革命的なマップと、一生忘れられないキャラクター
プレイして良かった。
とんでもなく良かった。
はっきり言って、他のレビューにある通り、本作の高い難易度とストレス性の高いマップ構造は恐ろしく人を選ぶ。スポンジ湿原のヌシエリア、砂時計、チーズケイブ、滅裂空間、影なき平原、影の森など、どこをとってもプレイヤーの心を折るには十分すぎるレベルだろう。
しかしそれらの難点を鑑みても、本作の持つ美しさ、豊かさ、情緒の深さは、プレイする価値がある。
是非見て頂きたいのはマップの美しさ。普通マップの美しさと言えば、その美麗さこそが評価対象となるが、それはどちからといえば「整った美しさ」という軸で評価されてきたように思える。もちろん本作にもそのような整った美しさを持つ美麗なマップは存在するが。それ以上に本作はまた異なった価値観における美しいマップを二種類提示してきた。
ひとつは砂時計。このマップは一目見ればわかるとおり、本来移動対象とならないオブジェクトが通行可能な道として無数に配置され、だまし絵のような空間を繰り広げている。これ故にわかりづらくストレス度の高いマップにはなってはいるのだが、同時にここが限りなく非現世的であり、正しく砂時計の中身のように掻き混ぜられた空間であることをプレイヤーの体験に強烈に印象付けてくる。しかもそれでありながら、徹底的に本マップは美しいのだ。昼から夜へと移り変わる背景に果ての無い砂漠、その中空を蜘蛛の巣のように張り巡らせる植木鉢、彫像、街燈、絵画……。そこには粗雑な豊かさと、遠景が持つ果てしなさとがコントラストを描き、非調和的な美術の美を実現している。
もうひとつはハイエスト。本来ゲームにおける町というのは本来の規模間に対して、ユーザービリティを考えてある程度デフォルメされることを免れない。しかし本作は終盤を象徴するハイエストという場所はこのデフォルメを実質行わない。どのルートにおいて提示されるマップにおいても、広大なフィールドとモブを提示し、膨大な量の会話を用意する。確かに不便だ。しかしこれによってそのルートごとに相応しいだけの人々の営みを、これ以上ないほどの説得力で描ききってもいるのだ。これはひとえに作者の非凡な会話センスが隅々まで手を抜かずに行き渡っているためでもあるが、これほどの大きなマップをつい全てのキャラに話しかけてしまいたくなるような、圧倒的な質感は、出そうと思って出せるものではない。ここにあるのはより身体的な美だ。
これらのように、本作はとかくマップに対して様々な衝撃を与えてくれる。それらはしかし偶然出来たものではなく、作者の考える設定やテーマを、出来るだけ濁すことなく伝えようとした結果こうなったのだろう。それゆえ不親切なところも多々出てきてしまうわけだが、この殆どシームレスに設定とマップとが地続きに繋がった感触は、プレイヤーに対して、世界観の豊かさのようなものも、殆どフィルターを挟まずに流し込むことにも成功している。
しかし、これらのマップ以上に特筆すべきは、やはりキャラクターだ。本作に出てくるキャラはみな一癖も二癖もある。ただ、彼らはその方向性がどうあれ、誰もが酷く生真面目で、純粋で、一途だ。それらの感情に触れるたび、不思議なほどの連帯感がプレイヤーの中にも産まれてくる。最初はヘイトを稼いでばっかりだったあいつのことも、愛おしくて仕方がないたったひとりのキャラクターになってゆく。すべてが終わる頃には、彼らと別れるのが辛くて仕方なくなる。
中でもチビのことだ。物語の最初で出会うチビ、彼女は恐らく能力的な面では、本作で最も劣った存在だ。しかし彼女はあきれかえるほど巨大な憧れを内に秘めていて、それを出し惜しみせず世界に投射する。そのことばのひとつひとつが情緒そのものであり、その先へ進むために胸を熱くする一撃だ。今風に言えばチビはエモい。ものすごくエモい。
正直この作品で何度もきつくなるたびに、次の場所で彼女がどんなことを話すのか、ただそれだけが聞きたくて、歯を食いしばって次へつぎへと進んだ。最大の難所であるラスボスを撃破して、彼女からやっと「その言葉」を聞けたときは、本当に胸が締め付けられた。なんでもない台詞なのに、これほどまでに物語が終わったのだと、思えた一言は無かった。
そう、何よりこのゲームは、何かに憧れたことのある人、憧れたい人、憧れで胸が苦しい人ほど、やってみてほしい。チビはあなたにとって、きっと一生に残るほどの言葉を残してくれるはずだ。
最後に、以下に物語中盤で聞けるチビの名文句を記載して終える。完全にネタバレなので、見たくない人は要注意。けれども本当にうつくしい台詞なので、ネタバレを恐れない方は、見て頂きたい。きっとこのゲームをやりたくなるはずだから。
