トリッキーな挑戦をしているものの、王道って良いものだと思った。
Ver1.3
クリア時間 1時間20分(ランサス→きの子→リリアーナ)
魔法学校に通う人間のエドは突然、3人の魔族の女生徒から
契約を結んでほしいと頼まれるが、契約ができるのは1人だけである。
困ったエドは舞踏会までに誰と契約するかを決める掌編恋愛ADV。
システム的には非常にシンプルで、最初の選択肢で誰と付きあうか決める。
舞踏会まで契約するかを決めるとシナリオで言っているが
この段階で既にルートに入っており、
その後、ストーリーを進めていくと、2択の選択肢が2回出る。
そのうちの2回目の選択肢で適切なものを選択できれば
舞踏会に参加しヒロインとのエンディングを迎えられるが
間違えば舞踏会に参加せずにそのまま終了というゲームである。
本作は「ファンタジー×恋愛」の人外っ子ものなのだが
ファンタジーは主人公がヒロインに好意を持たれる理由くらいに使われているくらいで
シナリオ上で、人外っ子であることが活用されているのは「きの子」ルートのみである。
つまり、これが現代の恋愛ものだったとしても内容的には問題なく成立するものが大半で
人外っ子ならではの展開やファンタジーならではの展開はあまりなく
これらの要素を期待しないほうが良いと思われる。
では恋愛ものとしてはどうなのか、というと
「ランサス」と「きの子」があまりにも変化球なシナリオで
その性質上、この2人のルートは主人公に感情移入してプレイすることが難しく
第三者の目線から、エドとヒロインの恋愛を遠目に見て
あのカップルは幸せそうだなぁと俯瞰するような楽しみ方になると思う。
第三者の恋愛を楽しむ点で、どちらかといえば女性向きであると思う。
それに対し、「リリアーナ」だけは直球の王道のギャルゲーであるため
これだけは男性向きでもあり、一人称でも楽しめるようになっている。
そのため、男性プレイヤーはリリアーナだけをプレイしてもいいし
ほかの2人をプレイした後にリリアーナをプレイすると王道の良さが感じられて良いかもしれない。
各キャラの詳細な感想を書くと(以下少しネタバレ有)
「ランサス」はおとなしいおどおどした後輩で
種族はサキュバスである。いきなり手編みのセーターを
プレゼントしてくれる等愛の重いところもあるが
一緒に食事しているところで手を貸そうとしたら
逃げられてしまった。ランサスが逃げた理由とは……といったストーリーなのだが
その逃げた理由となる重大な秘密も、サキュバスという種族も
一度話題に挙がって以降、全くシナリオに関与してこない。
エンド分岐の2回目の選択肢で秘密を指摘しなければならないが
このキャラだけあてずっぽうで当てることになり、
なんとなく選んだ方が正解だったみたいなことになりやすいように思う。
なぜ、これらの設定は一度しか話題に挙がらないのか、それは
サキュバスという種族も、重大な秘密も、ヒロインの欠点としてしか扱われてないからである。
つまり、このルートはこんな欠点だらけのヒロインでも愛してくれますか?と
プレイヤーに問いかけるものであり、本当に欠点としか思っていないから
話題にもあげたくないのである。EDの舞踏会のイベントでも
これらの要素は存在しないもののように、扱われてしまっているのである。
だからサキュバスとか○○○(彼女の秘密)が好きな人には
腑に落ちないシナリオにもなっているように思える。
見た目が可愛いと、愛が重いくらいしか魅力が残らないキャラなので
そんなキャラでも愛せると、主人公のエドが理想の男性になっていくのである。
それゆえ、プレイヤーの感情移入は難しくなっていき
エド君カッコいいよな、と第三者の目線になっていくのがこのルートである。
ギャルゲーというよりは、乙女ゲームの攻略対象をやらされる印象があった。
「きの子」は不思議な印象をもったふわふわお姉さんの先輩キャラであり、
キノコの研究を学校内で行っている。年上のお姉さんにリードされて
惑されるという、このルートのコンセプトは需要のありそうなものであり
