どんどんヤバイ事になっていく物語に引き込まれる
※ネタバレあり
見た目こそ普通ですが、プレイしてみると基本ホコグラのみのキャラクター達の見分けがしっかりつくくらい各キャラが立っていて、イベントシーンでバンバン動きまくるキャラクターと重厚なシナリオ、時々クスっと笑えるテキストなど各所に工夫がなされており、物語が動き出す辺りまで進めるとプレイする手がとまらなくなる良いストーリー重視のゲームです。四人目の仲間のチェロが出てくる辺りまで進めたら後はもうぶっ続けでプレイみたいな感じでのめり込みました。
良くも悪くも万能なキャラクターと言うのがいないのでそこは好みが別れるかな?とも思います。主人公のフォッグはちょっとリーダー気質があって腕が多少立つくらいのごく普通の青年で、頑張ってカッコよく活躍する面もあれば、苦悩も失敗もしたりするやつです(こういう良い点も欠点もあるのは仲間も敵も共通する感じ)。愚直といえばそうなキャラで、時にその愚直さが良い方向にいったりもする器用貧乏というかぶきっちょというか……なキャラ。どんどん壮大な展開になる&各仲間や敵の心理描写も綺麗に描き切っている一方で、一人の青年視点の物語としてもブレていないので、そんな青年に寄り添えるなら、規模の大きな物語が好きな人にも、ある意味では小さな、キャラとキャラの物語が好きな人にも楽しめる作品だと思います。
個人的にはそういう万能さのなさが良い方向に働いて、中盤~終盤の絶望感がパない作品でした。成り行きでフォッグが集団のリーダーになった辺りの追手とか容赦なくて絶望感半端ないし。結構容赦のない展開もあるので、壮大なサーガという以上に誰かの手記みたいな、戦乱に巻き込まれていく人々の葛藤を何冊も読んだような印象がやっぱり強いかな。死や絶望みたいな江草を結構重く描いているのもあり、チェロもサテンもフォッグもラスボスのあの人もみんな、ある種の醜さも美しさも両方出ていました。
こういう設定でヒロインのアリスをあくまでもNPCとしてほぼ描き続けたのは珍しい試みで作者の腕前を感じる。その分賛否ありそうな描写もありますが、個人的にはアリでした。戦力的に戦うわけじゃないにしても愛着のある仲間だったわけだし燃えもあったし。やっぱり他の仲間が戦っている間に地味な役割に徹しているところが一番良さが出ていると思いますが。フォッグ達が出かけてる間に子どもと仲良くなるとか、アリスにしか出来ない役割だと思ったし。
色々と詰まった話なんでうまくまとめられませんでしたが、歴史の教科書とかおとぎ話みたいな記述の仕方ならこぼれ落ちてしまいそうな、人の頑張りも苦悩も丁寧に描き切った壮大な戦記だと思いました。
とても良い物語でしたが、パペットがかなり終盤でもHP回復量の少ないアイテムしか売らないっぽい場面があったので、そこだけちょっと気になりました。(12.0での感想です)。パペット自体はとても可愛かったです。置いてけぼりにして泣かせてやりたい。
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