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とっても、遠くまできた。
本当に、外は広かった。
足があってよかった。
こんな遠くまで歩いてこられた。
目もあってよかった。
いろんなものを見られた。
果てまでだって歩いていけるし、
果てだって見ることができると思う。
(主人公)だってそうだよ、たぶん。
(主人公)の足がなくなっても背負ってあげる。
(主人公)の目がなくても教えてあげる。
だから、最後までいっしょに行こう。
ここまで手伝ってくれたんだから、
果てだけは見てもらいたい。
太陽だって、すごかったんだ。
果てはもっとすごいはず。
そうじゃないと困る。
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更新で遊びやすく
8時間でラストまで行けました(〇○〇○は倒せてないですが)
他者様のレビューを見るとかなり難しそうに感じますが
エンカウント率・歩行速度:経験値の調整が更新で入ったのでサクサクと進められるようになりました
それでもダンジョンは通常のRPGに比べてかなり長めですが
戦闘は序盤だけキツク感じましたが、スキルが揃ってからはゴリ押しでも弱点さえつけば
ラスボス以外は苦労せずに進められました
主人公は喋らず選択肢で個性を出すタイプのRPG
いわゆるドラクエ系の無口主人公ですが、選択肢がYes/Noでなく
性格を表したりイベント分岐するタイプのものです。そういうのが好きな人は是非
性的表現とありますが、いかがわしい店が街に存在する程度だったと思います
夜明けライクRPGの名に相応しく、一方の方向へ進み続け
その過程でがらりと光景を変えていく世界で、道中や街での踏破やトラブルを
個性的な仲間たちと一緒に乗り越えていくのが大まかなストーリー
二番煎じですが、戦闘システムには敵に利する部分があるため
その辺りに慣れておかないと不意の事故をもらいやすく、少々ストレスが溜まるかもしれません
敵が全体的に強く特殊なものもいるため、安定したプレイにはある程度のレベル上げが必要になります
マップもパズル要素の強いステージがいくつかあります(難易度は程ほど)
しかし、そんな部分を補って余りあったのが
ストーリー、世界観、キャラクターとそれを表現する演出力。素晴らしかった
先を見たいという原動力はゲームを続ける上で大きなモチベーションになりました
また、ゲームにおけるリドルの類も正攻法だけでなく力技で突破できるのも嬉しいポイント
装備品の組み合わせによる戦略要素も面白いし、周回ではスキップ機能もありと
アフターフォローも力が入っています
ここから少しネタバレです
プレイし終えた今でははっきり欠点だと思えるものは少ないのですが…
1つは一部のマップが広大すぎるところ
ある街の下層は区画分けして、プレートを調べると区画ごとワープ選択できるとか欲しいなと思いました
もう1つはラスボス(任意)の大変な強さ
このゲームのラスボスは設定上からか、とんでもない強さであり
ほぼ全ての最終装備とレベル最大まで上げてからがようやくのスタートラインで
ノーヒントのある特徴を把握した上でほぼノーミスで行動してようやく倒せるかどうかの代物
正直なところRPGである以上はレベルを最大まで上げれば比較的余裕ができる程度が嬉しかったですね
あと装備は上位互換系なので最後でいいから売れる場所があったほうがいいかもしれません
総評するとストレス要素はあるものの好きな人には溜まらなく好きだろうという作品
私はとても楽しませて頂きました。素晴らしいRPGをありがとうございます
愚痴
チビが可愛いという理由だけでプレイを続けました。
ですが無理でした。終盤のワープ連発マップで諦めました。
正直言って
・ストーリーは面白かったです。
最初は無愛想なキャラクター達が旅を進めるにつれて、その人間性が分かってきたり心を開いていく様子は非常に感動的だと思う。南へ進むという希望も絶望もない旅の途中で、主人公やチビが成長していくところも良かったです。
・戦闘システム
面倒臭いの一言。色々設定があるのですが、ゲームバランスをただ悪くしているだけでした。(それがやり込み要素と言われればどうしようもないですが、、)
ゲーム自体の完成度は高いのに、無駄な部分に凝ってしまうことで評価を下げるゲームの典型的パターンの気がしました。
・マップ
とにかく広い。そして分かりにくい。通れる場所と通れない場所をもっと分かりやすくしてほしかったです。
マゾゲーですが最終的には面白かったです^^
夜明けライクに惹かれプレイさせて頂きました!
