ネタバレ含む長文、失礼します…！

3Dで描かれた部屋の中から脱出するため謎解きをしていくゲームです。
とにかく序盤は情報が少なく、頭に？を浮かべたままひたすら謎解きを進めていたのですが、その中で手に入るアイテムによって徐々にストーリーが展開していきあっという間に引き込まれました。

まず謎解きについてですが、正直かなり苦戦しました。作者さまのサイトには難易度やや低めとあったのですが、私としてはかなり難しいほうではないかと感じました。情報量が少ないので、いかに少ないヒントを見逃さず取りこぼさずに進められるかがカギとなるので、探索が苦手だと詰まりやすいかもしれません。私はすぐに攻略情報を参考にさせていただきましたが、それを読んですらも難しいと思いました汗。しかも必要な情報を入手するのにミニゲームの攻略が必須だったりと、謎解き以外の能力も求められることが更に難易度を高めているようにも思います。（私はパズルとか苦手なもので…）
ただ個人的に一番の杞憂だった3Dの画面が、全く酔うことなく楽しめたのはとてもありがたいポイントでした。どうやら素材が3Dなだけで、VRのように視点がぐらぐらしなかったので酔わずに済んだようです。また謎解き脱出のパートは3Dですが、合間に見られる日記のエピソードは温かみのあるタッチでコミカルに描かれているので、難解な謎解きの中の癒しとなっていました。このエピソード部分もとても魅力的でした。

そして概要に「1周終わってからが勝負」とあるように1周後には更なる試練が待っています。こちらは記憶力が試されるターンで、1周目とは違った意味でハードでした。が、2周目からは明らかになる情報が増えますます気になる展開になっていくので、周回プレイも苦にならなかったです。その点も素晴らしい構成だと思います。


ここから結末に関する盛大なネタバレになりますが、
迎えた3周目は、今まで入手した情報の意味や、二周やってもわからなかった部分など多くの伏線が回収されていく見事な展開でした。そこからの、感情を揺さぶる怒涛のフィナーレはもう涙、涙！コウハイくんの琴子に対する思いや愛情、初めて世界を知った琴子の心情、経験不足でどんどん弱っていく姿、それでも懸命に名前を忘れないよう反復し書き記す姿。そして思い出した本当の望み…溢れる涙が止まりませんでした。
その後、悲壮的な思いに陥ってからの反転の結末！これもまたとても良かったです。もう以前のようなコミュニケーションは取れないだろうし、彼女の知力はもう…と思うとものすごく切ないのですが、それでもだっしゅつから脱出でき本当の望みが叶った今きっと安らかな気持ちでいるのだろう…と思え、胸にジーンときました。最後はコミカルなドタバタながらもホロリとさせるオチ。最後の一行まで余すことなく感動が詰まっていました。（おまけはほっこり癒されました。センパイと上手くいってほしい！）


とある有名作へのオマージュともとれるお話で、作中にもヒントがあるためもしかしたらすぐ「私」について気付かれる方もいるかもしれません。ですが、それに気づいたとしても全く問題ないだろうと思える感動のシナリオでした。そして納得のタイトル。そこも含め、全てにおいて計算しつくされたギミックとシナリオと演出…どれをとっても本当に素晴らしかったです。あまりに感動したので設定資料集も購入させていただきました。
難しい謎解きのあとに、素敵なシナリオという嬉しいご褒美が待っている作品でした。前作を知っていると一層楽しめるのでプレイをお勧めします。
オートセーブだったので好きなシーンを繰り返し見ることが叶わなかったことだけ少し残念に思いますが、脳内に刻み込んだシーンを反芻し、ゲットした設定資料集を読んで楽しみたいと思います。ありがとうございました！

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