キャラ自体も魅力を感じられるのだが
このルートの変化球は、彼女と仲良くなる方法である。
それは彼女の実験につきあうといえば聞こえはいいのだが
その実験内容はキノコを食べてトリップするというものである。
現代だったら危険すぎるネタであり、ファンタジーだからある意味できるネタかもしれないが
トリップした主人公に感情移入してシナリオを読むというのは
常人はほぼほぼ無理である。プレイヤーが戸惑っているなかで
エド君は気持ちよさそうにサイケデリックな色彩を見ているので
ああ、主人公は幸せそうで良いなぁと第三者目線になっていくのである。
自分を見失うくらいに惑わされて愛に溺れるって
そういう恋愛も楽しいのかもしれないが、
その気持ちを想像するにはあまりにも難しいと感じるルートだった。
「リリアーナ」は主人公に対して強気な態度をとる同級生キャラで
学業の優秀な委員長タイプであるが時には主人公にしおらしい一面を見せる。
すなわち、ツンデレ、委員長と、ギャルゲの設定あるあるを詰め込んだ超王道ルートであり、
物語の終盤には「体育倉庫」まで登場してお約束と言わんばかりに「閉じ込められる」のだから
どこまでも王道ギャルゲーである。
悪く言えば「ベタ」とも言えてしまうのだが、他ルートが変化球すぎたのもあって
ここまで王道を行かれると、気持ちいいくらい潔い。
このルートの作者はギャルゲーが好きなのか、
ギャルゲーといえばこういう要素でしょと言われているようで
王道というのは、多くの人に愛された味なのだと改めて実感した。
彼女だけ種族が何かも明かされず、気の強さを表すくらいでしかないのだが
ストレートにデレてくれて可愛いヒロインなので、設定が活かされてない欠点は
もはや些細なことでしかない。エンディングの一枚絵でもすっかり可愛くなっちゃって
ギャルゲーをプレイしたなと満足できたルートだった。
そういう意味でも、変化球2個と、王道1個という構成が特徴的な一作といえる。
あなたとの契約を夢見て
人外の女の子3人から契約を迫られるという羨ましすぎる状況から始まるギャルゲー。
まず一目見て分かる通りキャラデザがとても魅力的です!
立ち絵も表情差分も豊富で表現力に驚かされました。
そしてスチルは立ち絵と別の方が担当しているのですが、
これがまた美麗でキャラクターの魅力が伝わってくるものでした。
シナリオも恐らくキャラごとに別の方が担当していて、
それぞれに事情をもった三者三様の人外っ娘との物語を楽しめます。
プレイ時間が程よく、いい意味で「もっと見たい!」と思うところで終わる
(でもキャラが個性的なのでとても印象に残る)のが素敵です。
※以下ネタバレ注意。攻略した順にキャラの感想です。
リリアーナちゃん。
初っ端からツンデレ的態度を見せてくる彼女、インパクト大でした。
ちょっとヤンデレ気質もある……!?表情にびっくりさせられました。
スチルのちょっと幼く見える姿のギャップにも萌えました。
とても応援したくなる関係性の2人で
「その『別の話』が見たい!!」と素直に思わされました。
ランサスちゃん。
サキュバスという蠱惑的な種族のイメージと違い、おしとやかな子です。
でも狙ってるのか天然なのか「これは断れない……!」という雰囲気を作るのがうまい。可愛い。
この子もヤンデレ気質あり……!グッジョブ!
そして意外な秘密をもっていましたが我々の業界では大好物です。性癖に刺さりました。
いろいろ越えた良いパートナーになれて良かったね!
きの子ちゃん。
見た目からして好みでした、特異な髪色とギザ歯っ娘でかわゆす。
ハッピーになれるキノコの研究という始まりからしてヤバみがありますが、
スチルの色彩とシナリオのハッピー感というか陶酔感というかが
ヤバヤバのヤバ(語彙力失う)で楽しかったです。
最後に攻略して良かった。この作品に酔えました。
素敵な作品をありがとうございました!
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