ハッキリ言います!難しいです!w
難点部分は、先のレビュワー様が仰る通りでMAP難易度。
特に砂時計と、それを上回るマップが残り7つくらい
存在します^q^
正直シナリオやイベントなどは凄い作り込みで戦闘システムも
独自のスタイル。世界観は次はどんな場所に行けるだろうと
期待を持たせてくれる。キャラは各それぞれ個性的で、
最終的に皆好感を持って接しれる良い人たちですが
如何せん挫折者はかなりの数だと思いますw
(謎も中々解り難いです、森とか下層とかMAPとか)
・・・ですがクリアに至り、達成感は半端じゃありません。
是非とも周回を2回程し、(一部スキップ出来ます。)
クリアに至った方は、この作品の評価がいかに難しいか
悩むことでしょう。
マゾ必須ですw
途中脱落です
ネタバレを含みます。
砂時計でギブアップです。やってて一向に面白くならないので。
以下にどのあたりが面白くないかを書きます。
とりあえず押さえていただきたいのは、
「縛りは自分でやるものであって、ゲーム側から強制されても面白くない」
「縛りは面白さへのきっかけにはなるかもしれないが、縛り自体が面白さにはならない」
「システムの不便さは全く面白さにはつながらない。逆を言えば便利ならばそれだけで面白さになりえる」ということです。
・まず『捨てるしかない』ではあったはずダッシュがないので歩いてるだけで苦痛。
・相性を考えたシステムと銘打っているが、実際にはプレイヤーに戦闘方法を強制してるだけ。
「普通に戦ってもキツいが勝てる。しかし相性を抑えれば有利になる」というバランスなら、
敵が強いというストレスと、それを自分の工夫で楽にしたというカタルシスから戦いの楽しさは生まれる。
しかしこのゲームは「相性のいい技やデバフ、あと通常攻撃に乗ってる状態異常のポイントを押さえないと、そもそもザコ敵に一回も勝てない」仕様。
つまり正しい戦い方以外はゲーム側が許さない。プレイヤーに縛りプレイを強制する仕様。
『捨てるしかない』はパズルゲーとして楽しめたが、普通のRPGの体裁をとっているこのゲームの場合はそれには当てはまらない。
やらされてる感がすごく何も楽しくない。
・敵が混成属性チームを組んでるのに、装備品を戦闘中に変えられないのでこっちはそれに対応しきれない。
・上二つの理由から、結局レベル上げてごり押しするしかなくなり、プレイ時間の6、7割はレベル上げの時間になる。
・しかし通常攻撃の威力が低いので(チビは除く)、レベルを上げても強くなった感じがイマイチ実感できなくやはりカタルシスがない。
・増えた仲間の初期レベルが低すぎる。ヤマダが5、キモリバヤシが(確か)8はありえないほど低い。なぜ主人公たちの経験値を参照にしなかったのかわからない。
そして彼らを使い物になるようにするためにまたレベル上げの時間が始まる。
・技が何をしてるのかわからないので、ゲームへの感情移入がしにくい。
この「知属性による、減物付与の波紋状の攻撃」とはいったい何をしてるのか?「別に斧を装備してるわけでもないのに斧を振り下ろしたようなエフェクトが出るこの技」は何をしてるのか?
