているのに自分だけ夕食前や夕食後に部屋で寝ていたり、服装もホテルマンとも思えないし口調もタメ口でおかしい。
ジャルは客船のコックだと思っていたらなぜかいきなり船を降りて島の洋館でコックとして働いていたり。

主人公が狂人を幽霊とか化け物みたいに思っていた理由もいまひとつ分からなかったです。
また夜に危ない調査に行くのに倒れたオリアナからなぜ銃を取らなかったのかも。
終盤、船の部屋の中にいるはずなのになぜか弾かれたものが「海に落ちた」というのも分かりませんでした。
終盤の設定もちょっと分かり辛かったです。
なんで？と感じたのはもっとあります。

これは誤字だと思いますが一日目でアルバートとエマが部屋で将棋をしていたのをロバートはオセロをしていたと証言している場面がありました。
それと終盤の元凶は誰か選ぶ選択画面で一番上に謎のボタンがありそれを押すと浜辺に時が戻りました。（仕様？）
最後の真ルートでマウスホイールでのバックログが出来なくなりました。

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