※本作の方向性のネタバレあり。具体的な内容のネタバレはなし。
Ver 1.01
クリア時間 19分(おまけ含む)
1話5分くらいの意味が分かるとぞっとする話を集めた
ホラー掌編集。
一見すると普通の物語と思って読み進めていくと
結末でそれをひっくり返される、転が強く効いた掌編集。
その構成上、一度読んだ後にもう一度読み返してみると
全く違う視点で物語を読めるかもしれない。
本作の特徴は情報量が少ないことである。
登場人物は何人かいるものの、その誰一人として
顔やその姿がグラフィックで描写されることはない。
この点は一話の写真において、人物が陰で表現されていることが
象徴的である。
フルボイスではあるが、ボイスの入るセリフは
数カ所くらいであり、背景もひび割れが入って暗くてぼやかされている。
プレイヤーは情報量が少ないからこそ、状況や関係性をテキストから
想像して補完しようとする。例えば幼なじみの双子みたいな男の子で
周りからも関係を茶化されているから、きっとこういう関係性なのだろうなと
テキストから想像して補完して読み進めたくなる。
だがそれが本作のトラップなのである。
誘導はあるものの、一言もプレイヤーの想像したことを
事実としてテキストには書かれていないのである。
プレイヤーの先入観に自ら騙されるのを
楽しむノベルともいえるかもしれない。
ホラーゲームの探索ADVには操作キャラの周囲以外が暗闇になっていて
見えない中を手探りで探していくというゲームがよくあるが
本作は、情報量を絞ることでこの暗闇と同じように
限られたテキストの中で状況を想像していくので
ホラーの暗闇をノベルゲームのゲーム性で表現するとこうなるという
上手い例の1つでもあると思う。
その点で間違いなく本作はホラーゲームである。
本作のぞっとする怖さは主として
"内面的な狂気の発露"である。
普段は人当たりが良かった人と関わっていくうちに
何の前触れもなくナイフを振り下ろされ
倒れたところを笑われるような、そんな感覚である。
一見正常だと信じていたものが
異常なものに変わる。裏切られたように思うかもしれないけど
それはずっと前から異常なもので、そんな内面を
ただ君が知らないだけだったのだと、そう思わせるもので
先述した通り、ボイスは少ないのだが
その結果として、ラストのタイトルを読み上げるとともに
副題の通りくすくすと聞こえてくる笑い声はきっと印象に残る。
上から順に読んでいくのが推奨されるのは、おそらく
最初の話が本作の方向性が分かる作りで狂気なのを隠しているのに対し
3番目の話は1話2話と続けて慣れてきたプレイヤーに対し
もはや狂気であることを隠していない構成のためであるのと
(その代わりにどういう展開になるかを隠している)
1話から3話まで後味が悪いが、最後の話は感動寄りになっているためである。
タイトル画面におまけムービーが仕込まれていて
多くのプレイヤーはおまけを読んだ後に
このムービーの存在を知って見ることになるので
実質エンディング的なものだが
ネタバレにもならず、雰囲気に引き込まれる内容なので
予告編としてオープニング代わりに最初に見るのも
面白いかもしれない。
※各話についての感想は本稿では割愛する。
情報の少ない中、テキストを読み進めて状況を把握しようと
していくが、最後の最後で語り手の真意や正体が分かり
衝撃的な展開から全体像が恐怖の方向に大きく変わってしまう一作。
一見普通そうな人間の内面に潜んだ狂気を
味わってみたい人向きといえる。
Ver.1.00でプレイ。
オムニバス形式の掌編ノベルで、ホラー系から切ない系まで
タイトルにちなんだ?4つの物語が語られます。
各話は短く、ボイスもテンポを損なわず効果的に使われているので読みやすく
話もシンプルながら演出や間の使い方が上手いので時にドキリと、時にしんみりと
しながら最後まで集中して読み終えることが出来ました。
ストーリーも同じパターンばかりかと思ったところへ変化球が入ってくる等
構成的にも上手く考えられていると感じますね。
全部読んでも10分弱程度と短すぎな感は強いですが
作品としてはほぼ隙が無い高い完成度の良作だと思います。
※余談
3番目の話のオチが怖いのに思わず『そういう事かよ』と突っ込みたくなりました(汗)
あと隠しコンテンツはそのままエンディングに使ってもいい雰囲気ですね。
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