そういったところが想像しにくく、ゆえにゲームへの没頭を妨げる。ご丁寧に「この世界は技術だけで魔法はない」と作中ではっきり言われてしまってるのでなおさらである。
こういうところで褒めることが出来ないというのは、そのまま世界観は良いという評価も出来なくなるということ。
・主人公が弱い。属性が無い=特化させにくい。ならば素のステータスを高くして補うべきではないかと思う。
・一部の状態異常が極悪なのに、それを完全に防ぐ手立てがない。ザコ敵先攻ルールによって、何も出来ないまま全滅も確率は低いが普通にあり得る。
・仲間の離脱イベントが多すぎる。列車、登山、砂時計と何回続けて離脱、分離イベントを起こすのか。
これもゲーム側からの縛りプレイの強制の一つ。仲間を減らすなら、せめて大きなイベントや敵の変化をつけてほしいのにそれすらない。
本来4人で戦えたはずのフィールドとザコ敵に、ただの理不尽で3人や2人で挑まさせられてるように感じる。
山はキモリバヤシとの距離が縮まるイベントなのでまだわかるが、砂時計に4人で挑んではいけない理由とはなんなのか。
例えば「新天地に移る際に仲間とはぐれた。新たな土地で抜けた仲間に代わる新しい出会いが!」とか、
「さっきまで2人でつらかったが、全員集合して4人になったから同じザコ敵でも戦いが楽になったぞ!」とかならわかるし、それなら楽しい。
本来仲間の人数の増減というのはそれほどに重要で面白さに直結する大事な要素だということを分かってほしい。
・フィールドが広すぎるうえに迷路状になっていて、どこがどういう風につながってるかよくわからない。次のマップへの出入り口もわかりにくい。砂時計に限らず。
だだっ広い面をとにかくグルグル歩かさせられてるのがつらい。
・ザコ戦のBGMがない。上記のフィールドの広さと合わさってメリハリが生まれない。つまり退屈になってくる。ちゃんとプレイして探索を進めているにも関わらず。
・中ボスが何の目印もなく突然出てくる。一応マップ終盤の狭い道というヒントは作中であるが、初めてのダンジョンでそもそも今いるところが中盤なのか終盤なのかわかるわけがない。
これに上記の戦闘中装備変更不可と正しい戦い方の強制というバランスが合わさって、凄まじい理不尽さになる。たまたま運よく相性がいい装備をしてれば勝てるが、それ以外だとまず死ぬ。
そして前にセーブしたところからやりなおし。せめて『捨てるしかない』のボス前の青いポインタみたいな目印が欲しかった。そしたらマッチ使えたので。
・ヤマダが何を言ってるのかわかりにくい。言い回しが日本語としておかしすぎて、何を言いたいのか、何を説明してるのかよくわからない。
そういうキャラとして作ったのはわかるが、ならば他のキャラにある程度わかりやすく通訳させるべきで、普通に会話されても困る。
こういうところも世界観への没頭を妨げる一つ。個人的にこの弊害は結構大きかった。例えばあの世超特急の説明とか面白そうな設定なのに、ヤマダの説明がよく分からなくて非常に残念だった。
以上です。申し訳ありませんが今回は酷評をさせていただきました。
一応よかったところも列挙しますと、
・NPCのセリフが面白いものが多い。このドライさと切れ味はMOTHERに近いものを感じる。
・チビがかわいい
ぐらいでしょうか。
これ以上褒められるところを見つけることが出来ませんでしたので、今回はこれで終わりとします。ありがとうございました。
ものすごく人を選ぶゲーム
夜明けライクとはありますが、仲間は固定(イベントで一時分かれたりしますが)で出たり入ったりではありません。
ストーリー的には「最南端の『果て』を目指し旅をする」というもの。途中途中で世界や設定の説明が出てくるタイプです
が、キツイ。とにかくキツイ。
マップは広い上にランダムエンカウントで、『戦闘回数が奇数偶数で先攻後攻が決まる』というシステムなので、ちゃんと装備を考えないと後半はなすすべなく雑魚にワンターンキルもザラ。
終盤、こっちのHPが200ぐらいでも一撃で100ぐらい食らったりもします。
更に、『転倒』などの行動不能系の状態異常にPT全員がかかると即全滅(これは敵もですが)
挙句、一部マップは広い上に難解、迷路上になっています。しかも通れる部分と通れない部分がわかりにくい。真っ先に『マップチップの通行指定設定ミスでは?』と疑ったぐらいです。
逃走も「先頭キャラのみが試みることができ、そのキャラが行動不能だと逃走不可」というのも地味にキツイ。反面、1ターン凌げば確実に逃走できますが。
反面、世界観や設定、雰囲気が素晴らしい。
自分が投げずにクリアした理由もそこにあります。
全体的に退廃的な空気がある、ダークな雰囲気。癖の強い仲間たち。襲いかかる謎の存在…『果て』にあるものとは?
そういったものにのめり込める人ならおすすめです。
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